表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
41/335

罪の権化

 地下を発見して氷の像がある広場を進み、捕まっている子供達を人質に取っているハウマーを見つけた。

 そこでブリザードザウルスという巨大な恐竜が現れ、私達に襲い掛かる。

 氷の像が作られたのはコイツの所為らしい。

 寒そうなブレス攻撃を食らいそうになって御主人とイブを退避させた。

 私はブリザードザウルスを、ノラは子供達の救出を担当することに。

 かるく倒してやろうとキャットスレイヴに自動攻撃させるものの、そいつの皮膚はかたくて致命傷を与えられない。

 自らの手で連撃を食らわせるとようやくブリザードザウルスは倒れていく。

 私はノラの下へ走るが、ハウマーにより子供を人質に取られて動けなくなっているみたい。

 一気に飛び込むか悩んでいる時、後ろから御主人とイブが奇襲を仕掛けた。

 その隙をつき、私は一気にハウマーの腕を切り落とした。

「手があああ、わたくしの手がああああ!?」


 ハウマーは切り落とされた手を見て嘆いている。

 やった私が言うのもなんだけど、ものすごく痛そうだ。


「いい気味だニャ。ちゃんと手当しニャいと死ぬだろうが、お前には色々聞きたい事があるんだ。今までやった悪事を白状しやがれ!」


 あっちのことはノラに任せて私とイブは子供達の拘束を解いたんだ。

 さっきのナイフ傷がある子が居るだけで他の子達に怪我はないみたい。

 私は白猫ちゃんの力で傷を治してあげたよ。


「そっちも治すー?」


 ついでにノラの方にも聞いてみた。


「そんな事をする必要はニャいぜ。それなりに苦しんでもらわニャきゃ割に合わないからニャ! 死ぬ直前まではこのままでいいぜ!」


 でもまだやらないでいいんだって。

 かなり怒っているみたいだから拷問でもしちゃいそうな感じだ。


「とにかくだ、後のことは俺に任せてお前等もう帰っていいぜ!」


 そのまま床に蹲るハウマーを冷たい目で睨みつけている。


「待て、そいつがどれ程の罪を犯そうと我が国の罪人だ。下手なことをするなよノラ?」


 でもそれを止めるようにイブが剣を突きつけた。


「……はいはい、お姫様の云うことは聞きますよ。流石にこれ以上罪を増やしたくないんでね。命拾いしたなおい」


「よし、ならば連行させてもらう。これ以上の抵抗はするなよ」


「……ふふ、ははははは、わたくしが逃げる? なぜ逃げなければならない。こんな傷みを与えたお前達を放っておいて逃げる訳がないだろう! 貴様達は自らの手で地獄に送ってやるぞおおおお!」


「そんニャ状態で一体何をするつもりだ? 無駄なことは止めて――」


 ハウマーの体がベリっと割れた。

 虫が羽化するように中から何かが出てこようとしている。

 これはもしかしてグリマンという男がやった事と同じかも……。


(モモ、これ前にあったよね!?)


「うん、二人とも危ないよー!」


 私はノラとイブを掴み後ろに退避させた。


「うお、いきなりニャんだ!?」


「おいモモ何をする!」


 ノラとイブは文句を云っているけれど、その瞬間、どばーっとハウマーがハウマーの体から飛びだしたんだ。

 人型ひとがたではあるけれど、それが人では無いものなのは確かだろう。

 体は倍ぐらいに大きくなり、魚のような鱗がビッシリ生えたものになってしまった。

 それに背中に骨のような翼、あの恐竜みたいな尻尾も生えているみたい。

 これはドラゴンという生物に近いのかも?


「生まれ変わった気分だ。この右腕の仇、取らせてもらう。……先ずは貴様だああああ!」


 その化物、ハウマーはビュンと加速して空中を飛び回る。

 最初にノラを狙ってグンと近づいて来た。

 私よりちょっと遅いぐらいだけど、これは反応できないスピードかも?

 そう思った私はノラをグッと後ろに引っ張った。


「うおおおおおお!?」


 でもちょっと勢いがつき過ぎちゃったみたい。

 ブリザードザウルスと戦った余波で凍り付いた地面にギャリギャリと滑っていく。

 平じゃないから凄く痛そう。


「お前、痛いだろうがバカ野郎!」


 やっぱり怒られちゃったよ。


「ごめんねー!」


 私はノラを見ずに謝った。


「ごめんじゃニャえわ! 背中がヒリヒリするぜ!」


「云ってる場合か、敵が向かっているぞ!」


「うおおおお!?」


 イブの注意でようやく気が付いたノラは急いで回避した。

 距離があったからギリギリ躱せたけれど、次は難しいのかも。


「すぐ行くよー!」


 私が加勢に向かおうとしたら今度は反転してイブ達を狙おうとしているみたい。

 下手に動いたら誰かやられちゃいそうだ。

 イブと子供達三人、御主人も一緒には運べないよ。


 手がいっぱいあればいいんだけど、私の腕は二本しかないもん。

 じゃあやっぱり、キャットスレイヴを使えば何とかできるかも!

