あなたと歩く散歩道
・相変わらずの意味不明さ
・犬って何
以上が大丈夫そうならどうぞ!
先日からご主人様は家にいない。
「聡美はね、おばあちゃんの家に行ってるの。だから帰ってくるのは明後日になるわね」
そう言っていたご主人様の母親は、久しぶりに元気のない私に少々苦笑いをしながら告げた。
散歩も餌やりも、すべてご主人様によって世話をしてもらい、寝る場所もご主人様が私に自ら進んで提供してくれた。
かわいい人形が並び、部屋を彩る小物もあちこちにおいてある。シンプルだがとてもかわいらしいご主人様の部屋は、いつもならば何てことない空間なのに、ご主人様が居ない今とても広く寂しい空間へと変わり果てた。
私はどうしてもそこに居づらくて、寝るとき意外はほかの部屋で過ごした。
ご主人様の母親がくれるご飯も、散歩も、すべてが味のない、色のないモノクロの世界のように感じ、一人の夜はとても長く感じられた。
そして次の日、昼ごろ部屋で母親の近くに座っていた私の耳に、聞き覚えのある足音が聞こえた。
すぐさま立ち上がり玄関へと向かうと、そこには
「ただいまー!!あれ、コロ。久しぶりだね!」
「あら、お帰り聡美。おばあちゃんの家はどうだった?」
久しぶりに姿を見ることができた、私のご主人様。
その姿を見た瞬間、衝動を抑えきれず飛びついてしまった私を、ご主人様はその暖かい腕で抱きしめてくれた。
「とっても楽しかった!!ん?どうしたのコロ、なんかいつもより元気がないね?具合わるいの?」
「ふふっコロはね、聡美が居なくて寂しかったのよ。散歩も餌もいつもの半分しかしてないものね」
「そうなのコロ?寂しい思いをさせちゃってごめんね」
いいえ、いいえ。ご主人様が謝る必要はありません。すべては弱い私のせい。
それでも優しく撫でてくれるその気持ちに、その手に甘えてしまって、なんと情けない。
「じゃぁ久しぶりに散歩にいこっかコロ!帰ったらしっかりご飯を食べようね」
「ワンッ!」
そう言ってリードを取り出し、首輪につないで、荷物を降ろして母親に元気よく「いってきます!」と言って、私はご主人様と一緒にいつもの散歩コースをたどる。
そこは先日のような色のないものではなく、自然たちの織り成す色鮮やかな世界を取り戻していた。
貴女が私の世界を彩る唯一の人なのです。
お題はここからお借りしました。
http://207.noor.jp/