アンブロージアの花を求めて
ルシフェリアの説明でアリアとシャーンが私達の秘密を知っちゃった。
それで協力してくれることになったの。
アリアの提案で、まずはビリビリな電撃を防ぐために材料を集めてくれって。
雷竜の角、龍王鉄銀、それからアンブロージアの花って物が必要なんだって。
雷竜の角はベノムに、龍王鉄銀はワイトロウ達に頼んで私はアンブロージアの花を取って来ることにしたんだよ。
私は南西にある精霊住まうアダリアの森に行ってみたの。
「御主人、奥に行ってみるねー!」
(うん、気を付けてね)
私は森の奥へ足を踏み出したの。
踏みしめた雑草が鈴みたいにシャランって音を立てたんだ。
辺りに感じる何かの気配がその音に反応して目を覚ましたみたい。
距離を取るもの、その場で様子を見るもの、そして私の下に向かってくるものとか色々だよ。
出てきたのは大きな獣。
お肉は美味しそうだけど、今はお腹がいっぱいだもん。
私はパシッと追い返して先に進んだ。
「御主人、なんか楽しいね」
音がシャンシャンしてちょっと楽しい。
(それはいいけど、音を鳴らしているとまた何か出てきちゃうんじゃないのかな?)
「その時はまた倒しちゃえばいいんだよ!」
御主人とお話ししながらアンブロージアの花を探したんだよ。
でもここは視界も悪くって虹色の光なんて見当たらないの。
進んだら何かが出て来て進んだらまた何かが出てくる。
(あ、モモ、あれを見て。あれってもしかしてユニコーンじゃない?)
御主人の手の先に頭に角が生えた馬が居る。
こっちに近づいてくるみたい。
「ユニコーン?」
(確か清い乙女が好きとかで懐いたりするんじゃなかったっけ?)
「ふーん、あ、そういえば私馬肉って食べた事ないなー」
私がユニコーンの盛り上がった筋肉を見つめているとビクっとしてサッと背中を向けちゃった。
(それ今云うことじゃ……って、逃げて行っちゃった。身の危険を感じたのかも)
うーん、食べる気はなかったんだけど、まあいいか。
それよりアンブロージアの花を見つけなきゃだよね。
地図とかあればいいのになぁ。
「御主人、妖精に聞いたら何か教えてくれないかなぁ?」
(そうだね、試しに聞いてみてもいいんじゃない?)
「そうしてみるよー」
私は声が聞こえる方を見つめたよ。
そこにはやっぱり何にも感じないけど、声をかけてみることにしたんだ。
「ねぇねぇ、妖精さん。アンブロージアの花って知らない? 私に教えてほしいんだ」
伝えてみると今までうるさかった妖精の声が森の中からピタッと止んじゃった。
ほとんど聞こえなかった虫の声がチリンチリンって鳴っているよ。
お返事は来ないのかなぁって待っていると、目の前が輝いて……。
「こんばんは、あなたは私達の声が聞こえていたのね。それで何か用かしら?」
透明の羽根を持った小さな妖精さんが姿を現したんだ。
手の平に乗っちゃう大さだよ。
「えっとね、アンブロージアの花のある場所に連れて行ってほしいの」
「アンブロージアの花……ってなに?」
「えー、知らないのー?」
妖精が知らないのならこの森に無かったりして?
(あ、たぶん人がそう呼んでいるってだけだから。妖精達はその呼び方を知らないのかもしれないね。特徴を教えてあげたらどうかな?)
「そっか、じゃあ聞いてみるよー」
私は妖精さんにアンブロージアの特徴を伝えてみたよ。
「七色に光る花? ああ、それなら知っているわ。教えてあげましょうか?」
「うん、教えてー」
「ええ、いいわよ」
妖精さんが返事をするとウフフ、アハハって笑い声が森に戻ってきた。
「あっちあっち」
「はーい!」
私達は騒がしい森を案内されて進んで行ったの。
グネグネ曲がったり木の上を登ってみたりたまに土を掘ってと言われたりしながら走ると、小さな池を見つけたんだ。
「ここだよ、ここにあるよ」
妖精さんはそこを指さしているの。
「妖精さん、ありがとう!」
(ありがとう!)
