妖精探索
ベノムが長を務めるブレードバード隊。
私と御主人はそこに入ったんだよ。
訓練とか色々と見てお菓子を食べていたんだけど、そこに緊急の連絡が来ちゃったんだ。
町で火事が起こったんだって。
私は一番先に飛びだして現場に到着したよ。
三階建ての建物から三人を救出して二階の一人も助け出したんだ。
そしてようやくベノム達が到着して火を消して事情を聞いたんだよ。
子供のお母さんから妖精の特徴を詳しく聞いたけど、炎を纏った何かが飛んでいたことぐらいしか分からないんだって。
でもそれがフラフラと空中を移動する生き物だったのは間違いないって云っていたよ。
それを踏まえて焼けた建物の中を操作したけど、やっぱりそんな奴は見当たらなかったんだ。
「ただのウソって感じじゃなかったよな。お前はどう思うよ?」
ベノムが私に尋ねてきた。
「私? うーん、わかんない」
「そうかそうか、お前は知力を能力に変換してるタイプだもんな。聞いた俺が悪かったぜ」
でも意見を聞くと何故かポンポンと肩を叩いて来たんだよ。
(まあモモも一種の脳筋みたいなものだよね。勉強できなくてアリアとかにも怒られてるし)
「御主人、何それー?」
脳筋って、私は筋肉だけじゃないんだよ。
胸だってポンと出ているし。
ほら、これって脂肪っていうものなんでしょ?
(ああ、ごめんごめん、怒らせちゃったかな?)
御主人は直ぐに謝ってくれたよ。
そこまで怒ってないからまあいいや。
「とにかくだ、そんな奴が居るとしたら大変なことになりそうなものだが、町は今のところ平穏そうだぜ。また動き出す前に何とか探し出せる手段があればいいんだがな」
「あ、人捜しならすっごーい子達を知ってるよー!」
(あ、リーズとカリンだね。特徴さえわかれば魔法で捜せそうだよね)
リーズとカリンはエルフの姉妹だよ。
たぶん今もギルドで仕事とかしてるのかも。
「ほう、その有能そうな奴等はどこにいるんだ? 是非教えてもらいたいぜ!」
お友達と一緒ならもう少し楽しくやれる気がする。
「えっとね――」
私はベノムに二人の居る場所を教えたんだ。
「よし、そいつらを今からスカウトに行くぜ。お前も付いて来い、俺だけじゃ怪しまれるかもしれないしな!」
「うん、いいよー」
「他の奴等はこのまま捜査続行な!」
それで御主人を抱っこし、一緒にギルドに向かったよ。
結構近かったからあんまり時間もかからず到着して中に入ったんだ。
居なかったらどうしようかと思ったけれど、
「あら、モモじゃない。それと……誰?」
「兵隊さんですかね? 見ない顔ですね」
丁度良くご飯中だったみたい。
私もお腹が減って来ちゃったよ。
「私お腹空いたからご飯食べに来たよー。リーズ、カリン、一緒に食べようねー!」
「おい違うだろ! そいつらを勧誘に来たんだ勧誘に!」
「あ、そうだった。でもご飯食べたい!」
(そういえばそろそろお昼かも?)
「お昼はご飯食べないと!」
私は力強い意思でベノムに伝えたよ。
「ま、何でも良いけど、こっちもご飯を食べてからじゃないと動かないから。折角注文したんだし」
「そうですよね、勿体ないですもんね」
二人ともやっぱりご飯が食べたいみたい。
「あー、分かった分かった、食っていいからこっちの話しもさせてくれよ。なるべく時間を無駄にしたくねぇんだからよ」
「じゃあお姉さん、注文するね!」
私はウェイトレスのお姉さんに声をかけた。
お肉もお魚もいっぱい注文したけど、結構早く運ばれてきたよ。
折角だからってことでベノムも一緒に食べるって-。
もうお腹は満腹なんだ。
「――ってことで手伝ってほしいんだよ。ついでに隊に入ってくれるとすげぇ助かるんだが」
そしてベノムが事情を説明したんだ。
「ふーん、このギルドで働くよりもお金になるのかしら?」
「別口で国のお手伝いとかしてますからねぇ、それ以上じゃないと行く意味がないですよ?」
一緒に入隊して欲しかったけど、ちょっと乗り気じゃないみたい?
