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家ネコファンタジー 異世界で人になった雌猫は猫になった御主人と一緒に冒険をする  作者: 秀典
カラスさんカラスさん、なんでそんなに真っ黒なの?
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人造人間ギード

 私達を置いて行った王様と王妃様を追い掛け、隠し通路を進む私とディズ。

 結構罠があったりして面倒だけど、避けたり踏み越えたりしながら距離を詰めて行ったんだけど、私達の速度でも全然追いつけなかったんだ。

 気配を辿ると二人は全く別の方向に進んでいるみたい。

 一度止まってまた隠し通路を見つけることになったの。

 私はキャットスレイヴを使って壁を切り裂き、入り口を見つけ出したんだ。

 それから直ぐに追いついたけど、王様達は私達を殺そうとしてきたんだよ。

 ディズが対応してくれて倒しちゃったの。

 でもそれが切っ掛けだったのか分からないけど、王様がゾンビに変わりそうになっちゃった。

 私は猫ちゃんの力を使ってそれを防いだんだ。

 そのお陰で王妃様が協力的になって色々事情を話してくれたの。

 隠し通路を抜けて出たのは町中にある小さな礼拝堂の裏庭だよ。


「ぐぬ……ここは……」


 そこでキャットスレイヴの上で寝ていた王様が起きたみたい。


「お、気が付いたみたいだな」


「うん、普通に人間みたいだね」


 変な所もないみたいだし、ちゃんと喋れるなら大丈夫かな?


「貴様達、あんなことをしてタダで済むと思うなよ!」


 でも逆に元気になり過ぎてまた怒りだしちゃったよ。

 また剣を抜こうとしていたけれど、今は王妃様に没収されているの。


「あなた、このお二人はゾンビに成りそうだったあなたを助けてくださったのですよ。そんな些細なことは忘れてしまいなさいな」


 それに味方になってくれたから説得してくれるの。


「なに?」


「それに今はそんな事をやっている場合ではないでしょう。急いで城に戻ってゾンビ共を燃やさなければなりません。さあ行きましょうあなた!」


「む……うむ。そうかもしれないな」


 実は王妃様には頭が上がらない感じなのかも?


「王様、先ほどはすみませんでした。色々と状況が混乱していたので俺もちょっと血がのぼってて。ほら、お前も謝っとけよ。ここがチャンスなんだからよ!」


 ディズは私の頭を掴んでグッと押してきたんだよ。


「うーん、ごめんなさい?」


 私は別に見てただけなんだけどなー?

 でも一応謝っといたの。


「ふん、こいつに感謝するのだな。今回だけは許してやろう。だが二度目は無いと思え!」


「ういっす。気を付けます!」


「はーい!」


 それで今までのことを水に流してもらったんだ。

 それから私達はもう一度お城に向かったよ。


「おお、王が戻られた、ご無事であるぞ!」


「王妃様も一緒であられる。これは希望が見えてきたぞ!」


 外で結界を作っていた皆は王様の帰還を喜んでいたけど、


「喜んでいる暇などないわ。城にはまだうようよゾンビが漂っているのだ。とっとと火をつけろ。焼いて消滅させるのだ!」


『ハッ!』


 すぐに命令されて準備を始めだしたよ。

 周りに被害が出ないように、お城の周りに結界が張り巡らされたの。

 それからゾンビが居ない箇所を見計らって皆で一斉に城の内部に火の魔法を放ったんだ。


 一人一人はそんなに強くないんだけれど、炎が相乗して威力が増してる感じだよ。

 それでついにお城がボワっと燃え上がったの。

 中のゾンビ達はこれで全滅するのかな?


「こっちはけりが付きそうだな。俺達はグラファア・ズ・ドラグライムを捜しに行こうぜ」


「うん、そうだねー!」


 私達が動き出そうとした時、


「待たれよ」


 王妃様が声をかけてきたんだよ。


「王妃様は何か手掛かりでも知ってるのー?」


「いや、直には知らぬ。ただ単独で行動している人造人間ギードであれば何か知っているやもと思ってな。居場所ならばわかる。一度訪ねてみてはどうだ?」


 その提案にディズの方を見てみると、


「まあまだ何の手掛かりもないしな、それもいいかもしれねぇな」


「じゃあ決まりだね」


 行先が決まったみたい。


「先ほどの礼拝堂から南に向かったところにあるアリアンロッドという雑貨屋を訪ねなさい。そこが彼のねぐらとなっていますから。それと、下手なことにならないようにこれを持っていかれよ。これを店の者にギードに会わせてくれるだろう」


 私とディズは青色の宝石の付いた鳥のレリーフを貰ったよ。


「ありがとう、行ってみるねー!」


「お、助かるぜ。そっちも頑張ってくださいね」


 その場所に向かうから王妃様に手を振ってお城をあとにしたんだ。

 さっきの礼拝堂に到着すると早速南に向かってみたよ。

 アリアンロッドという店は思ったより小さくて中々見つからなかったけれど、人に聞いたらすぐに見つかったんだ。


「お、ここだな。入ってみるぜ」


「うん、行こー!」


 ほとんど人が来ないような古びた雑貨屋。

 品揃えは多いけど、道具も錆びたりしていてあんまり掃除はしてないみたい?

