鑑定鏡
クラスメイト達は不適正ならば追放という言葉にざわついていた。
「皆様、誤解がありそうなので、詳しく説明しますが、AランクとBランクの方は城内にある帝国騎士団の指導により鍛えたのち、魔王討伐の旅に出てもらいますが、Cランク、Dランクの方は魔王討伐は危険なので我々から支援金を受け取ったのち、街内に移動してもらい、冒険者ギルドや様々なギルドで仕事をしたりと自由に生活してもらいます、皆様は普通の人族よりは強いので苦労はさほどしないと思います。そして有事の際は力を借りたいと思います。その時は皆様が満足する報酬を出します」
その話を聞き、まだ不安になっている者もいたが、それは少数派になっていた。
僕としては、あの高圧的な神様と仲の良い帝国とは仲良くしたくないから、早急に帝国から出たいが、帝国以外に国があるかとか全く情報がない状況ではみんなと共に行動するのが無難だろうな。
「それでは納得していただいた方から、こちらにある鑑定鏡に手をかざして下さい。こちらで皆様の固有スキルとランクが分かります。納得がいかない方は直ちに城から出ていっても構いませんが、その場合は協力関係の破棄とみなして支援金はありません」
「俺はやるぜ!」
「お、俺も!」
1番に手を挙げたのは、不良グループのリーダー格である藤見と手下の古馬だ。
「えっと、お名前は?」
「俺は藤見武!」
「ぼ、僕は古馬アザミ」
「フジミ様とコバ様ですね、勇気ある行動に感謝します。お二人には不適正だとしても支援金は高めにさせてもらいます」
「おお、ラッキー! だけど、俺はAランクになってやるぜ!」
藤見と古馬は鑑定鏡の前まで行くと、藤見から手をかざす。
すると、鑑定鏡が光りだして、その光が文字っぽい感じになるが何の文字か分からない。
もしかしてだけど、異世界は文字が違うのか?
言葉が普通に通じていたから文字も読めるのかと思い込んでいたけど……これから文字覚えるのは辛いな。
「おお! フジミ様はAランクのスキル【爆炎】とAランクの固有スキル【火竜剣術】のダブルです!」
「ああ? ダブルってなんだ?」
「通常、人族が授かるスキルは1つだけなのですが、稀に2つ、3つとスキルを授かる場合があるのです。しかもフジミ様は1つが固有スキルなので普通のダブルよりも優れています」
「おお、やっぱり俺は凄えんだな」
「はい! とても凄いですよ」
その後、クラスメイトは藤見に続けという感じで、どんどんと鑑定鏡に並んだのだった。




