アインハルトの命運は如何に?
ランスロットの屋敷に案内された私と御主人。
お部屋で面会すると手紙の内容のことで話をした。
即座に了解してくれたけど、一応条件もあるらしい。
それは後々レオに話してくれということで、私はお土産と水晶玉を貰ってニャンコパラダイスに帰って行った。
お土産は道中でなくなってしまったけれど、レオにはちゃんと水晶玉を手渡すことができた。
それは向こうの国の通信手段みたいでランスロットとレオは直接話をしたんだ。
あとは大丈夫だからと宿に帰らされたのだけど、七日が経った頃にクロが私達の部屋に。
アインハルトこの国に向かっているという情報だ。
会議場で色々話し合い、その日を迎えた。
「アインハルト・ディ・グライナス伯爵、よくお越しくださいましたニャァ。ニャンコパラダイスは伯を歓迎いたしますニャァ」
クロは私達に分かるように四頭立ての馬車の座席に乗っていたアインハルトに声をかけた。
「う、うむ、歓迎痛み入る。クロ殿、よろしくお願い致しますぞ」
顔を見せたのは落ち着いた感じの衣装に身を包んだ細身の男だ。
年齢は四十ぐらいはいってる感じ。
特徴は綺麗に整えられた口ひげだ。
ぎこちない笑顔は悪い事をしてバレているんじゃないかと考えているからかな?
でもそんな簡単に詰め寄ったりはしないんだよ。
「さあこちらへ、ご案内しますニャァ。もしなにかあるようでしたらこちらのノアールに云いつけてくださいニャァ」
「よろしく御願いします、グライナス様」
クロが紹介したのは隣にいたノラだ。
フルフェイスで顔が隠れるような兜で頭を下げている。
「グライナス伯爵、この者はアール、今年入団したての荷物持ちですニャァ。こき使ってもらっても構わないですニャァ」
「アールです、誠心誠意お世話させていただきます」
「う、うむ、よろしく頼む」
「長旅でお疲れでしょうニャァ。王への面会は後にして今日はゆっくりとお寛ぎくださいニャァ」
「そ、そうだな。そうさせてもらおう」
それからアインハルトは私達の泊まっている宿の隣に泊まるんだって。
私はそこで看板娘をやるんだよ。
だから急いでその場所に移動し、
「いらっしゃいませー! ここはすっごい良い宿屋だよー!」
あとから来たアインハルトに挨拶をした。
『いらっしゃいませアインハルト様、すっごい宿屋に欲お出でくださいました。是非寛いで行ってください!』
リーズとカリンも従業員として働いてるって設定なんだ。
もちろん御主人もカウンターの上にいてくれるよ。
「うむ、食事はこちらで用意してあるから必要はない。それと部屋には来ないでくれたまえ、ゆっくり休みたいからな」
「はーい!」
この宿はアインハルトと付き添いの部下が泊まるんだって。
「アールと言ったな、お前ももう帰ってもいいぞ。ここは私達だけで充分だ」
「いやそういう訳には行きませんよ。クロの奴から言い付けられていますからねぇ。それにアインハルト様、俺に色々と話があるんじゃないですか!」
「何を云っている、貴様などに話しなど!?」
「そうですか、俺はよーく知っているんですがニャえ!」
ノラが兜を外すとアインハルトの顔に焦りの色が。
「お、お前、何故ここに!? 捕まったのではなかったのか!?」
「ああん、あんなの影武者に決まってるじゃニャいですか。これからもよろしく頼みますよ、アインハルト様ぁ!」
そんなやり取りを何事かと皆が様子を窺っているが、
「お前達、ここはいいから外を警備していろ」
ハッと気が付いたアインハルトに全員追い出されたみたい。
もう邪魔者は居なくなったかな。
「とにかくここで話すことではない、奥の部屋に行かせてくれ!」
「ええ、いいですよ。じっくり話し合おうじゃニャいですか!」
私達から離れるように二人が奥の部屋に入って行く。
ちゃんと扉が閉まる音をこの耳で確認し、
「お部屋に入ったみたい」
私はリーズとカリンにそのことを伝えた。
でもここからだと会話の内容まではハッキリ聞き取れない。
「そう、じゃあこっちも行動開始よ。ま、さっきの反応だけでもほぼ決まりみたいなものだけど、もう少しダメ押しと行きましょう」
「モモさん、がんばりましょう!」
(モモだけだと心配だし僕も行くよ)
「うん!」
私と御主人はこっそりお部屋の前に忍び寄る。
お耳を当ててみると二人の声がハッキリと聞こえてきた。
「こうして会うのは初めてですニャぇ、アインハルト様。いやぁ、ボスって呼んだ方が良いんですかニャぇ!?」
「お前にボスと呼ばれる筋合いはない! 私はマグナストリスの伯爵だ! 何処かの誰かと勘違いしているのではないのか!?」
声からしてそうとう焦っているのが伝わってくる。
「へぇ、あんニャ反応をしていて今更惚けるんですかぃ? まあどうでもいいか、これからも仲良くやりましょうや、人攫いの仲間としてね」
「ば、馬鹿者、だから違うと言っているだろう! あまりしつこいと誰か呼ぶことになるぞ!」
「おやぁ、誰か呼んでも良いんですかぁ!? 本当にぃぃぃ!?」
「うるさい、もういいから出て行け! 私は忙しいのだ!」
「はいはい、じゃあ出て行かせてもらいますよ。用がある時は気軽に声をかけてくださいニャえ!」
「早く出て行け!」
話合いが終わったみたいでノラが扉を開けて部屋から出て来た。
こちらをチラッと見て、声もかけずに何処かに行くみたい。
私はもうちょっとだけアインハルトを観察しておこう。
何か言わないのかなと待っていると、
「ノラの奴め、私に接触して何のつもりだ」
「ふん、奴もこの国の人間だからな、どうせ我々の尻尾でも掴むように云われているのだろう。下手なことを云うんじゃないぞアインハルト」
誰かと喋っている声が聞こえてくる。
部屋の中には気配が一つ。
ノラが出て行ってから変わってはいない。
レオに渡した水晶玉を使っている……という感じでもないかも?
