虹色に輝け大輪の花
アンブロージアの花を求めてアダリアの森にやって来た私と御主人。
姿の見えない妖精が色々な場所で話しているの。
ユニコーンなんかも出てきたけれど、話していたら何か逃げちゃった。
でも全然見つからなかったから妖精さんに聞いてみたんだ。
妖精さんは姿を現して道案内してくれたの。
到着した池の周りにあるって言ってたけど、全然見つからない。
じゃあこの辺りにある草を全部抜いて持って行こうって引っこ抜き始めたら、妖精さんが現れてここにあるのはウソだって。
本物のありかを教えてもらおうと思ったけど、池の中からお魚が出て来て妖精さんを食べちゃったんだ。
池の中からお魚さんを見つけ出したけど、お腹の中に妖精さんは入っていなかったの。
ドッキリだって出てきた妖精さんをパシッと叩いてあげたんだ。
なんかもう信用できないよ。
「こっちだよ」
妖精さんの案内はあんまり信用できないけれど、森の中は分からないからついて行くしかないよね。
(本当に大丈夫なのかなぁ)
「うーん、わかんない」
それでフラフラ案内されて森の深部。
枯れた落ち葉、ただ木が立ち並ぶだけの森の中ならよくある光景。
特別な何かがある訳じゃないんだよ。
「ここだよ」
そこが妖精さんに案内されて到着した場所なの。
「えー、本当にここなの?」
「ここだよ!」
でもアンブロージアの花が咲いている感じはしないんだ。
また騙されちゃった?
私はチャキッと爪を出してみると、
「待って待って、本当にここなんだって! もう少しだけ待っていて!」
妖精さんは慌てて否定しているよ。
「御主人どうしよう?」
(まあ後少しぐらい待ってみてもいいんじゃない?)
「うん、分かったよー」
ちょっと待っていると、森の中に幾つも光りが現れた。
木の葉っぱが光っているんじゃないよ。
いっぱい聞こえていた妖精さんの声が実体を持ってそこら中を踊るように飛び回っているんだ。
それでその皆はね、手を繋いで一本の木を囲んだの。
楽しそうに回ると、その木が光輝いて、大きな虹色の花が咲き乱れたよ。
「わー、きれー!」
(これがアンブロージアの花……とても綺麗だね)
「誉めてくれてありがとう、じゃあ採ってもいいよ。でもこれは大切な物だから一つだけだから」
「うん、一つだけで大丈夫だよ!」
私はアンブロージアの花を摘み取ったの。
「そっか、何に使うか知らないけれど大事に使ってね。それは私の命の花だから!」
「命の花って?」
「妖精はね、自分の命でお花を咲かせるの。そのお花は実になって次の命を繫ぐんだよ。だからね、大事にしてね」
妖精さんは優しい笑顔で手を振って消えていく。
もしかして命を使わせちゃったのかな。
このお花は大切にしなきゃね。
「絶対大事に使わせてもらうよ!」
(ありがとう妖精さん)
「あ、それ三十分ぐらいで消えちゃうから使うなら早くしてね」
最後の一言を言って完全に消えちゃったけど、それはちょっと大変だ。
「えー!」
ここから三十分でお城に戻って、えっとえーっと……とにかく急がないとだね!
「御主人、帰るよー!」
(うん、急がないとね)
「じゃあ皆、バイバイ」
私は妖精さん達に手を振ってこの森から走り出したんだ。
もう時間がないから全力だよ。
森を抜けて草原を抜けて、お城がドンドン近づいてくる。
でも三十分ってあとどれぐらい?
まだお花があるから大丈夫そう?
そのまま秘密の通路を抜けてお城の中。
私はアリアの部屋を思いっきり叩いたの。
「アリア、アリア出てきてー、早くしないと消えちゃうよー」
(早く早く!)
ドンドンバンバンやっていると、ガチャッと扉が開いたの。
「モモさん、今何時だと思っているんですか。できれば数時間後の朝にしてください!」
やっぱり怒られちゃったけど、
「でもお花がもうすぐ消えちゃうって聞いたんだよ。早くしないと勿体ないよー」
アンブロージアの花が消えたらどうしようもないの。
私は取ってきた花を手渡したんだ。
「え、そうなのですか、それは大変です。急いで調合しなければ」
まだ寝起きのアリアはオロオロしているよ。
そして手に持っていたアンブロージアの花が赤く輝いて……。
「はーい、ドッキリでしたー!」
中からすごく良い笑顔の妖精さんが現れたの。
もしかしてまた騙されちゃった?
でもこのお花は本物だよね?
