王女同行パーティ
かくれんぼで御主人がシャーンとルシフェリアを見つけ出した。
御主人は誉められて満足気だけど、イブレーテに自分の部屋に来ないかと誘われてしまう。
いい条件を出されてすごく悩んでるみたい。
もしかして私は捨てられちゃうの?
ちょっと悲しくなって泣いてしまったけれど、冗談だと分かってイブレーテとも少し仲良くなることが出来たんだ。
それから何日か時間が経って、私にお客さんが来たんだ。
それはキャットパラダイスで出会ったノラだった。
この国にもストレイキャットの子供を買った人物が居るみたい。
話をしようとしているところにシャーンとルシフェリア、さらにイブレーテまで入ってきて中断してしまった。
ちょっと王族に失礼な態度をとって逃げて行くノラ。
ノラの事情を話し、イブレーテが同行することになっちゃった。
怒られないかちょっと心配だよー。
「こっちだ、着いて来いモモ」
「うん」
私と御主人は、鎧を着て変装したイブレーテに案内されて、お城の秘密の通路を通って町の建物の中に出た。
出口に見張りとかもいないし、誰にも見つからなかったんだよ。
「モモ、この通路のことは誰にも云うなよ? シャーンやルシフェリアにもだ」
「うん、大丈夫だよー」
(まあ緊急用の通路だし、下手に広がったら不味いしね)
それからギルドに行ってノラと会ったんだ。
「お待たせー!」
「待たせたな」
「その声……ニャんでお前まで居んだよ! 帰れ、今直ぐ帰れ! 俺が悪者にされちまうだろうが!」
変装しても分かるみたい。
ノラはイブの姿に驚いている。
「ふん、モモに聞いたぞ。お前は元々悪者なのだろう。だったら気にするな! 私はこの国に巣食う悪意を許してはおけない。何があっても同行させてもらうぞ!」
「俺はもう足を洗ったんだよ。それにガキを連れて行動できるか!」
「ほう、私が護られるだけの存在だと? この剣がどんなものなのか、その身で試してみるか?」
イブは剣を抜いちゃった。
また喧嘩しちゃうのかな?
「そんなのやってられるか! 本物の犯罪者にニャっちまうぜ!」
「怖いのか?」
「怖えわ!」
逃げ惑うノラ、剣をふりあげるイブ。
ギルド内はどっちが勝つのか賭けが始まりそうな雰囲気だ。
(やっぱり仲良くはできないんだね)
「仲良くすればいいのにねー」
私と御主人は食べ物でも注文しようと席に座ったのだけど、
「じゃなくって、あんた達も仲間なら止めてくんないかな。ギルド内での争いはご法度なんだけど。してくんないなら注文も受け付けないし、ギルド証も取り上げちゃうわよ!」
ウェイトレスのお姉さんが笑顔ながら怖い感じで私に声をかけて来た。
ギルド証はどうでもいいけど、ご飯が注文出来ないのはすごく困る。
「じゃあ止めてくるよ。その代わりお肉持って来てー!」
(あ、僕も何か食べたい)
「御主人のもー!」
私は御主人を指さしてアピールした。
「あいよ。止めたらね」
「行ってきまーす!」
ピョ―ンと飛び跳ねてノラの後ろに回り込む。
そっとわきから手を入れて動きを止めたんだ。
「お、お前、手を放せ!」
「よし、そのまま動かすなよ」
「うん!」
「うん、じゃニャえし! 分かった、同行を認めてやるから剣をしまえ!」
動けないノラは降参してくれたよ。
「ふん、最初からそう云えばいいのだ」
イブも剣を収めて落ち着いたから料理の注文ができたんだ。
美味しいご飯を待ちながらノラからターゲットの情報を聞いたよ。
「奴の名はハウマー・ラグラッシュ。この国では商人名乗っている奴だ。実際衣服を扱う店を出してるようだが、その実態は違うぜ。人以外のあらゆる種族、魔物を売買して儲けを出す闇商人の一人だ。こいつに買われたストレイキャットの子供を助け出すのが目的だぜ。この国の法律で裁くなんて悠長なことはいうニャよ。ことは一刻を争うんだからニャ!」
「安心しろ、そんな事を言う積りはない。そうとう稼いでいると睨んでいたが、裏でそんなことまでしているとは。やはり許してはおけないな!」
「そうかよ、じゃ後はお前が来るかどうかだ」
ノラとイブは私を見つめている。
その答えは簡単だ。
「もちろん、行くよー!」
(ここまで来て行かない訳がないよね)
私と御主人は行くことを選んだ。
食事の代金はノラがもってくれたからガッツリご飯を食べてハウマーの店へ。
ちょっと離れて覗いてみたけど、巨大ということもなく、周りとも馴染むぐらいのごく普通の店だ。
この時間はもう閉まっている。
