再び廃墟の町へ
ウマーの牧場の隣の家。
出てきたのは怪しい男。
私が犯人だーって言ってやると自分から自白し始めたの。
何か魔王軍ってところで参謀をやってるとか云ってたけど、パシッとやったら簡単に倒れちゃった。
家の中も調べてみると計画書みたいなのも見つけたよ。
ウマーに引き渡すと強制労働とかさせるつもりみたい。
私達はお肉のお土産を貰ってウィーディアに帰ったんだよ。
それで皆に出迎えられてお休みしていたらルシフェリアが私の部屋にやって来たよ。
そろそろ約束を果たして欲しいんだって。
また今度にしたかったけど、今回はダメみたい。
次の日に行くことになっちゃった。
さっきまで寝てたから眠さはない……とは言わないけど、顔を洗っちゃえば大丈夫だよね。
「今準備するねー。御主人も!」
(あー、うん、用意するよ)
御主人も手でコシコシ顔をこすったりしているよ。
「うん、待ってるから」
私も直ぐに着替えたんだよ。
寝ぐせも直したし、目もバッチリ覚めて携帯食料もちゃんと持ったの。
「終わったよー!」
「ええ、じゃあ行きましょう。見つからないように静かにね」
私とルシフェリアはシーっと口元に指を当てたんだ。
それからこっそりお部屋を出て隠し通路に向かったよ。
このまま上手くいくのかなーって軽く思ってたんだけど、
「よう、モモじゃねぇか。それと……ルシフェリア様!?」
どうもそういう訳にはいかないみたい。
お城の中を歩いていたベノムに見つかっちゃったよ。
しかもなんかお酒臭い。
酔っぱらってる感じだったり。
「何でこんな真夜中に? まさかお城を抜け出そうなんて思ってやしませんよね?」
冗談っぽく笑っているけど、けっこう声も大きいし、大体それで合ってたり。
「ルシフェリア、どうしよう?」
「うん、これじゃあ出て行ったことが丸分かり。もうここは、ベノムを連れて行って共犯にしよう! モモ、やっちゃって!」
「うん!」
「はぁ? ぐっは!」
私は問答無用で殴りつけてベノムの気を失わせたの。
(可哀想に、運が悪かったね)
「さあ行きましょう、急がないと時間がないわ」
「そうだね」
私はベノムの足を掴んで担ぐと、隠し通路の場所に向かったよ。
誰にも見つからずに入ることは出来たんだけど、
「うおぉ、ここは!? なんだ、何が起こってやがる!」
気を失っていたベノムは目を覚ましちゃったの。
「ルシフェリア、ベノムが起きちゃったよ?」
「大丈夫、ここなら誰にも聞かれないから」
「ルシフェリア様、俺に一体何を!?」
私に担がれて逆さ吊りになってるベノムはバタバタと暴れているよ。
「あなたは私と一緒にお城を抜け出すの。それで北の町に向かうのよ。いい、下手なことをしたら許さないから」
そのベノムを見下げてルシフェリアが声をかけてるよ。
「いや、それは流石に。考え直してくれませんか? こんなのに手を貸したら俺の首が飛んじまうんですけど!」
「そう、ならここで始末するしかないわ。ベノム、今までありがとう。モモ、やっちゃいなさい!」
「えー? 可哀想だよー?」
「そう、絶対可哀想。やめといた方が良いですって!」
死にたくないベノムは必死に説得している。
「モモ、よく考えて、もしこれがバレたならこの生活には二度と戻れないわ。美味しいものも食べられなくなるよ? 友達とも会えなくなるけどそれでいいの?」
「それは嫌だな。御主人、やっちゃってもいいと思う?」
(これたぶんただの脅しだから、やっちゃうふりだけしとけばいいと思うよ)
「そっかー、じゃあそうするね!」
私はキャットスレイヴを剣にしたよ。
ベノムを下ろして剣先を向けてあげたの。
「あー、もう分かりましたよ。やりますから剣を下ろさせてください!」
「ありがとうベノム、これで戦力も盤石よ。モモ、もういいから」
「うん!」
ルシフェリアの指示に従って剣をしまったの。
「あー、一応聞いておきますけど、何しに行くんですか?」
「そんなの決まってる。御父様を助けに行くの!」
「やっぱりそんな感じでしたか。まあ今更止められませんけど、無茶だけはしないでくださいよ。もしものことがあればテルナ様も悲しまれるでしょうから」
「……分かってる」
ルシフェリアはちょっとだけ悲しそう。
お母さんを裏切るのが嫌だったのかも。
それでも行くのを選んだんだから、もう覚悟は変わらないよね。
「じゃあ行こう。朝が来るまでには戻らなきゃね!」
「そうだな。やってやるとするか」
私は御主人を抱っこしたルシフェリアを抱っこしてベノムと一緒に走り出したよ。
秘密通路から町へ出てコッソリ外へ。
ダダダって走って廃墟の町に到着したの。
あのライオンが動かなければここは相変わらず静かなところ。
出来ればこっそり行きたい感じ。
「いよーし、俺があの暴走バカを押さえといてやるぜ。奴には色々と因縁もあるしな。モモ、お前はルシフェリア様の願いをとっとと叶えてこい!」
でも私が戦わなくていいならいっかなー?
