⑦
キャラクターの形を模したつり革が連なる、夢の国から現実世界に戻るモノレールの中。
わたしの隣には梅ちゃん、その隣にはボイスが座っていて、ボイスははばかりなく寝息を立てている。 そのさらに隣のハーヴェイにもたれて、迷惑そうな顔をされながら。
スマホに保存された写真を、色づく頬で眺めている梅ちゃんに声をかける。
「なんか、梅ちゃんもすごいね」
というのは、さっきのショップでのことだ。
あのくだらないけんかを、女子力の高い一声で納めてしまった。
スマホの画面には、園内花壇の前。はにかんで微笑む梅ちゃんと、仏頂面のボイスが映っていて。
「ほのさん。わたし……決めました」
スマホを握りしめて、静かに宣言らしきものがはじまった?
「この梅原美玖、焦点を一つに定めます……!」
「はい?」
「今までは、婚活アプリで知り合った何人かと、お茶に行ったりしていたんですけど。みなさんにきっぱり、事情を話してお別れします! す、好きな人ができたから、と……」
「マジ?」
おおっ、すごい。衝撃宣言だ。
「もう、予感がぐいぐいきて、止まらないんです。ジェットコースターでかたかたって音がして、徐々に上昇するときみたいに」
「う~ん、これは恋に落ちちゃうねぇ……」
はぁ、それにしても。
目がきらきらして、全身もきらきら。
恋する女子ってこんなにまぶしいのか。
「ほのさんのおかげです」
「え?」
「ほのさんが応援してくれたから。でもこれからは、ちゃんと自分で、頑張ります……!」
ふっと笑って、乙女の肩を叩く。
「なーに言ってんの。こういうのはお互い様。これからもどんと応援するって」
がたりと列車が急停車して、ボイスの頭がハーヴェイの肩から投げ出され、ハーヴェイに文句を言い、負けじとハーヴェイも言い返している。
相変わらずな二人の姿をわたしと梅ちゃんは眺めつつ、くすくすと笑ったのだった。