「よし分かった、隊に入るのはなしでいい。その代わり今回の仕事を手伝ってくれ!」
ベノムの方もお金がないみたいだ。
「何の代わりなのよ。私達に頼みたいなら依頼料を支払いなさい。……と言いたいけれど、モモにはお世話になってるしね、今回だけは無料でいいわ」
「ええ、モモさんと出会ってから色々儲かってますもんね。少しならお手伝いしますよ」
「わーい!」
入隊はしないみたいだけど、一緒に働けるのは嬉しいな。
「でも今回だけだからね。友達だからってお金のことでなれ合ってたら関係が悪くなっちゃうしね」
「うん、わかったよー!」
「よーし、じゃあ決まりだ。早速手伝ってくれ!」
「では人捜しの法を使用する為に、その妖精の特徴を出来る限り詳しくカリンに教えてください」
「おう、任せろ、思う存分教えてやるぜ。分る限りな!」
そしてベノムがカリンに情報が伝え、私とベノムに魔法がかけられた。
検索は完璧みたい。
ちゃんとヒットして私の頭の中にイメージが流れて来たよ。
「おいおい、本当に居るのかよ。これは急がなきゃヤベェな。おい行くぞ!」
ベノムの方も同じ感じかも。
「リーズ、カリン、ご飯代ここに置いておくね!」
私は残ったご飯を口の中に放り込んでお金をテーブルに置いて立ち上がった。
『モモ(モモさん)、いってらっしゃい』
「行ってきまーす!」
(行ってきます!)
それからリーズとカリンに手を振ってギルドを出て行ったんだ。
向かったのは炎の妖精が居る場所だよ。
町の南の人通りの少ない箇所にある、まだ建築中の偉い人でも住むのかなって思うぐらいには大きなお屋敷だ。
あとは窓枠とかをはめたら完成しそう。
そんな状態なのに、今日は人が居ないみたい。
もしかしてお休みなのかな?
「まあまあ早く到着できたな。よし、入ってみるぞ」
(モモ、何があるか分からないから気を付けて行こうね)
「はーい!」
私達は開きっぱなしの窓からヒョイっと侵入した。
罠とかもないからすっごく簡単だったんだ。
家具も絨毯も何にもない空の部屋を扉のない入り口から通路へ。
見つけた螺旋階段から二階に上がり、炎の精霊が居るであろう部屋のすぐ近く。
間違いない。
虫のような小さな気配だけど、燃えるような熱気が部屋の中を飛び回っている。
ここからでもそれは感じられるんだ。
素手で捕まえたらすごく熱いかも?
「一気に突入するぞ。お前も遅れるな」
機を見たベノムは小さな声を出し、手の指で数を減らしている。
「行くぞ!」
指の数がなくなり、私達はダッと部屋に突入したんだ。
熱が身を焦がす。
火事、という感じじゃない。
天井、壁、床までドロドロに融けた溶岩みたいになってボタボタと垂れている。
「あつーい!」
「チィィ!」
(うわ、これは!?)
踏みしめた床の熱で足の裏がとても熱い。
もう靴が融けているのかも。
瞬時に飛びだして部屋を出たけど、しゃがんで足をフーフーしたいぐらいだよ。
(モモ、大丈夫!?)
「うん、靴が死んじゃったけど大丈夫だよ」
私は全然無事だったけど、ベノムの方は。
「変な罠を張りやがって、捕まえてやるから覚悟しろよ!」
あ、部屋の中で浮かんで、そのまま炎の妖精を捕まえようとしている。
でも絶妙な感じで天井から熱の塊が降ってきたりして翼が熱で焼けて上手く飛べていない。
それに部屋の入り口も窓の部分もドロドロ融けて閉じ込められそうだ。
「おい、ふざけろよ。まさか閉じ込めるつもりかよ! 急がねぇとヤベェぜ!」
焼鳥が出来る前に倒さないと。
入隊したばかりだけれど、一応私の隊長だもん。
「御主人はここで待ってて! 私行ってくる!」
(大丈夫なの?)
「大丈夫だよ、私にはこれがあるから!」
胸のペンダントを剣状に変えて手に握ると、もう一度ドロドロの部屋に飛び込んだんだ。
分岐して伸ばした剣が壁や天井に突き刺さり私やベノムの足場になった。
頑丈だから融けないけれど、これも直ぐに熱くなっちゃいそう。
「助かっ……てねぇな。どうするんだおい。ただの時間稼ぎだろこれ」
もう完全に入り口がなくなっちゃった。
倒さない限り私達は蒸し焼きにされるしかない。
でも大丈夫。
もう罠は張ってあるんだ。
「かかった!」
キャットスレイヴから伸びた見えないぐらいの細い糸が炎の妖精を絡み取ったんだよ。
もう逃がさない。
あとはこの部屋から脱出するだけだもん。
「たああああ!」
気合を入れて振った剣で部屋全体を分断すると、青い空が見えたんだ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




