包帯の男を捜そう
ギルドで部屋を貸してもらい、私とディズ(ベノム)は調査を再開したんだ。
教えてもらった火事があった場所に向かい、中に入ってみると最上階に一人の子供が泣き崩れていたよ。
御主人が慰めてちょっとだけ元気を取り戻したんだ。
それで事情を教えてもらって父親の知り合いが火をつけたんじゃないかって云っていたよ。
私はこの子を保護してギルドに連れ帰ったの。
一緒にお風呂に入って体と服を綺麗にしたんだ。
それから私は一人でディズを追い掛けたんだよ。
ピョンピョン建物を移動してディズの気配を探って辿り着いたのは、助けた子供、リュネの家と同じぐらい長ぼそい家だった。
丁度今ディズが出て来たから、
「来たよー!」
私は屋根から飛びおりて声をかけたんだ。
「うを!? おま……どこから来てやがるんだ!」
でもかなり驚いてる感じ?
「あそこからだよ?」
どうも分かって無かったみたいだから下りて来た場所を指さしてあげたよ。
「そういうことじゃなくてな、俺が言ってるのは……いやそんなことはどうでもいいぜ。こっちはそれなりの話しが聞けたから他の場所で教えてやるぜ。ここだとちょっと人目があるからあっちへいくぜ」
「そうだね」
ってことで人気のない裏路地に入ってみたよ。
今のところ誰も通ったりしていないから色々聞けそうだ。
「今重要なのは火事を起こした奴の情報だ。お前あの子から何か聞けたのかよ?」
「お名前と年齢を聞けたよ!」
「それだけか?」
「それだけだよー」
ディズはため息をついてる。
「……まあいい、こっちはそれなりに情報が集まって来たぜ。あの子の父親――」
「リュネだよー」
「……そのリュネの父親の知り合いって奴から話を聞いたんだが、どうも国の機関、魔導具を作る部署で働いていたらしい」
「魔道具って……何?」
私はそれが何なのか分かんないから聞いちゃった。
「おい、そこからかよ。魔道具ってのは魔力で動く道具のことだぜ。ほら、今も上で飛んでいる絨毯とか箒とかがそうだ。他にも武器や防具、数えきれない種類の物を研究してるらしい。ま、お前が知らないだけでウィーディアにも同じようなものはあるんだけどな」
「へー」
空を見上げると今も色々飛んでいるね。
「で、その機関に年中黒い包帯を顔に巻いた男が居ると聞いていたんだと。そうなるとやっぱり俺達の予想通りってことになりそうだぜ」
「それでどうするのー?」
「ま、これ以上聞き込みの捜査は難しいだろうな。包帯巻き野郎じゃ風貌も分からないしな。だったらやっぱり潜入するしかねぇぜ」
「私がんばるねー!」
「あん、お前も来るつもりか? 潜入するなら一人の方が都合がいいんだ。俺には変身魔法があるからな、そう簡単にはバレないんだぜ。だからお前は待機してろ」
「えー!」
「お前にはガキの面倒があるだろうが。俺もちょっと接触してくるだけだぜ。ちょっと用意があるからまた明日な。朝には戻ってるからよ。もし戻ってこなかった場合はその時は助けに来てくれよ。ま、そんなことは有り得ねぇけどな! わはははは!」
ディズは自信満々に笑っている。
「そっか、じゃあ待ってるねー」
私はそう返事をしてディズと別れたんだ。
それから宿に戻って御主人やリュネとご飯を食べたりお喋りしたりして待ってたんだけど、ディズは次の日のお昼になっても帰ってこなかったんだよ。
これは何かあったのかも?
(ディズ、戻ってこないね。何かあったのかな?)
御主人も心配してるみたい。
「うーん、捕まっちゃったのかも? 私ちょっと行ってくるね!」
(え、今から行くの?)
「うん、もう何かされてるかもだもん。死んじゃったら困るよー」
(モモ、危なくなったら直ぐに帰ってくるんだよ)
御主人はちょっと心配している。
私が帰らなかったら御主人とリュネは路頭に迷っちゃうもん。
絶対帰ってこなきゃ!
「はーい! じゃあ行ってくるね!」
私は御主人とうつむいていたリュネに手を振って部屋を出たよ。
町の中心にあるお城に向かったんだ。
ウィーディア負けず劣らず大きく立派だから迷うこともないの。
でもね、そのお城はちょっと変な感じがしたんだよ。
見張りもほとんど居ないし、正面の門にも誰もいないんだ。
しかも触ってみたら軽く開いちゃったし。
気が付く人も居ないみたいだし、入ってみれば分かるのかなぁ?
