どっちにつくの
穴の下は町があったの。
皆はここで普通に暮らしているみたいで子供達も楽しく遊んでいるんだよ。
ワイトロウの居場所を聞いてみると普通に教えてくれたからそこに行ってみたんだ。
ちゃんと見つけて縛ったんだけど、ちょっと倒すのも違う感じだからベノム達を説得にいったの。
まだ戦ってた最中だから説得は無理だと思って二人を倒して連れ去ったんだよ。
「うおぉ、ここはどこだ!?」
「まさかモモ殿が裏切るとは思いませんでしたぞ」
「くぅぅ、何だこの状況は、いい加減拘束を解け!」
と、キャットスレイヴに囚われているベノムとブラッククロウとワイトロウ。
あのワニの人はもう居ないみたい。
(じゃあとりあえず説得してみる?)
「うん、そうしてみるよー」
私は二人と一人に思っていることを告げたんだ。
ここの子供達とか、皆と仲良くしたいんだって。
「はぁ!? ここの奴等と仲良くしたいって?」
「モモ殿、気持ちは分かりますが、そう簡単なことではありませんぞ」
あんまり反応は良くないみたい。
「お前、もしや俺の理念に共感してくれたのか! 分かった、俺も覚悟を決めよう。流石に正妻とまではいかないが第四夫人ぐらいの地位でどうだろう!」
こっちに関しては全然勘違いしている感じ。
(モモ、ワイトロウの口は塞いじゃっていいよ。話が進まなさそうだし)
「そっかー!」
私は云われた通りにワイトロウの口をキャットスレイヴで塞いだの。
モガモガしているけど鼻は閉じてないから大丈夫。
「えっとね、ここに居た子供達がすごく楽しそうだったんだ。だからね、ベノムとブラッククロウも手伝って!」
それで改めて頼んでみたよ。
「どうやって助けるんだよ。ワイトロウは国から出て行けって云われてんだろ。俺等にはこんな数面倒見切れるもんじゃねぇぜ!」
「それにどう助けろというんですか? 下手に地上に出たとしても彼等の楽園は存在しませんよ?」
二人ともやっぱり良い反応はしてくれないの。
「うーん、さっき貰ったお金で解決できないのー?」
『無理無理無理無理、絶対無理!』
聞いてみたら一段と激しく首を振り出したんだ。
「俺等が遊ぶ分には充分な金だが、全員助けてやれるほどじゃねぇんだぜ」
「そもそもどうやって脱出するのですか。見た所相当な人数が住んでいる様子。こっそり町を出ることだって難しいのですぞ」
すっごい目を血走らせて訴えているよ。
そんなにお金が欲しいのかな?
「そっかー」
じゃあ他に何か方法はないのかな?
私はうんうんと悩んでいると、部屋の扉が叩かれたんだよ。
「ワイトロウ様、失礼します」
入って来たのはあのワニの頭の人だ。
「に、人数が増えている!? いえ、そんなことを云っている場合じゃないのです。突如我等の国に大量の兵士が押し寄せてきまして。今全軍をあげて防御しておりますが人数の差が圧倒的なのです。ねぇ、聞いていますかワイトロウ様!」
ワイトロウはガクガク揺らされているけど口が塞がれているから答えられないんだよ。
「リングルードの野郎、見張りも付けないと思ったら何か仕掛けをしやがったな」
「まさか拙者のお金に呪術めいたものが!? いやしかし金は金、使ってしまえば問題はないはず!」
二人とも、特にブラッククロウはお金の心配しかしてないよ。
あんまり役に立たない感じ。
(モモ、ちょっとワイトロウの拘束を外してあげようよ)
「うん、そうするよー」
私がキャットスレイヴを外してあげるとプハァと息を吐き出した。
意外と苦しかったのかも?
