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藤堂桃香

【藤堂桃香】


 私は藤堂桃香。


 藤堂流剣術を現代まで継承し続けて第24代目の私は、クラスメイト達には内緒にしながら生きてきたのに……まさか、異世界の、それも戦いのある世界に飛ばされるとは思わなかった。


 私が発言した固有スキルは、Aランクの【魔刀召喚】。


 私の魔力がある限りいくらでも、どこにでも魔刀を召喚出来るスキルで、私の藤堂流剣術との相性は良かったけど、他の勇者候補のクラスメイトが持つ固有スキルに比べると外れスキルだと言われた。


 現に勇者ランキングというものでは5位の最下位である。


 私はこの帝国の勇者候補を物としか見ていない考えが嫌いだ。


 間違って私達と一緒に召喚された、高木くんを自称した美少女も、速攻で処分されたし……クラスメイトの帝国に悪い感情を持っていた人達はいつの間にか連絡が途絶えたらしい。


 きっと、帝国に処分されたんだろう。


 勇者候補の私ですら何かあればすぐに処分されるはずだ。


 今は我慢だ。

 


 それにしてもクラスの人気者だった高木くんはどこへ行ってしまったのだろうか?


 私達が転移させられた日も教室にいたのは複数のクラスメイトが確認しているから確実なんだけど……高木くんだけいない。


 高木くんは中性的な容姿でクラスを超えて、学年で好きな女子はたくさんいて、ファンクラブまである位の人気ぶりだ。


 しかし、話しかける内容が難しく、昔みたいに怒られたらどうしようという理由で話しかける女子はおらず、男子も似たような理由みたい。


 クラスメイトの女子の中には、自称高木くんの美少女が高木くん本人だと主張して、探しに行くと言い出していた子がいたけど、男子に止められていた。


 その女子は、高木くんファンクラブ幹部で、顔の特徴が似ている箇所がいくつもあるらしいけど、私には分からなかった。


 でも、本当に高木くんなら……もう生きてはいないと思う。


 なぜなら死の森と呼ばれる、生還率ゼロの危険な場所に捨てられたからだ。





 ★


「トウドウさん、シマネさん、スギタさんにはタカギカノン捜索の任務を与えます。やり方は自由で支援も言ってもらえれば、用意します」


 朝から第三王女に呼ばれ、いきなりの発言に私はなぜ?と疑問に思った。


「なんで今更探すんですか!? もう5日も経ってるんですよ!」


 島根さんが私達の気持ちを代弁してくれた。


「神様より、重要な召喚者だから連れ戻せと言われたんです」


「そんな……もう死んでいるんじゃないですか?」


「いえ、今朝の時点では神様が生きているのを確認済みです」



 こうして私達3人に自称高木くんの美少女を連れ戻す任務を与えられた……私達はたぶん、死ぬんだろうなと思った。

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