けど、それは全然関係ない。
子供達を助け出すのが目的なんだし。
「で、どうやって忍び込むんだ? 品物を扱う店であれば戸締りは完璧だろう」
「ふん、そんニャものはどうとでもニャるぜ。俺が何してたか知ってんだろ」
ノラは店の扉の前まで進み、針金のような物を使って簡単に開けてしまった。
「こんニャもんこの程度だぜ」
「自慢している場合か、誰か来る前に侵入してしまうぞ」
「そうだねー」
(喋ってたら見つかっちゃうよ。こっそり入ろうね)
お店の中は何の音もしていない。
多くの服が飾られているだけだった。
それに、私が感じてるのは、
「何処にもいない感じがするよー?」
子供どころか人の気配が全くないみたい。
「そんニャ簡単にみつかったら苦労しないぜ。ここは表の店だっていっただろ。俺の情報じゃ、この店の地下が怪しいってことだぜ。どこかに入り口でもあるんじゃニャいか?」
「それじゃあ探さなきゃだね。どこにあるんだろー? 御主人、分からない?」
(いや僕に云われたって分かる訳が……)
「そうか、リッヒスタイナーなら見つけられる可能性があるな。お前の能力にかかっている。すぐに見つけてくれ!」
ストレイキャットでないイブにはちょっと暗すぎるかも?
キョロキョロしていてたぶん影ぐらいしか見えていないよ。
人が居ないのは分かったからちょっとした灯りをつけたんだ。
「イブ、御主人は御主人だよー」
「仮にも王女である私がそんな名前で呼べるものか! 私が猫の召使みたいじゃないか!」
「御主人なのにー」
イブには今後御主人の名前を呼ばせよう。
(はぁ、もう何でもいいや。ちょっと探してみるね)
「よし行け、お前の賢さを見せてやれ!」
「御主人がんばれー!」
私とイブは御主人の行動を見守った。
低い視点でキョロキョロ店の中を見回している。
「お前等、そんな猫に期待し過ぎじゃニャいか? 真面目にやらニャいのなら帰って……」
(あ、何かあるよ)
「わー、何か見つけたってー! やっぱりすごいね御主人!」
「おお、よくやったぞリッヒスタイナー頭を撫でてやろう」
「ってまだ決まった訳じゃニャえだろ。どこに何があるんだよ?」
(ほら、あれあれ)
御主人は服が置かれた棚の一番下の出っ張りの裏にあるボタンを手で指している。
こんな見えない所にあるなんてすごく怪しい。
「……本当にあったし。だが地下に行く物とは限らニャえぜ。誰か呼び寄せるブザーのようなものかもだしニャ」
「そんなの押してみたら分かるよー」
「ふん、リッヒスタイナーが間違える訳がないだろう」
「……ま、どうせ押さなきゃ分からニャえんだ。一応警戒はしておけよ」
っと、ノラがボタンに手を伸ばす。
グッと押し込むと服売り場の一部がグゴゴゴゴっと動きだし、地下に伸びる階段が現れたんだ。
やっぱり御主人のお手柄だったよ!
「御主人すごいねー」
「よくやったぞリッヒスタイナー」
私とイブは御主人をよしよしした。
(えへへ、嬉しいな)
そんな間にもノラはもう階段のところに行っている。
「おい、猫ニャんぞ撫でてないで早く行くぞ。子供達が待ってるんだからな!」
「そっか、そうだねー」
「良いだろう、行ってやる。私の手で全員助け出してやる!」
気を付けながら下りて行くと、ひんやりと冷たい空気を感じ始めた。
本当に氷でも置いてあるぐらいに寒いんだ。
あんまり長居はしたくないけど、子供達のためにも頑張ろう!
ふんと気合を入れて進んで行くと、大きな広場に到着した。
「おい、これは!」
「バカな!」
そこには本当に氷の像が置いてある。
翼を広げた大きな鳥、今にも襲い掛かって来そうな雰囲気のある怪獣みたいな奴。
人を呑み込みそうな大きな口を開けたような触手のある植物。
巨大な棍棒を振り上げている巨人のような奴。
……それだけじゃない。
顔を覆った裸の女の人、恐怖で腰を抜かしている男の人。
泣きじゃくって助けを乞う子供。
カチコチに凍った氷の内には本物の生き物の姿があった。
この中にストレイキャットは居ないけど、居ないんだけど。
とても……背中がザワザワする!
ハウマー・ラグラッシュ、見つけたらお仕置きしてやる!
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女イブレーテ(長女)
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