「ま、まずは女子供の避難をさせろ。脱出路は確保してあるんだ、もしもの時は町の外に逃がしてやれ。それにこの町の地理は奴等には知れていないはず。徹底的に隙をつけ!」
「ハッ!」
ワニの人はバッと敬礼すると部屋を出て行ったよ。
「もしやお前達も敵の間者かなにかか!」
ワイトロウはようやく私達の事に気が付いたみたい。
警戒してババっと距離を取ったんだよ。
「信じねぇかもしれねぇがな、お前の居場所を探って来いって云われてただけだぜ。この騒ぎに関しちゃ全く聞いてねぇよ」
「右に同じく!」
「私もー!」
私はピョンと飛んで返事をしたよ。
「ふん、ならば見逃してやる。巻き込まれない内に消えるんだな。二度と会わないことを期待しておく」
ワイトロウはそれだけ云って部屋を出て行っちゃった。
「おいモモ、何時まで俺達を縛ってるつもりだ。早くこっちの拘束も解け!」
「モモ殿、是非頼みます!」
って云ってるけど、
「解いたら怒らない?」
「徹底的に怒る! ……と言いたいが、今までのことはギリギリ許してやる。だから早く拘束を解け!」
「ええ、拙者も怒ったりはいたしません!」
「うん、じゃあ解除するね!」
許してくれるんだって、私は素直に解除したんだけど、
「よし、よく解いてくれたぜ」
「ええ、モモ殿は立派です」
『だからゲンコツ一発で勘弁してやる!(です!)』
二人からコーンって拳が落ちて来たんだよ。
怒らないって云ったのに、頭を殴られちゃった。
結構思いっきりやられて痛かったの。
さすさすしとこう。
(まあ、しょうがないかもね。さっき思いっきり叩いちゃったし)
うーん、御主人が云うなら仕方ないなぁ。
「でもこれで皆を助けてくれるんだよね? このままじゃ皆が酷い目に遭っちゃうよ」
「……確かにそうなるだろうな。逆らった奴は……いや、逆らわなくったってここに居る奴等は全員モンスター扱いなんだ。徹底的に駆逐されるんだろうぜ」
「ええ、きっとそうなるでしょう。老若男女誰一人残らず。例外はたぶんワイトロウ、ホワイト王子だけでしょうね」
「そんなのダメだよ、早く助けに行こう!」
私はベノムとブラッククロウに呼びかけたの。
でも動こうとしないんだ。
「これはこの国が選んだこの国の問題だぜ。俺達が出しゃばって良い訳がねぇ」
「そうですね。拙者達が関われば我が国ウィーディアと軋轢を生むかもしれません。そうなった場合はどうなるか。国に帰っても罰を与えられるかもしれませんよ」
「そんなの知らないもん。行こう御主人!」
(モモがそう望むのなら僕はついて行くよ!)
私は部屋を飛びだしたの。
向かったのは戦闘が激しい前の方。
ワイトロウが指揮を執ってハウリングウルフの大軍と戦っているよ。
それでも数の差が違いすぎるの。
ワイトロウの方がちょっとずつ押されている感じ。
それにどちらもいっぱい怪我人が出ていてすごく悲しいんだ。
助けてあげたい、止めてあげたいって感情が渦巻くの。
白猫ちゃんを出して皆を回復して……。
ううん、それじゃダメだ。
怪我を治しても戦いが長引くだけだもん。
「御主人、どうしよう」
(僕も分かんないよ。一緒に考えよう)
そうだ、考えなきゃ。
アリアにも色々教えてもらったんだもん。
私が出来るのはなんだろう。
なにが出来るんだろう。
ここはやっぱり、やるしかないよね!
「御主人は離れていて、私ちょっと戦ってくる!」
(モモ、一人で大丈夫なの?)
御主人はちょっと心配そう。
「大丈夫だよ、私、強いんだもん!」
(そっか、行ってらっしゃい。僕、待ってるからね。戻ってくるまで待ってるからね)
「うん、絶対戻ってくるよ!」
私はキャットスレイヴを剣にして戦場の中心に飛びだした。
「お、お前、こんな所まで出てくるな!」
ワイトロウは早速私を見つけたらしい。
でも手をふったりしてあげないよ。
今の私はどっちにとっても敵だもん。
子供達を護るため、殺したりはしないけど、多少の怪我ぐらい我慢してよね!
私は近くに居たハウリングウルフを吹き飛ばした。
ワイトロウの軍が調子付くけど、私はそっちも通す気がないからね。
近づくのなら全員もれなく弾き飛ばすんだ!
「さあ、かかってこーい!」
キャットスレイヴを伸ばし、分岐し、うねらせる。
上も、下も、右も、左も、前も、後だって完璧なの。
この攻撃が止まるまで絶対止まってあげないから!
……それでもちょっと数が多いの。
隙間から人が流れて、戦いがまた始まって。
「あー、もう見てらんねぇぜ! モモ、後で説教してやるからな!」
「ええ、流石に仲間を見殺しにはできませんんからね。隊長、後で庇ってくださいね! 責任はお一人でお願いします!」
ベノムとブラッククロウが駆け付けてくれたんだ。
「ふざけろよ、全員同罪に決まってんだろうが! 俺がもし死刑になったらお前等も道連れにしてやるぜ! まあそりゃあ後の話だぜ。いいか、やるからにはウィーディアの強さを見せてやれ。負けることは許さねぇからな!」
「はーい!」
「当然です!」
この二人が来なければちょっと辛かったかも。
でももう負ける要素はないんだよ。
だから私、頑張るね!
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




