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 洋服をいくつか調達したあとは、ついでにデパ地下のスーパーで買い物と相成った。

「……この大きなかごは」

「これに入れて買い物するんだよ」

「ふむ。……これが主様の世界での方法なのか」

 ハーヴェイが住んでいるのは、中世ヨーロッパを模した世界だからなんでも珍しいんだろう。



「それじゃいこー」

「いけません。主様、それは俺に持たせてください」

 当然のごとくかごを奪い取る。

「女性にそんなものは持たせられません」

 なんか調子狂うな……。

 頭を掻きつつ、野菜コーナーを見渡す。

 もう帰る頃にはお昼兼夕食になっちゃうな。



「ハーヴェイ、なにが食べたい?」

「そ、そうですね。オレが作れるものといったら、ゆで卵くらいしか……」

 今の食欲的にそれは明らか足りないな。

「あたしが作るから大丈夫」

 まぁこちらこそ料理は得意ではないので、あんま凝ったもの言われても困るけど。

「あ、主様が手料理を……。そんな……」

 ふーむ、またはにかんでる。

 まじではにかむ男性っていたんだな。

 まぁ彼の場合、かなり特殊な人種じゃあるんだが。

 なんだかこっちまで恥ずかしくなる。



『いつか主様の手料理が食べられたら。きっと幸せなひとときになりますね』

 アプリの会話パターンの一つを思い返していると、そうだ、と弾んだ声が横から降ってくる。

「でしたら、主様が得意なものが、食べてみたいです」

「ふーむ、そっか……」

 頬を掻いて、横を見ながら。

 いちいち反応が初々しくて戸惑う。

 だがそう言われても、これぞといった得意料理も正直ない。

 三十路過ぎてカレシゼロ歴にあぐらをかいたずぼら生活を反省すべきか……。

 頭をひねらせながらわたしは執事とともに、スーパーの各コーナーを巡っていくのだった。


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