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~メイナード視点~


 ほの様を見送り、アパートに立ち寄ってお菓子の材料を保存したその足で、わたくし、メイナードはあちらの世界の屋敷に帰りました。

 ハーヴェイさんに会わねばなりません。

 せっかく主様がお菓子を用意して待っているのです。

 近々、主様の世界に戻るように進言する大事な役目がありますから。



 屋敷の執事室の一つの扉をノックします。

「ハーヴェイさん。少しよろしいですか」

 返事がありません。

 扉を開けてみると、そこは無人です。

 ハーヴェイさんが、執事室にいらっしゃらない。

 訓練室や庭など、よくいらっしゃる場所を除いてみても、一向に見当たりません。

「……おかしいですね」



 自分で言うのもなんですが、勘は悪くないほうです。

 ハーヴェイさんがここにいないということはもしや、ほの様の身になにか……?

 ひとまず、私は執事室に戻ることにいたしました。

 ハーヴェイさんの机の上の前をさっと観察します。先輩執事の持ち場をかってに漁るのは気が引けますが。緊急事態です。

 机の上の、読みかけの本が置いてありました。

 どうやらあちらの世界の本のようですね。

 ですが、いつも読んでいる主様のご著書とは毛色が違います。



 ページをめくると、犯罪と下された処分の判例が並べられているようです。

 栞の挟まれたページには、暴力事件で捕まった人の拘留機関を示すグラフ――。



 ぱたんと、本を閉じました。




「どうやら、急ぎあちらに戻るべきのようですね」


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