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夜顔
世界が月の時間になる頃に
夜顔は少しずつ蕾を解き始めた
彼女は知った
自分に似た朝顔や昼顔という世界を彩る存在があるということを
彼女は知った
月のあかりの中だけで生き
誰かに見つかってしまうと簡単に手折られてしまうと
月が中天を過ぎ白じみはじめ頃に
夜顔は自らの盛を終えた
なんとこの世は不自由なのだろうと思いながら
だから彼女は知らなかった
たった1人でいつも夜の世界に住む月は
ゆっくりと香しさを増していく夜顔が
応援してくれているようだと
顔を綻ばせていたことを
お読み頂きありがとうございました




