取り返して来たけれど!
甲虫蜘蛛をバシッと倒し、グネグネしている道を進む。
途中で洞窟を見つけて入ってみると、そこが盗賊の塒だったんだ。
見張の二人を制圧し、奥のところも全滅させたよ。
大きな鉄扉を切り裂いて中にあった物を取り返したの。
だけどかなり貧乏な盗賊だったね。
「あ、あの。俺達はどうなるんでしょうか……」
目の前の盗賊はガクブル震えているよ。
「うーん、どうしよう?」
(そうだねぇ。放って置いたらまた悪いことしちゃうもんね)
「ま、別に良いんじゃない。私達は盗賊を倒せって依頼を受けた訳じゃないんだから。やるにしても次に依頼が出てからよね」
「まあ、ここで倒すよりも依頼が出てからの方がお得ですもんね。次は容赦なく叩き潰してあげましょう」
「そうならない為にもとっとと足を洗うのをお勧めするわ。というかもう依頼が出てるかもしれないわね。あの商人怒っていたし」
「それじゃあ直ぐに町に戻って依頼を受けてこよー!」
「そうね。私達の足ならまあ三時間もあれば戻ってこられるから、それまでに居なくなることをお勧めするわ。次は血みどろの惨劇だから」
「はいいいいいいいい!」
流石に脅しが効いたみたい。
仲間達を叩き起こし逃げて行く。
それじゃあ今の内っていうことで荷車を引いて帰るんだ。
途中で荷車の車輪が片方壊れちゃって大変だったけれど、トンテン直して頑張った。
でも結局動かせなくなっちゃたからヒョイっと持ち上げ移動する。
甲虫蜘蛛の隙間を抜けてようやく出た草原エリア。
ここは人も通らない場所だからにあの商人の馬車が通った跡しかないよ。
これを目印に進んでいけば道案内はいらないね。
★
ポポーンって戻ったウィーディアの首都。
これから商人を捜すところ。
「えっとー、何処に運べばいいんだっけー?」
出かける前に商人の人が教えてくれていたんだけど、動いている間に忘れちゃった。
「確か……ケロツツジ亭なんだっけ?」
「お姉ちゃん、黒羊亭ですよ。結構有名な宿屋ですから忘れないでください」
「あらそうだったかしら。じゃあそこね」
(僕は知らないなぁ。その宿は何処にあるのかな?)
「え~っとですねぇ。大通りからは少し外れますが立地の良い場所にあったはずです。お手頃な値段で冒険者達に人気があって私達の泊まっている白羊亭とライバル関係なんですよ」
「へ~、それは知らなかったわ。じゃ、案内よろしく」
「ではこちらに」
カリンに案内されて黒羊亭。
大きな三階建てのログハウスみたいな感じ。
もう夜になっちゃったからギルドや行っていたり仕事をしていた冒険者が続々と戻ってきている。
入ってみるとギルドみたいな騒がしさはないよ。
寝ている人の近くで煩くしていたらトラブルになっちゃうもんね。
一階には受付があり、女将さんみたいな人がお客の相手をしている。
あそこで聞けば部屋を教えてくれるかも。
早速聞きに行ったんだ。
「こんばんは! 私達人をこういう顔の商人さんを捜しているの。出来れば教えてくれないかなー?」
私は手振り素振りで商人を表現してみたよ。
「こちらにも守秘義務ってものがあってねぇ。簡単に教える訳にはいかないのさ。本当にその人の紹介があるのかい?」
訊ねてみたらこんな感じ。
「あるよー! 私達あの人の荷物を持って来てあげたんだもん。渡してあげなきゃ困っちゃうよー?」
(うん、折角獲り返してあげたのにね)
「そうよそうよ。結構大変だったのよ!」
「そうですそうです、働き損になっちゃいますよ。要らないというならいいんですけれど、本当にいいんですか?」
「……あんた達。まるっきり名前を言わないけれど、それでどう信用しろっていうんだい? いい加減にしないと怖い人達を呼んじまうよ?」
(う~ん、これは困ったね。会わせてくれさえすれば分かるはずなんだけど)
「それじゃあ荷物を持って来たって伝えてよー。向うはそれで分かるはずだからー!」
説得してみたけれど、まだ疑っているね。
お城の関係者だとか色々伝えて最後は折れてくれたんだ。
伝えるだけ伝えてくれるんだって。
女将は階段を上って商人の気配の下へ。
