魔術眼
「静かにして下さい! 私はファルム帝国の第三王女、ソフィアです! あなた達は神に選ばれた勇者さま候補になります。ですので、これから適正検査をして頂き、その結果により役割が決まります」
3回目の王城。
僕としてはすぐにでも脱出したいが、全身甲冑を着た兵士が最低でも30人。
全員に【鑑定】をしてみたが、【鑑定】には失敗した。
スキルレベルが低いから失敗したのか、実力差があるからか、情報不足で分からない。
1回目は固有スキルがEランクという理由で死の森に捨てられて死亡したが、2回目は【鑑定】スキルがあると話してしまったから第三王女に殺されたと思う。
だから僕が何も話さなければ第三王女に殺されることはなく、死の森に捨てられるはずだ。
死の森に捨てられるときの全身拘束は金属ではなくて縄だったから、【魔術眼】を使えば焼き切ることは出来そうだから、深層に捨てられる前に逃げるのがベストだろう。
★
その後も2回目と同じ様に話が進み……
「……鑑定結果、ランクは存在しないはずのEランク、名前は全くの別人です。ですので紛れ込んだ偽物と判断し、この者を死の森へと追放します!」
やはり【魔眼】を追加されても同じ展開だが、ここで疑問が生じる。
僕のスキルは、
【カノン】
固有スキル
EX無限増殖Lv1《残機無限》
A鑑定Lv1
A魔眼Lv1《魔術眼》
スキル
BテイムLv1
固有スキルはEXランクとAランクが2つあるのに、第三王女の話ではAランクが認識されていない。
Aランクが【鑑定】だけの時は、【鑑定】を知られない為かと推理していたが、【魔眼】は話しても良いはずなのに死の森行きになっている。
まあ、考えても仕方ないか。
とりあえず、僕は追放と言われても反論はせずに、素直に拘束され、馬車に乗せられる。
試しに腕を拘束している縄に【魔術眼】の【種火】を使うが、縄がなかなか燃えない。
【火球】を使えば簡単に縄は燃えそうだが、僕の腕も燃えそうだから、【種火】を何回も使い、縄に火を付ける為に頑張る。
幸いな事に馬車内には見張りがいないからやりたい放題なのだ。
★
【魔眼がLv2になりました】
僕が【種火】を試すのが50回目のとき、頭の中に【魔眼】のレベルが上がったという知らせが通知された。
通知されるのは便利だな。
【魔眼】のレベル2は、新しい魔術は追加されず、魔術の威力や規模、効率が上がった。
そして、【種火】の火力も当然上がり、腕の縄を焼く事に成功した。
縄を焼く時に、腕を火傷したが死ぬよりはマシだから無視した。
続いて足の縄も焼く。
今の場所は、馬車の中では分からないが、たぶん街は出ているだろうから、今脱出しても問題は無さそうだ。
【カノン】
固有スキル
EX無限増殖Lv1《残機無限》
A鑑定Lv1
A魔眼Lv2《魔術眼》
スキル
BテイムLv1