いちおう人の目線をはずすようにして、門を閉じてからピューって中に移動したんだよ。
それでディズの気配はっと……。
「あっちかな?」
やっぱりお城の中から感じるかな。
まだ全然生きているとは思う。
とにかくどこかから入らないと。
私は近くの窓に近づいたんだ。
うーん、でも押しても引いても開かないみたい。
仕方ないからキャットスレイヴで強引に作っちゃおう。
ペンダントを剣状に変化させて軽く振り下ろすと、思った以上にかたくてギャリギャリ音が鳴っちゃった。
何か魔法がかかっている感じ?
「おい、何をしている! 城の中に入るんじゃない!」
その音で遠くに居た見張りの人に見つかっちゃったみたい。
あの人が仲間を呼んで来る前に入ってしまわないと。
今度はもっと強くバシッとやって、窓の部分がスッパリ切れて穴が開いた。
そこから中に入ったんだよ。
ここは応接室?
見つからないように隠れたんだけど、さっき叫んだ人の気配が窓に近づいて魔法で壊した場所を修復し始めたんだ。
その顔は怒っているというより、恐怖して焦っている感じ。
私のことはどうでもいいみたい。
よく分からないけど助かったのかも?
「あ、離れて行ったかな? じゃあディズを捜さないとね」
私はこの中の気配を探ってみた。
ディズの気配はここから遠いみたい。
それに、人とは違うものの気配を感じる。
それも一つや二つじゃなくて相当多くの数だ。
逆に人の気配はまるっきり感じないよ。
ちょっと警戒していると、気配が一つ近づいてきた。
「ううぅ」
それはうめき声を上げて、この部屋の開いた扉から姿を現したんだ。
服装はすごく立派で綺麗な物だ。
でもこれはやっぱり人……じゃない!
顔や体がグチャグチャになって目ん玉が飛び出してるもん。
これってもしかして……。
「あー、私知ってるよー。御主人と一緒に映画見たもん! ゲームとかでも出てたしー!」
名前はゾンビ、向こうの世界でもすっごい有名だったモンスターだ。
鈍いイメージがあったけど、こいつは普通に走ってきたよ。
何かが外れているのか、普通の人間より相当に速いけど、私から見れば全然遅いんだ。
「うーんと、確か噛みつかれたらダメなんだっけ? なら遠くからやっつけちゃうよー!」
私はキャットスレイヴをビョーンと伸ばし、ゾンビをバラバラに切り裂いた。
普通なら死んでもおかしくないんだけれど、これはまだウニウニウネウネ動き続けているよ。
ドンドン近づいているからまた復活しちゃうかも?
だったらここで頑張ってても意味がないっぽい。
私はゾンビをもう一度バラバラに切ってからこの部屋を出て行ったよ。
お城の中の大きな通路、進んで行くと今度は大量のゾンビが佇んでいたんだ。
剣を持ってる奴とか鎧を着た奴とか、さっきみたいに綺麗な服の奴なんかも色々いるよ。
もしかして元は人間だったのかも?
それでも今はモンスターとして扱うしかないんだ。
そいつ等は私の気配か何かに反応して振り向いたけど、
「てええええい!」
もう通り過ぎた後だった。
確認はしなかったけど、バラバラになったゾンビが転がっているはずだよ。
私はそのままディズの居そうな方向へ。
でも流石に全く知らないお城の中は迷路みたいなものなの。
鍵がかかった部屋とか行き止まりとかもあって中々辿り着けなかったんだよ。
周りからは、うーうーあーあー聞こえてくるし、どんどんゾンビも集まって来ちゃいそう。
後で怒られちゃいそうだけど、もういっそ壁とかスッパリやっちゃおうかな?
「うーん、さっき直せてたし、いいかなー? よし、やるよー!」
私は考えた末に大きな真っ白い壁をスッパリバッサリ切り裂いた。
ガラガラ崩れて行く壁の向こう。
「えー!」
そこは大きく広いエントランスホールみたいなところだった。
上にはホールをぐるっと回るような通路とかが見えていて、どこにでも行けそうな感じだけど、中にはギッチギチに詰まった感じでゾンビがたむろしていたんだ。
しかも音に反応して皆こっちを向いちゃったんだよ。
もしかしてこれ全部倒さなきゃいけない感じ?
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




