02話 転移先での出会い
明るい光から解放されると、吸い込まれるときの尻餅の姿勢のまま勢いよく地面に着地した。
「あっ痛って!」
地面に叩きつけられた尻を労わりながら閉じていた目を少しずつ開けると、
目の前には・・・・・・
「あんた今どこから来た・・・?」
そう言いながら呆気にとられた表情でこちらを見ているのは、椅子に腰かけお茶を飲んでいる白髪のばあさんだった。
左目には眼帯を着けなんだか強そうなオーラがある。
どこから来たと言われてもな・・・そもそもここはどこなんだ?
ばあさんの言ってることが理解できるし日本か?
でも日本にしてはアスファルトも見えないし電柱も外灯も見当たらない。
もしかして、別の世界に飛ばされてしまったのではないか。
そんなことを思っているとばあさんが眼帯を外し奥から覗かせた金色の瞳でこちらを見てきた。
「なんでお前がそのスキルを持っている!?」
そう言いながらこちらをにらみつけながら詰め寄ってきた。
スキル?なんだそれは。
もしかしたらそのスキルの影響でこっちの世界に来てしまった可能性もあるかもな。
だとしたらこっちに来た経緯を話すしかないよな。
でも、言って信じてくれるかな・・・。
でも、なんかこのばあさん結構信用できそうな感じがするし、素直に話してみるか。
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「スキルが何か分かりませんが、ここに来たのは大体そんな感じです」
でかい犬が突然現れその犬にこっちに連れてこられたことを話した。
「その犬のおでこに変なマークがついてなかったか?」
「ついてましたね」
「たぶんそいつは犬神様だ」
「犬神様?」
「そうだ。犬神様は伝承と言うスキルを持っている。そのスキルでお前は時空間転移ってスキルを伝承された。そしてそれは40年前に死んだ勇者アガルと同じスキルだ。そのスキルを使ってお前は世界を超えてやってきた。」
俺が勇者と同じスキルを持っている!?。なんで俺なんかにそんなとんでもないスキルを伝承させたんだ犬神様さんは。
「あの、なんで勇者さんのスキルを犬神様が持っててそれを僕に伝承させたんですか?」
「なんで犬神様があいつのスキルを持っているのかも、それをお前に伝承させたのかも分からん。でも何か共通点があったのかもなお前とあいつに。」
犬神様がなにを考えているのかは俺には分からない。ただ俺はまだ元の世界でやり残したことがいっぱいあるんだ。こんなところにいつまでも居られない。早いとこ帰らなくては。
「あのせっかく犬神様にスキルを伝承して頂いたところ悪いんですが、俺はまだ元の世界にやり残したことが沢山あるんです。何か帰る方法とかはありませんか。」
「帰れるならこんなとこさっさと帰ったほうが身のためだしな。お前の持ってるスキルを使えば帰れる。ただ今のままだと帰るまでに1か月は掛かるな。」
そんなにかかるのか!?
1か月もここにいたら夏休みがほとんど終わってしまうではないか。
まだ、里奈とデートもほとんどしてないんだ何とかして早く帰りたい。
「あの、もう少し早く帰れる方法はないんですか?」
「スキルは発動してから次に発動するまでに時間が必要なものがある。」
ゲームであるスキルのクールタイムと一緒みたいなものか。
「そのスキルは強力なスキルだからな、そのぶんその時間も長い。そしてその時間は自身の魔力の回復スピードを鍛えることで短くできる。」
「なるほど。それで、魔力の回復スピードを上げるには何をしたらいいんですか?」
「魔力を消費するんだよ。魔力を消費して回復を待つその繰り返しだ。」
「魔力を消費するというのは具体的になにをすればいいんですか?」
「魔法を使ったり物に魔力を注いだり魔力で体を動かしたりだ。まあ一番簡単なのは魔法だな。」
魔法か。
ゲームやアニメで見た物ものが自分で使えるとなると帰るためとはいえワクワクするな。
「一週間でお前を帰れるようにしてやる。だがかなりきついと思うがやれるか?」
「はい!絶対にやってみせます!!」
「その意気だ」
「そういえば、お前名前は?」
「清水優真です。」
「あたしの名前は、フェリアよろしく」
「はい!よろしくお願いします師匠!」
こうして俺はフェリア師匠の元で帰るための修行を始めるのであった。