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勇者が残したもの  作者: みずポテト
第一章 帰るために
6/11

06話 迷い

 4日目、今日も午前中は一人だ。

 今日は、この世界の魔物と冒険者についての本だ。

 魔物はランクで分かれており、D-、D、D+、から始まり、S+まである。

 また、S+より上の存在となると魔王幹部クラスの強さを持ち、Zと呼ばれるらしい。

 魔王幹部などの人語を喋る魔物は総じて魔人と呼ばれ、GZと呼ばれる。

 魔物のランクの基準だが討伐する際の難易度で変わり、同じモンスターでも個体によってランクは変わる。

 例えば、ゴブリンは通常はD-となっているが、武器を持っていたり、魔法を使ってきたりすると、D+になる場合が多く、あまり見られないらしいが、スキルを持つ魔物や特殊な体質を持った魔物がいるらしく、50年前に疾風というスキルを持つゴブリンが現れたらしく、そのランクはAだった。

 

 冒険者だがこちらも同じくランクがある。

 魔物のランクと違うのはD-の下、Eランクが追加されている。

 最初はDからスタートし、任務を成功するとそれに応じたポイントが貰え、逆に失敗するとポイントが下がる。

 そして一定のポイントまで達するとランクが上がり、逆に一定のラインまで下がるとランクは落ちるる。

 また、冒険者の仕事は魔物の討伐だけではなく、人探しや落し物の捜索まで様々だ。

 40年前までは殺人犯などの逮捕もしていたらしいが、勇者死亡後に発足された警備隊が現在は請け負っているらしい。

 Eランクだが、ここまで落ちた冒険者は魔物討伐の任務が受けれず、雑務みたいなことしかできない。

 大抵はここに落ちる前に辞める。

 

 冒険者か・・・。

 人を守る職業、警察と同じようなものだ。

 俺は元々刑事志望だった。

 8年前に死んだ爺ちゃんが刑事だった。

 俺の親は、仕事が忙しく爺ちゃんと過ごすことが多かった。

 爺ちゃんは正義感が強い人間でよく俺に、「お前が正しいと思っていることをしろ」と言っていた。

 そんな爺ちゃんを俺は、尊敬してた、だから刑事を目指した。

 しかし、爺ちゃんは、正義感が強すぎたのが災いし、死んだ。

 爺ちゃんはある日、散歩中に5人組に強盗に入られている家を発見した。

 警察に電話している途中、中から女の子の声が聞こえた爺ちゃんはすぐ電話を切り中に突撃した。

 警察が到着した頃には、5人組は無力化されていたが、そのすぐそばで胸に包丁が刺さり倒れている爺ちゃんがいた。急いで病院へ搬送されたが、爺ちゃんは帰って来なかった。

 正義感なんてのは自分を傷つけるだけのゴミだ。

 爺ちゃんが死んだとき俺はそう思った。

 俺は当時虐められていた同級生を助け孤立していた。

 そして、学校から帰ってきても仕事で親はいない。

 「ただいま」と言っても「おかえり」はない。孤独だ

 家でも学校でも一人。

 全部自分の正しいと思ったことをした結果だ。

 

 だが、迷ってる。


 俺がこの世界に連れてこられた理由。

 恐らく、魔王を倒す何かにすることだろう。

 そこまでしないといけないということは、この世界はもうすぐ魔王により危機に陥るのだろう。

 俺がこの世界に残れば変わるのか・・・?

 そう思ってしまうのは俺がここに残るのが、正しいと思ってしまっているということだ。

 いや、そんなことを考えるのは辞めろ。

 俺と同じスキルを持っていた勇者でさえ死んだんだ。

 俺が残ってもどうせ死ぬだけだ。

 

 ガチャ


「ただいま」

 

 師匠が帰ってきた。

 さて、今日も帰るための修行だ。


 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

 

 

 

 

 

 



 

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