⑥
~メイナード視点~
「ねぇ今リアルにバッコン! って音しなかった?」
男性の身体が派手に宙を舞い、砂埃をたてて地面に倒れます。
ほの様と梅様が呆然とされる中、わたくしはけが人の救護に回りました。
「大丈夫ですか?」
その男性を抱き起こします。
「ちっ。……なんなんだよこいつ……」
「メイナード。んなやつかばうんじゃねえ」
「ボイスさん。気持ちはお察ししますが、加減というものがあるでしょう。—―あなた、少し様子を見せていただけますか」
順に、男性の腫れた頬や全身の怪我を見ていきます。
「よかった。怪我は頬だけのようですね。仲間が大変な失礼を」
「ちぇっ。なんだよ、そろって凶暴なやつらめ……! りさ、行くぞ」
男性が唾をはいて、女性を伴って立ち去ろうとしたそのとき。
ピーロンピーロンと、独特な着信音がしました。
男性の身体からです。
「あ、あれ? おかしいな。さっきマナーモードにしたはずなのに」
すると、伴われた女性が不審をかぎつけたように立ち止まりました。
「ちょっと待って。これってあたしたちが知り合った婚活アプリの通知音じゃない?」
「え、それは……」
結果的に申し上げると再度その男性は宙を舞うことになりました。
「さいってー。まだほかの人とも会ってるのね。さようなら」
「おい、待ってくれよ。りさ――」
男性がその女性を追いかける姿は見るも哀れでありました。




