ゴブリンW
【カノン】
「皆、神聖樹を最後まで守り抜くぞ!」
「「おお!」」
「では、持ち場へ!」
モンスターがエルフの村の結界に攻撃を始めたタイミングで、村長はエルフ族のみんなに最後の気合いを入れ、終わるとすぐに各自の持ち場へ素早く移動した。
モンスターは結界に集中しているあいだ、みんなが弓で出来るだけ仕留めて、数を減らす計画だ。
結界は、モンスターを防ぐがエルフ族はスルーする仕様で、僕はなぜか結界的にエルフ族の枠組みに入っているらしく、移動は自由である。
結界より外側の1キロ圏内は神聖樹の加護圏内になり、モンスターやエルフ族への敵対者を最大で50%弱体化してくれる。
結界さん、半端ない性能です。
今回みたいに、モンスターによるエルフ族の村への侵攻は初めてだが、モンスターが一斉に人族の街へと雪崩み込む現象をモンスターブレイクというらしい。
モンスターブレイクの原因は様々あるが、今回の場合は原因が不明らしい。
★
【精霊会議室】
「面倒なことになりましたね……」
長年、深淵の森で生きてきたけど、モンスターパレードは一度しか経験したことがないんだよね。
しかも、私は聞いただけで見たことはないけど、無限に近い数のモンスターが暴れるらしい。
「ああ、まさかモンスターパレードが発生するとはな。あと1年後なら俺の手加減攻撃で殲滅出来るかもだけどな」
「ちなみに漆黒のヴィラ様、現状の力で手加減攻撃したら、どうなります?」
「俺の攻撃した場所を中心として、10キロ以内は攻撃の余波に巻き込まれて溶けるな」
「それはご主人様もですよね?」
「俺の手加減攻撃は物理攻撃が凄いだけだから、そりゃあご主人様でも例外なくダメージ受けるぜ」
「……蒼のスラリン様には手加減攻撃はありますか?」
「私には【超再生】しかないから、攻撃は無理よ。それは白銀のリラも思考加速出来るだけで、攻撃系は漆黒のヴィラだけよ」
「そうなんですね……我々は見守るしかないのは辛いですね」
「ああ、かなり辛いな……おいおい、動物系モンスター以外にゴブリンもいるぞ。アイツがモンスターパレードにいるって事は上位種は絶対にいる」
「それはヤバいです!」
★
【カノン】
モンスターが結界に衝突してから1時間と少しが経過。
まだ結界は破壊されていない。
村長はずっと結界の維持をして、他のエルフ達がモンスターを弓で倒していく必勝パターンが出来ていた。
しかし、この作戦も村長の魔力次第な気がする。
僕も前線で戦いたいと思っていたけど、みんなが僕は神聖樹の前でしかダメと言われ、神聖樹の前で一人だけ待機している。
僕が前線に出るとサポートしなくてはいけなくなるから、邪魔なのかもしれないな……ん?
前線が騒がしくなってきている。
そして、しばらくすると空気がピリピリするようになった……あ、これは結界が壊れたな。
僕は精霊魔法で、神聖樹を囲むように巨大な壁を作り、モンスターの侵入を防ぐ様にする。
5分後……動物系モンスターの他に、2足歩行の気持ち悪い見た目のモンスターが大量に押し寄せてきた。
この数はヤバいな……。
動物系モンスターは軽く50体以上おり、気持ち悪いモンスターは100体以上いそうなほどたくさんいた。