「うん、そうするね……でも何処に行けばいいの?」
「あそこ、あのお城よ。あの中に行って欲しいの」
ルシフェリアは中央にあるお城を指さしている。
あそこにお父さんがいるのかな?
(中々不気味なお城だね。モモ、気を付けて行こう)
「うん、そうするよー」
「んじゃ俺は行ってくるぜ! また後でな!」
「いってらっしゃーい!」
(いってらっしゃい)
「気を付けて」
と、ベノムを見送ると直ぐにドゴンバカンともの凄い音が鳴り始めた。
たぶん見つかってあのライオンみたいなのと戦いになっちゃったのだろう。
音が遠ざかってるから距離を取ってくれてるのかも。
なら今のうちに移動しちゃおう。
「じゃあ私達も行くよー!」
「ええ、お願い」
ピョンと壁を越えて瓦礫が積み上がった町の中。
今のところはこっちに攻撃は飛んでこないよ。
急いで黒ずんだお城に向かったんだ。
お城の周りには囲いも何にもなくなってるけど、一つだけ残された正面の門があるの。
「ねぇモモ、あそこから、入りたい」
「うん、いいよー!」
私はルシフェリアの指示通りにその門の前に足止めたんだよ。
懐かしそうに門に手を触れてゆっくりと押し開こうとしているの。
でも瓦礫が邪魔をしてほんのちょっとしか動かなかったよ。
その顔がすごく悲しそうで、
「大丈夫、私も手を貸すから! 行くよ、一緒に!」
私は手を貸したくなっちゃった。
「うん!」
『せーのー!』
例え瓦礫があったって、私の力があれば。
グググ―ッと押して門が開いたの。
その先にあるのは壊れて少しだけ開いているお城の扉。
何が変わる訳でもないけれど、ルシフェリアの心が一つ前に進んだような気がしたよ。
「ただいま、お父さん。今から迎えに行くね」
ルシフェリアはお城のを見つめて足を踏み出した。
私と御主人もそれに付き添ってお城の中には行って行くの。
突然ゴロゴロピシャンと何かが落ちたんだ。
「にゃあああああ!?」
(うわああああ!?)
私と御主人はビックリして隅に丸まっちゃった。
割れた窓から外を見ると星が輝いていた空がモクモクに雲ってゴロゴロいってるよ。
何時の間にか天気が悪くなっちゃったみたい。
「もう、二人ともなにかたまってるの、早く行こう。おいて行くよ」
「うん、行くよー」
(ああビックリした)
ルシフェリアは全然平気みたいだから遅れないようにしないとね。
それでね、懐かしい場所を確かめるようにお城の中をまわったんだ。
壊れていてもここはルシフェリアの大事な場所なんだから、当たり前だよね。
ちょっとずつ、奥へ進む私達の動きに合わせるように、空の雷雲が力強く成長し、ゴロゴロ、ドカーン、ビシャーンと激しさを増していくよ。
「たぶんここ」
ルシフェリアが止まったのは綺麗な飾りのある扉の前。
きっと色とりどりに塗られていたんだろうけど、今は煤で真っ黒になってるよ。
この中に何かが居る。
それは私も感じているの。
「開けるから、お父さん!」
ルシフェリアはグッと押して扉を開いたの。
ビシャンと雷がお城に落ちてお部屋の中が露になった。
部屋の中心で佇む男の人。
頭には一本のねじれた角、背中にはコウモリみたいな翼があるよ。
たぶんこれがルシフェリアのお父さんだ。
でも、あんまりいい感じはしないかも。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