お礼を言うと妖精さんは手を振って空に飛び上がって消えて行ったの。
それを見送った私達は池の畔に着地したんだ。
それでアンブロージアの花を探し始めたんだけど……。
「あれー、全然見つからないよー」
(うん、光っているって聞いたから分かりやすいって思っていたんだけどなぁ。もしかしてすっごく小さいんだったり? もうちょっとよく探してみようか)
「うん、がんばるよー!」
時間をかけて丹念に草を掻き分けて池の周りを探したの。
グルって一周してみたけれど、それらしい物は見当たらなかったんだ。
(うーん、時間が来ないと光らないとか? それとももしかして時期が悪いとかかなぁ? せめて葉っぱの形とか分かればいいんだけど)
「じゃあ全部持って帰ればいいんだよ!」
私は草を全部引っこ抜く決意をしたの。
(確かに全部の種類を持って帰ればどれかは当るかもしれないね。一個あればいいんだから)
「うん、じゃあやっちゃうよー!」
先ず近くの草を根っこまで引き抜き、続けて隣の草を同じように引っこ抜いた。
力加減が難しいけど、私のスピードならそんなに時間はかからないよ。
たああ、って頑張ろうとしたんだけど、
「あああああ、待ってええええ!」
消えていた妖精さんが現れて私の顔にペタッと張り付いたの。
「ごめんなさい、ここにあるって言ったのはウソなの。ちょっと悪戯しようって思って。だからそんなにいっぱい植物を引き抜かないで!」
それで私にお願いしてきたんだ。
「えー、意地悪だよー」
「ごめんなさい。でも仕方ないの、私達悪戯が大好きだし」
妖精さんは私の顔から離れてテヘって笑っているよ。
謝ってくれたから許してもいいけど、お花の在処は教えてもらわなきゃだね。
「じゃあ本物のアンブロージアの花は何処にあるの?」
「えっと、それは確かあっちの方に――うーん、あっちだったっけ?」
妖精さんが背を向けて池の上で悩んでいる。
思い出すまで時間がかかりそう?
ちょっと池の中にお魚さんが居ないか見ていると、スッと一匹、大きなのが浮かび上がってパシャンと飛びだしたんだ。
妖精さんをパクって呑み込んでまた池の中に戻って行ったよ。
「あー、食べられちゃったよー!」
(大丈夫だよ、妖精さんは実体を持っていなかったし。ほら、もう直ぐ出てくる……あー、出て来ないね)
池はひんやり静かなままなの。
うーん、死んではいないと思うけど、お魚さんを捕まえないと出て来られないのかなぁ?
「私飛び込んでみるよー。御主人はここで待っていてね」
(あーうん、出来れば早くお願いね。何かに襲われたら怖いもん)
「うん、すぐ戻ってくるよー!」
私は冷たそうな池に手を入れてみた。
夜だからかひんやり冷たくて、
「やっぱりやめようかな……」
気持ちがちょっとしぼんじゃったの。
(あんまり冷たいと風邪ひいちゃうかもしれないしね)
でも大丈夫。
こういう時に便利なキャットスレイヴがあるんだもん!
私は網のようにして池の中に放り込んだの。
池の底を移動させて全体を覆うと、ズズズって持ち上げてみたんだよ。
網の上にはピチピチ飛び跳ねるお魚さんがいっぱいだ。
どれもいきが良くて美味しそう。
うーんと、妖精さんを食べちゃったのは……あ、こいつだね。
私はパシッと確保したんだよ。
(やったねモモ!)
「うん、美味しそう!」
(じゃなくて助けなきゃでしょ)
「そうだねー!」
ここから助けるには、やっぱりお魚さんをさばかなきゃ。
中の妖精さんを気付つけないように、スッパリお腹を割いたんだ。
すると妖精さんが中から出て……。
「あれー、居ないよー?」
こなかったんだ。
もしかして別のお魚さんだった?
「パンパカパーン、ドッキリでしたー!」
ちょっと悩んでいると、突然空中に妖精さんが現れた。
なんかすっごい良い笑顔だったから私はパシっと叩いてあげたよ。
「ごめんなさい、アンブロージアの花はあっちだよ」
それで反省したみたいにしているけど、あんまり信用できないかなぁ。
「本当にー?」
(うん、何か信用できないね)
私は目をキランって輝かせてチャキッと爪を飛びださせたよ。
「今度こそ本当です!」
私と御主人は一度顔を見合わせてもう一度ついて行くことにしたの。
でもその前に、このお魚さんを食べてあげない可哀想だよね。
スッパリ切り分けてお刺身にして食べたんだ。
うん、すっごく美味しかったよ!
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