 私は剣を手放した場所に向かおうとした。


「何か狙っているな? だがさせん!」


 でもハウマーが察知して私の前に立ち塞がったんだよ。


「たあああ!」


「うおおおおお!」


 二度三度撃ち合ったけど決着がつかず、やっぱりノラやイブを狙うことにしたみたい。

 また空中を旋回して私の隙を伺っている。

 これはちょっと大変そう。


(モモ、キャットスレイヴが欲しいんだね。だったら僕が取ってくるよ。あと返事はしなくていいからね。あいつにバレちゃうし)


 そんな私のピンチを見て、イブの近くに居た御主人が動いてくれるって。

 すごく嬉しいけどちょっと心配だ。


(僕に任せて。あいつだって小さな動物になんか構ってられないでしょ。ちょっと行ってくるね!)


 御主人が走りだす。

 気が付かないように守ってあげないと。


「中々厄介な奴だ。だったらこれならどうだあああ!」


 またハウマーが動き出す。

 周りにあった氷の像を破壊し、大きなつぶてを私達全員に投げつけた。


「させないよー!」


 私は皆を護る様に移動し、払い、打ち返す。


「クソ、相変わらず早えな!」


「ノラ、一度集まるぞ。離れているとモモの邪魔になる!」


「そんニャもん分かってるわ!」


 その間にも流れ弾を躱しながら二人が合流しようとしているけど、ハウマーもそれをさせないように二人の間に立ったりして邪魔をしてくる。

 すごく厄介だ。

 これを切り抜けるには……。


(モモ、取って来たよ!)


 御主人の力だ!

 重そうにキャットスレイブの柄を咥えて引きずってくる。

 頑張れ御主人、もう少しだよ。


「なるほど、そんな事を企んでいたわけだ。だが、させるかあああ!」


「やらせないからー!」


「ニャめんニャこらああああ!」


「ここで動かなければ、この国を護るのに値しない!」


 私が前に、ノラが、イブが、自らの武器を投げ捨ててまで御主人を守ってくれたよ。


(モモ!)


 そのお陰でついにキャットスレイヴが手の中に。


「うん、ありがとう御主人。後は任せてね!」


「たかが剣の一本増えた程度で……勝てると思うなあああ!」


 もう皆の武器もなくなっちゃったけど、これがあれば大丈夫!


「もう負けないから!」


 どんなに相手が速くたって、私の手数は無限なんだ!

 直ぐにキャットスレイヴを分岐させ、その三本で御主人とノラとイブを近くに引き寄せた。

 攻撃、防御、もう隙なんてないんだよ。

 ハウマーがする何もかもを否定して逃げ場までも塞いだんだ。


「こんなものおおおお!」


 ガンガンゴンゴンとキャットスレイヴの籠檻を攻撃するけど、そんなことじゃ壊れたりしないよ。

 後は勢いよく縮めて、


「ぎゃああああ!?」


 ガチっと拘束してやったんだ。

 ハウマーはその衝撃に耐えきれずに気を失ったみたい。

 これでもう絶対に動けないから。


「わーい、勝ったよー!」


 私達の勝ちなんだ!


(モモ、お疲れ様)


「御主人もがんばったね!」


 私は御主人をよしよしした。


「ふぅ、思ったよりも面倒だったぜ」


「お前はほぼ何もしてないだろう。モモに感謝しておけ」


「そりゃお前もだろうが!」


 二人とも大した怪我がなくていい感じ。

 でも私がやった背中の傷は早く治してあげないと。

 白猫ちゃんを呼び寄せて早速治療を終えたんだ。


「まあとにかくだ、どこでこんな力を手に入れたかを聞く必要がでてきたな」


「ああ、人間の体が割れるニャんてただ事じゃニャいだろ。この国が作った魔物との融合ってやつか?」


「私も詳しくは知らないが、こんな人の姿を脱ぎ捨てるようなものではなかったはずだ」


「まあ、色々聞きたい事が増えたってことか」


「それはいいとして、一つ問題がある。城からコッソリ抜け出した私達がどうやってコイツを引き渡すかという問題だ」


「そりゃあ俺が連れて行くから問題ニャ……あ、やっぱり無理だわ。この剣外したら手が付けられニャいし」


「ということは……」


 あれ、何で二人とも私を見てるの?


(モモ、残念なお知らせが来そうな雰囲気だよ。覚悟しておいた方がいいのかも?)


「えー?」


『モモ、私(俺)達のために一人で城に連れ帰ってくれ』


「えー! でもでも皆に怒られちゃうよー。アリアにも出て行っちゃダメって云われていたし!」


 すごくお断りしたい雰囲気。


「モモ、お前しか出来る奴が居ないんだ。分ってくれ。こんな化物は普通の奴では対処のしようがないんだ」


「これも国の為だろ。がんばって怒られてこいよ! 俺は陰で応援しているぜ!」


 でも結局全力で説得されまくった私はハウマーを連れ帰ったんだ。

 やっぱりいっぱい怒られたよ。

 色々がんばったのにちょっと悲しい。

 二人には美味しい物でも御馳走してもらいたいな。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

王女ルシフェリア

王女イブレーテ(長女)

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)

クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