日輪の後悔ないことを確かめたくて
あなたがいなくて寂しいと
流れる歌は
遠い遠いわたしの中で
竹林のようにざわめき響いて
そこら中に介在している
見えない雨の
悲しさを否定しても
湿った甘さを捨てきれないから
暑さを失っていく闇を
存分に吸いこむ木々は
黙るばかりで花の一つもなく
何だかそれが心地よくて
終着行きの木人たちは
薄明かりに言葉もなく座るばかりで
この夏の日常を諦めてしまう術を
見て見ぬふりをしている
かつていのちの若さが見せた
飛躍の予感に満ちた未来は
日常の連鎖に囚われて
苦い泥を這うような日々に成り果て
それでも
霧に現れる暗い水辺を歩いている
呼びかけを信じ
甘さをどこか憎みながら
花咲く庭に辿り着くのでもなく
相変わらず夏に打ちのめされながら
やがて明けるはずの
何処までも開け放たれた地平に
目を凝らしている
わたしからわたしへと繋がっていく
憧れと諦めの境界を昇り行く
日輪の後悔ないことを確かめたくて
お読み頂いてありがとうございます。