「荷物が戻っただってえええええ!?」
そしたらドタドタ大慌てで下りて来ちゃった。
商人さんで間違いはないよ。
「まさか本当に君達がやってくれたのか!? ああ、信じて待っていて良かった! で、積み荷はどこに!?」
信じている様には全然見えなかったけれど、まあいっか。
外に置いてある荷車のところに案内してあげたんだ。
「おお、これは正しく運搬していた商品類! ありがたいありがたい! これはお礼です。どうぞお受け取りください!」
ちゃんと荷物があることを確認して大喜び。
お礼にって渡されたのは取り換えして来た荷物の一つ。
結構大きな風景画だよ。
風車と丘が描かれているね。
ちょっと高そうな雰囲気がして受け取るのを躊躇っちゃう。
「高そうだけど本当に良いのー?」
「ええもちろん。むしろ是非!」
と、商人は押し付けるように渡して来たの。
「ま、貰っておけばいいんじゃない?」
「そうですね。それを売っちゃって美味しいご飯でも食べちゃいましょう」
「うん、じゃあそうするよー! ありがとー!」
「いえいえ、こちらこそ。感謝してもしきれませんとも。今後ともごひいきにして頂けたら幸いです。それではまたお会い致しましょう!」
そんな感じで商人とお別れしてね、絵画は普通に換金しちゃったよ。
けっこう高く売れたけれど、御主人は要らないって云うから三人で山分けしたの。
そのお金で美味しいご飯を食べに行って大満足。
楽しくお喋りを終えたら私はお城に戻って行ったんだ。
でね、気持ちよくお休みして次の日のお昼過ぎ。
私はお母さんに声をかけられてお部屋に向かったんだ。
「来たよー!」
(こんにちは~!)
「ええ、いらっしゃい。お呼びしたのは先ほどモモさんのお知り合いだという方がお城に尋ねて来たからです。自分は商人だ。昨日モモさんに助けられたと云っている様ですが、心当たりはありますか?」
「ああ、うん! たぶん昨日助けてあげた人だよー! お礼に絵画を貰ったんだー!」
(それでご飯を食べたんだよね!)
「となると無下に帰すことは出来ませんね。玉座では仰々しいでしょうか? 客室にご案内するように手配しましょう。グリフに声をかけておいてください」
と、お母さんが呟くと近くに居た付き人の一人がササッと移動して行くよ。
準備をしに行ったんだよね?
「モモさん、昨日どのようなことがあったのかを話してくださいますか?」
「うん、いいよー!」
私は昨日あったことをお母さんに教えてあげたよ。
リーズとカリンと冒険者のお仕事をしてその時に商品を取り返しに行ったことや奈落の断崖で盗賊を倒してきたこととかね。
「盗賊のことは初耳ですね。直ぐに討伐隊を派遣しましょう。まだ残っているのならば続ける意志があるということ。国のためにも確実に排除しなければなりません。最速のブレードバードを出撃させなさい」
お母さんは後ろの付き人に指令を伝えるとまた一人部屋を出て行っちゃった。
「モモさん、一応あなたにも同席してもらいたいのです。よろしいですか?」
「はーい!」
でね、グリフと合流して客室に向かったの。
「失礼する」
と、グリフは声をかけて扉を開けた。
部屋の中に居たのは昨日出会った商人さん。
連れの冒険者はこの間とは違う三人。
鋭い目つきの男に魔導士の女と犬の獣人さん。
「おお、モモ様。昨日はとてもお世話になりました。無事に取引を終えられたのはあなたのお蔭です。改めて感謝を」
「別にいいよー!」
(うん、ちゃ~んと報酬を貰ったしね)
感謝しに来てくれたのかな?
近寄って来てググっと両手で握手されちゃった。
「そちらのお方もさぞや名のある方なのでしょう。私は、旅商人のマンマリットと申します。以後お見知りおきを」
グリフにも同じように握手して挨拶を終えたんだ。
「ではマンマリット殿、立ち話もなんなのでまずは席に着いていただこう」
「ええ、そうさせていただきます」
それでね、私達は席に座って話を始めたの。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