私がちょっと悩んでいると、アリアはガシッと妖精さんを掴み取って小さな魔法陣を展開させたの。
「モモさん、よくやってくれました。実はこの妖精のが居てくださるとアンブロージアの効き目が格段に上がるのです。ですが少々時間がかかりますので、明日のお勉強はお休みでいいですよ」
お休みはちょっと嬉しい。
「あれ、逃げられない、あれー?」
その妖精さんはアリアの手の中でもがいている。
あの魔法陣の影響で逃げられないみたい?
「アリア、その妖精さんに酷いことをしちゃうの?」
「いいえ、それ程酷いことはいたしませんよ。ほんの少し魔力を頂くだけですので」
フフフって笑うアリアの顔がちょっと怖い。
うーん、死んじゃわないならいいかなぁ。
とりあえず明日はお休みだしゆっくりできそうだ。
「アリア、おやすみー」
(おやすみなさーい)
私と御主人はアリアに手を振ったの。
「ええ、お休みなさいませモモさん、御主人さん」
「きゃああああ、助けてええええ!」
私は妖精さんの悲鳴をスルーしてお部屋に帰って行ったんだ。
動いて疲れちゃったからグッスリ眠れたんだよ。
起きたのはまだお腹が空いていないお昼前。
もしかしたらもう全部の材料が揃っていたらいいなーって思ってアリアの部屋へ。
「あらモモさん、グッスリ眠ることはできましたか?」
「うん、すっごく眠れたよー。アリアの作業は終わったの?」
「ええ、この通りです」
見せられたのはティーカップ注がれた液体に浸かった妖精さんだよ。
顔がツヤツヤになって何だか幸せそうな感じ。
これなら心配しなくていいかなぁ。
(お風呂にでも入っている感じだね。まあ服は来ているみたいだけれど)
「アリア、これ何しているのー?」
「これはアンブロージアの花のエキスに妖精の魔力を注ぎ込んでいるところなのですよ。この液体を蒸留して――」
「そっかー」
聞いたけどよく分からないや。
ここはアリアに任せてベノムの方でも調べてみようかな?
「ちょっとお出かけしてくるー!」
「そうですか、行ってらっしゃい、モモさん」
(行ってきまーす)
私はアリアと別れてブレードバードの隊舎に向かったよ。
何時もなら皆が訓練しているはずなのに周りに人の姿はないの。
私は隊舎に入って人の気配がする部屋に入ってみたよ。
そこにはブラッククロウとか何人かの知り合いがいたんだ。
「おおモモ殿、おはようございます。隊長殿ならまだ戻られておられませんぞ」
「ふーん、何処に行っているのー?」
「雷竜が出現した地点を色々とですな。相手が飛行能力を有する思考の読めぬ生物ですので苦労していらっしゃるのかと。まあ隊長殿であれば敗北することはありえぬでしょう。心配せずに待っていれば大丈夫ですよ」
「そーなんだー?」
何処に居るのかも分からないならお手伝いには行けなさそう。
(それじゃあ後はワイトロウのところかな。あっちならお手伝いできるんじゃない?)
「あー、そうだね。ちょっと遠いからご飯を持って行ってみようかなぁ」
「おや、モモ殿もお出かけですか。ならば拙者も同行を――」
「一人で大丈夫だよー。ワイトロウのところに行くから時間かかっちゃうしー」
「確かに拙者はモモ殿や隊長殿のように素早くはありませんからな。それではここで待たせてもらうと致しましょう」
「うん、またねー!」
(またねー!)
私と御主人はご飯の用意をしてバスカルの断罪峠に向かったんだよ。
そこでは私が頼んだ通りに穴を掘ったり峠を探索したりしながら龍王鉄銀を皆で探しているの。
ワイトロウに声をかけてみたんだけど、まだ一つも出て来ていないんだって。
もちろん私と御主人も穴を掘って頑張ることにしたんだ。
手伝ってもらっているから当然だよね。
「ワイトロウ、適当に穴を掘って良い?」
「いや、適当は少し困るな。居住区画に影響が出ないように少し離れてくれないか。それとお前が掘った方が圧倒的に早いからな、下手な事故が起こらぬように他の者は残骸の撤去にあたらせよう」
「うん、分かったー!」
私達は連携しながら岩の壁を掘り進めたよ。
穴掘りは一回やったことがあるから大丈夫。
スパンスパンと岩と切って入り口の方にひょいひょいって投げて行くんだ。
迷路が出来るぐらいにはいっぱい掘ったけど、まだ龍王鉄銀は見つからない。
何か手ごたえでも違えば分かるのかなぁ?
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