この声は両方ともアインハルトのものみたい。
「ああ、分かっているさ。この場を乗り切って国に帰ってやる! もしもの時はお前の力も貸してもらうぞ」
「当然だ、私はお前なのだからな」
うーん、ちょっと気になる。
こっそり覗いてみようかな?
ノラがほんの少し隙間を開けてくれたからそこから中を覗きこんでみよう。
そーっと顔を近づけてみると、やっぱり喋っているのはアインハルトだけみたい。
これはえーっと、二重人格とかいったっけ?
たぶんそんな感じだ。
とにかく一度戻って皆に伝えてみよう。
私は御主人を抱えて音を立てないように扉の前を移動したけど、
「そこに誰か居るのか!?」
通り過ぎる気配で見つかっちゃったみたい。
アインハルトが部屋から出てこようとしている。
(大丈夫、僕に任せて。モモは先に戻ってていいよ)
やっぱり御主人は頼りになる。
私は足音を消して曲がり角に潜んだ。
「猫の鳴き声?」
「いや、ちゃんと確認しておくべきだ。扉を開けろ、アインハルト!」
「む、確かに」
私の腕から飛びおりると、開いた扉の隙間に手を突っ込み、頭でドアをこじ開けようとしている姿を見せつけた。
ニャーンと鳴いておねだりをしている。
「何だ、やっぱり猫か。あっちへ行っていろ! シッシ!」
でも何にも貰えず追い返されちゃったみたい。
御主人には後でオヤツを持って行こう。
それから無事に戻って来た御主人を回収し、宿のカウンターに戻って行った。
リーズとカリンにも相談してたんだけど、
「ふーん、二重人格ね。じつはそいつが指示している可能性もあったり?」
「まあどちらにしろ同一人物ですけどね」
「ああそりゃそうか、じゃあ別に何の問題もないんじゃない?」
別に関係なさそうな感じ?
「じゃあこのまま夜の作戦だねー!」
(モモ、内容は覚えてるよね?)
「……なんだっけ?」
(じゃあもう一回復習しよう。モモの出番は――)
★
虫の声ぐらいしか聞こえない静かな夜。
「うおおおお、誘拐犯を捕まえたニャアアアア!」
町中に響く大きな声。
それは私達がいる宿にまではっきりと聞こえてくる。
クロに捕まった犯人は本物の誘拐犯の一人だ。
私とフェンリルが山で捕まえて来た奴だ。
減刑されるって聞いて喜んで協力してくれたんだって。
ここから始まる活劇は、かなり賭けの部分が大きくて上手くいくのかは未知数なんだって。
(そろそろこっちに来るころだよ)
「うん!」
少しだけ待っているとガシャがシャと鎧の鳴る音が近づく。
もちろん来るのはこの宿屋だ。
私達は窓から覗いて様子を窺っていると、アインハルトの護衛達が何ごとかと宿の前に集まってきた。
「お前達、邪魔をすれば共犯とみなすニャァ。この誘拐犯がアインハルトが指示していたことを白状したのだからニャァ!」
護衛達は顔を見合わせてちょっと戸惑っているけど退く気はないみたい。
「ならば全員捕らえるニャァ!」
動きだすクロの部隊。
あらかじめ数を想定して部隊を組んでいるから、相手に勝ち目はないんだよ。
ちょっとの抵抗があったけど、どちらにも重傷者が出ずに無事に全員無力化したみたい。
そしてやっぱり……。
「こ、この騒ぎは何事だ!?」
部屋にこもっていたアインハルトも出て来たよ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




