3回目
「……鑑定結果、ランクは存在しない筈のEランク、名前は全くの別人です。ですので紛れ込んだ偽物と判断し、この者を死の森へと追放します！」
Aランクの固有スキルがあるから、追放は無いと思っていたが、なぜか前回と同じ流れになってしまった。
「ちょっと待って下さい！ 僕にはAランクの固有スキル【鑑定】がありま……」
ザシュ……
急に僕の視界が傾いたらと思ったら、第三王女の手には血で染まった剣が握られていたのが見え、そこで僕の視界は暗転する。
★
「はっ！？」
気が付くと、また宇宙空間だ……。
そして3回目の死に戻りだ。
今の時点で分かることは……
僕だけが死に戻りしていて、たぶん【残機無限】というやつの恩恵で死に戻りしているのだろう。
シューティングゲームなどで残りキャラ数の残りを残機と表現したりするから、何度死んでも残機が無限だから、永遠に死に戻りするのだろう。
あと、第三王女の【鑑定】には【鑑定には失敗しました】と表示された。
なぜかは分からないが、第三王女は何かしらの道具かスキルで自身のスキルを隠しているか、僕の【鑑定】レベルが低いからだな……もしかして、僕が第三王女に殺されたのは【鑑定】を持っていると話したからか？
分からない事だらけだが、まさかの1回目よりも早く殺されるとは予想外……。
【ここは転生の間である。これから貴様には異世界に行き魔王を倒してもらう】
3回目の神様からの声が聞こえてきた。
てか、魔王を倒す以前に召喚した帝国に殺されんだけど、それはどうなの？
【私は神だ。貴様に素晴らしいスキルをやるから、さっさと魔王を倒してこい】
【む、勇者に授ける為に準備していたEXランクのスキル、無限増殖が無いぞ？】
このやり取りは全く一緒だと、神様はAIなんじゃないかと思えてきた。
【仕方ない……鑑定を……なに？ なぜ、鑑定も無いのだ？ テイムは……あるが、せめて勇者候補にはAランク以上の固有スキルを付与しないとな……そうだ、勇者と言えば、あれが好きだよな、魔眼。貴様には魔眼を授けよう】
へぇ、魔眼もあるのか……
【それと身体も現地に適合しやすいように作り替えておく、あとは帝国のやつに任せてある】
さて、また僕は自分自身を【鑑定】する。
【カノン】
固有スキル
EX無限増殖Lv1《残機無限》
A鑑定Lv1
A魔眼Lv1《魔術眼》
スキル
BテイムLv1
おお、【魔術眼】！！
僕は【鑑定】と同じ要領で【魔眼】に集中すると右目が熱くなる。
なるほど、【魔術眼】の使い方が自然と頭の中に流れてくる。
僕がすぐに使える【魔術眼】は低級の全属性魔術が使えるらしい。
全属性には光、闇、火、水、風、土の6種類があり、それ以外に特殊属性があるらしい。
魔法は詠唱または魔法名を唱え、魔術は魔術陣を設置して発動するという違いがあり、魔術は魔法に比べて汎用性はあるが使い方が難しいみたいだから人気は無さそうだ。
そして、僕の【魔術眼】は視界内にある場所ならばすぐに魔術陣を設置出来る魔術の欠点を大幅に軽減したものらしいが、視界内に無いと設置出来ない欠点もある。
