⑥
ふしぎな同居人ができて、数日が経過したある日。
編集部から呼び出しがあった。
「ちょっと出かけてくる」
「お供します」
当然のように身支度を整えようとするハーヴェイを制する。
「今日はちょっと、一人でじっくり考えたいから」
「そうですか……。あまり遅くならないように注意してくださいね」
「お昼過ぎには終わるから、大丈夫」
軽く手を振って、アパートを出た。
電車に揺られて三十分強。
ついたビル街を歩きながら、漠然と考えるのは生活費のことだ。
「やっぱりもう少し、仕事増やすか……」
小説の仕事が数件。
短時間週三日とはいえアルバイトもしているとなると、なかなかにスケジュール的に厳しいが……。
「小熊さん、お久しぶりです。すみません、わざわざお越しいただいて」
などと考え事をしながらいつの間にか、編集部についていた。
担当の男性が、机ごしに、なにやら用紙を手渡しながら切り出す。
「現在制作中の作品の打ち合わせに入る前に、お話がありまして。今日お越しいただいたのもその件に関してなのですが」
ふむ。
いつも打ち合わせは電話かネット通話で済ませているので、どうしたのかなと気になってはいた。
何気なくプリントに目を通し――固まる。
「ほのさんがネットで連載されている、別の小説を新たに書籍化を目指したいと考えております」
「——!」
マジか。
頭の中が停止する。
今現在の仕事は、ウェブ連載一つに文庫本の仕事がちょこちょこ。
それも今の今、生活費に困っていたところなのだ。
「引き受けて、くださいますか?」
「もっちろんです‼」
なんとしてでもこのチャンス、ものにしたい……!