 そんな感じだからお客さんも見当たらないよ。

 隠れ家として使っているならお店が流行らなくてもいいのかも?


 私達は云われた通りにカウンターに座ってパイプをふかしていたお爺さんにレリーフを見せたの。

 無言で店の奥を指さしたからそのまま上がらせてもらったんだ。

 直ぐにみつけた小さな部屋の隅で座っているギードを見つけたよ。


 顔をグルグル巻きにしている包帯も云っていた通りにそのままだし、間から見える顔や皮膚も青くて、しわが寄ってるの。

 気配も人のものとは全然違うんだ。

 ギード本人で間違いないのかな?


「お前達は……」


 私達を不信がっているみたいだから、


「これだよー!」


 私は王妃様から貰ったレリーフをドーンと見せたんだ。


「とりあえず王様と王妃様に関しちゃ無事だ。その代わりゾンビ駆除の所為で城は今焼いてる最中だがな」


「そうか、連絡感謝する」


 でもそれだけ云って黙っちゃった。


「……じゃなくてな、俺達はグラファア・ズ・ドラグライムを捜してるんだよ。何か情報を教えてくれねぇか!」


「なくはない、三つほどあり得そうな場所を選定したところだ。ただ、そこに居るとは限らない」


「ま、何にもないよりはマシだぜ。早速そこに案内してくれ」


「いいだろう」


 ディズはギードと馬が合いそうな感じなのかも?

 でも私は聞いてみなくちゃいけないことがあるんだ。

 それを知らなくちゃ仲良くすることなんてできないもん。


「ねー、何でリュネの家を燃やしたの?」


「リュネとは誰だ?」


 とぼけている感じはないかな。

 普通にリュネの名前を知らないんだね。


「ギードが燃やした家に居た子供だよー」


「そうか、魔導研究者の一人の関係者か。ではすまなかったと伝えてくれ。ゾンビになった奴を止めるためには仕方がなかったのだ」


 謝ってはくれたけど、それでもちょっと納得はいかないよ。


「リュネのお母さんも死んじゃったんだよ?」


「すまなかった、それ以上の言葉はない」


 この人……ああ、人じゃないのか。

 子供を巻き込んでも平気な生き物とは仲良くしたいと思わないよ。


「それだけなんだ。じゃあ私この人とは一緒に行かないよ」


「おい、折角案内してくれるって云っているんだぞ!?」


 ディズが説得してきたけれど、


「私は別行動するよー、ディズは一緒に行けばいいよ」


 私は行かないことを決めたんだ。


「……はぁ、こりゃ仕方ねぇな。行くべき場所が三つってんなら全員で別行動だ。そうした方が奴に時間を与えねぇからな。ギード、お前もそれでいいよな?」


「……いいだろう」


「モモ、お前も場所ぐらいは聞いて行けよ。闇雲に捜すよりはマシだからな」


「うん、聞くだけは聞いて行くよ」


「よし、じゃあ確認だ。ギード、奴は何処に潜んでいる?」


「少し待て」


 と云ってギードはこの国の地図を広げた。


「まずは北にある古い住居群がある場所だ。来月には取り壊されることが決定していてな、もう誰も住んでいないらしい」


 そして一つ目のヵ所を指さしたの。

 お城からずっと北にある部分だよ。


「二つ目はここ。城から南東にある旧魔導研究所だ。ここはレジャー施設としてそのまま使われるらしいが、まだ古い道具なども残されているらしい。奴が潜みそうな気配がする」


 北からはかなり離れている部分を指さした。

 もし別の場所が違っていても結構距離があるから簡単に共闘はできそうもないよ。

 それから三つ目。

 ギードの指はずっと西へ。

 旧魔導研究所とは真逆の場所。


「最後はここ、巨大蟻(ウォーリア・アント)の巣があるそうだ。今はもう全て調べ尽くされ敵も打ち倒されているが、洞窟はそのまま残されているらしい。普通の人間が入ることはないから隠れるのにももってこいの場所だ。怪しいのはこの三つだ。お前達はどの場所を選ぶ?」


「そうだな、聞いた限りじゃ何所も隠れやすそうではあるが、そうだな。俺はこの旧魔導研究所を選ぶぜ。奴も魔導研究員だから都合がよさそうだしな」


 ディズは東に向かうみたい。


「じゃあ私はこの洞窟に行ってみるよ」


 北はなんか寒そうなイメージがあるから嫌なんだ。

 私は西の洞窟を選んだよ。


「なら俺は北か。そうだ、王妃から渡された物がある。お前達はこれを持って行け」


 手渡されたのは程よい感じの水晶玉だ。

 何か見たことがあるけど、これって……?


「それで通信が出来るらしい。もし見つけたのなら連絡を入れて欲しい」


 あー、キャットパラダイスの王様が貰ってたやつだね。


「ま、その前に倒しちまうけどな。ありがたく頂戴しておくぜ」


「これは、ありがとうねー」


 私は一応お礼を言ったよ。

 そして私達はそれぞれの場所に向かったの。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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