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ハイエルフの末裔

 僕は村長の案内でエルフの村に来たのだけど……村の入口には村人と思われるエルフ族19名が土下座して待っていた。


「あの、村長? これはいったい?」


「ハイエルフの……いえ、カノン様を迎えるのですから、これくらいは当然です」


「何度も言いますけど、僕はハイエルフの末裔じゃないですからね」


「はははっ、もちろんわかっておりますよ。ハイエルフの末裔だと知られたくはないんですよね。それは皆に伝えていますが、この村の中でだけは崇めさせてください」


「ええ……本当に違うのに……」


「カノン様、エルフ族の我々ですら精霊化するのは悲願なのに、ただの人族が精霊化を極限にまで高められるはずがありませんよ」


「そうなんだ……もう皆さんに任せますよ」


 なんか説得は不可能な気がしたので、僕は説明を諦めた。


 それに僕の目的は村のエルフ族と仲良くなる事だから、崇め方が過激ではあるが、まあ目的を達したとするなら、このままでも良いかなと思った。



 エルフ族の村には名前が無く、村長を含めて20名しかいない小さな村だが、村の中央には10m位の高さがある神聖樹があり、このエルフ族の村は神聖樹を守護する為だけに存在する村だと教えてもらう。


 そして、村には老人はおろか30代や40代っぽい人もおらず、見た目だけで言えば20歳前後までしかおらず、村長もそうだが、僕と同世代に見える人が半数だった。


 しかし、村長ですら140歳で死ぬまで20歳前後の容姿のままらしく、エルフ族が容姿端麗だと言っていた理由がよくわかった。




 ★


 エルフ族の村を軽く案内してもらったあと、僕は皆さんにカットしたメロンを振る舞った。


「おお! 芳醇な香りがたまらないな!」

「はぁ、はぁ……最高」

「これはカノン様からの……いける」

「甘い! うまっ! 最高!」

「うおおおお!!」



 メロンは確かに美味しいが、反応が思っている以上に凄い。


 その後、他の品種のメロンも取り出し、振る舞うと一気にお祭り騒ぎになる。


 エルフ族の食生活は塩分の少ない野菜や果物が中心で、モンスターの肉もあった。


 僕が瞬殺された鹿モンスターの肉もあった。


 それだけでエルフ族は凄い種族なんだなと尊敬した。


 まあ、僕が弱過ぎるだけというのもあるか……。


 鹿モンスター肉は塩気が無いからか、ちょっと味が足りない。


 野菜や草なら諦めがつくが、肉が味がないのは嫌なので、【通販】から減塩バーベキューソースを購入する。


 エルフ族の人も食べられる様に減塩にしてみた。


 早速、鹿モンスター肉をバーベキューソースにつけて食べると、さっきまでの味気なさはなくなり、完璧な味になる。


 やはり日本人は塩気がないとダメだよな。


「カノン様、その茶色い液体はなんですか?」


 近くにいた可愛らしい雰囲気の女の子が興味津々で話しかけてきた。


「食べてみる? 塩っぱいけど」


「塩っぱい? 食べてみたいです!」


 僕はいきなり塩分を食べるとショックを受けそうだから、少しだけバーベキューソースを付けて渡す。


 女の子は僕からもらった肉をためらわずにパクッと食べた瞬間、目をカッ!と開いた。


「こ、これは!? み、みんな! この液体ヤバイよ!!」


 この一言でみんながバーベキューソースにハマり、一気にバーベキューソースがなくなった。


 ヤバいものをエルフ族に与えてしまったかもしれない。


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