ルーギスのランスロット卿
ノラに制約の首輪が取り付けられた。
王のいる場で騒がしいということで会議場という場所に移動し、今後のことを話し合う。
アインハルトをこの国に呼び寄せるにはどうすればいいのかと。
だったらそれ以上の地位を持つ者に命令させてしまおうとアインハルトとは別の派閥にあるランスロット伯爵に会うことに。
私はそれに志願し、御主人と一緒にルーギスという町に向かう。
馬で五日かかるところを一日で到着し、伯爵の屋敷に案内された。
草木の無い町中にデンと構えられた分かりやすいお屋敷。
その一角だけ綺麗な庭があり、彫刻を施された数々の飾りで造られたような建物がある。
ここがランスロットの住む場所だ。
私と御主人はここの門番さんに引き渡され、屋敷の中へ通された。
その一室の中。
「失礼します、お客人を連れて参りました」
「そうか、君は配置に戻りたまえ」
「ハッ!」
聞こえてきたのがたぶんランスロット・グリーン・マイヤーの声だ。
門番の人は持ち場に戻り、私と御主人は部屋の中に。
その中心にはとんでもない大きな椅子があり、そこに座って足を組んでいる九色ぐらいで髪の毛を染めて立たせている男がいた。
メイクも派手で服装もとんでも無く派手派手だ。
なんというか、目が痛くなる感じがする。
「おぅ、君がこの手紙を持って来てくれた子かい。素晴らしい内容を拝見させてもらったよ。あまりにも心が躍るから興奮してしまってね、どうだろう、一緒にダンスでもどうだい?」
よく分からないけれど、今は踊りたい気分じゃない。
「しないよー」
私は普通に断った。
「ははは、そうかい。それではお茶でもどうだろうか。素敵なお菓子もお付けするよ」
「食べるー!」
しかしお菓子となれば話が別。
私は全力で頷いた。
(じゃなくて、今は色々とお願いすることがあるんじゃない? それにご飯はさっき食べたでしょ)
「御主人、お菓子は別腹っていうんだよー! すごく入るんだよー!」
(分かった分った。食べてもいいけど、やることは先にやっちゃおうね。皆も待ってるんだからさ)
「そっかー、そうするね。また後で食べるよー」
私はグッと我慢して話を進めることに。
でも後で絶対出してもらいたい。
「ふぅむ、仕方ないね。では先にお話しをすませるとしよう。率直に言えば、その話を受けても構わないよ。こちらとしても美味しい話であるのは確かだからね。なんなら奴の領地ごと私の物にできるかもしれないし。ただし、一つ条件があるんだ。それを聞いてくれたらだね。ま、それほど難しい話じゃないよ」
ランスロットは怪しい微笑を浮かべている。
なんかちょっと後退りしたいぐらいだ。
「なぁに、簡単な話さ。この町から流れている輸送品の税率をちょっとだけ下げてもらいたいってだけなのさ。ほんのちょっと、少しでいいんだけどね」
(そうとう良い話なのに強欲だね。モモ、それは僕達が決められないからレオに相談するって言わなきゃダメだからね)
私は御主人の声に頷いた。
「レオに相談するねー」
「ふむ、流石にこの場では決められない話だったね。まあそれでいいさ、こちらは話を受け入れたと伝えてくれたまえ」
「わーい、じゃあお菓子出して―!」
「ははは、いいともいいとも」
私達は色々なお菓子を御馳走して貰った。
もう帰るには遅いということで一日泊めてもらって次の朝にキャットパラダイスに戻ったんだ。
お土産とまんまるな水晶玉をもらったんだけど、残念なことにお土産は何故か道中でなくなってしまった、
「ほお、これをニャーに渡してくれとニャンス?」
でも水晶玉はちゃんとレオに手渡すことができたよ。
「うん、渡せば分かるってー!」
今それをじっくり見て手の中でコロコロ転がして試しているみたい。
「ふむふむ、これは魔導国家の連絡手段でニャンスな。確か凄くお高くてあまり流通していないと聞くニャンス。うーん、こうして魔力を込めると……ついたニャンス!」
それが成功したのか水晶玉の中にランスロットの姿が見えてくる。
今はお茶を楽しんでるみたい。
「おや、ようやく繋がったみたいだね。貴方がニャンコパラダイスのレオ陛下でよろしいですか? お初にお目にかかります、ランスロット・グリーン・マイヤー伯でございます。今後ともどうぞよろしく」
その中からちゃんと声も聞こえてくる。
「おお、これはこれはどうぞよろしくニャンス」
「今回の作戦のこと、それとちょっとした条件のことを直接話し合いたいと思いましてね。いかがでしょうか?」
「もちろんニャンス、じっくり話し合うニャンス。じゃあ勇者様、ここからは国の話しニャンス。何かあったらまた呼ぶニャンス。もう宿に戻ってても良いニャンス。お友達も待ってるニャンス」
「うん、そうするねー!」
そして私と御主人はリーズとカリンのところに戻って今までの事をお話ししたんだ。
それから七日間はのんびりした時間が流れ、そろそろ帰る日が近づいてくる。
もうこの国の騒ぎに私達が関わることはないのかなっと思っていると、クロが私達の宿に現れた。
「勇者様、ついにアインハルトが動きますニャァ。参加する意思があるなら会議場にいらしてくださいニャァ」
「うん、行くよー!」
(今更知らん顔はできないしね)
「当然私達も行くわよ、先日は置いて枯れたけど、私達はモモの護衛なんだからね!」
「はい、もちろんお供します!」
「そうですか、ならば会議場で待っていますニャァ。用意が出来次第いらしてくださいニャァ。出来ればお早目にですニャァ」
「はーい!」
まだお部屋でゴロゴロしていたからお着換えが済んでいない。
急いで準備を済ませると前に行ったことのある会議場へ向かった。
その場所にはクロだけじゃなくてグリフなんかも参加しているみたい。
「皆さん揃ったようですニャァ。会議を始める前に、まずはこの国の為に参加してくれたことを感謝するニャァ。さて、顔合わせの必要はないニャァ。それでは早速説明に入るニャァ!」
私達の顔を確認し、クロから説明が始まった。
この国への遠征はマグナストリスの王様が命令を下したものだと云っている。
だからこちらがするある程度の行為は見逃されるんだって。
それとアインハルトはもうすでにこの国には向かっているみたいで、何事も無ければ明後日には到着するみたい。
「まずは奴がやったと証明しなければなりませんニャァ。皆様には少し芝居をして貰いますニャァ……」
それから色々なことが話し合われてアインハルトが到着する日がやってきた。
出迎えるために町の入り口でクロや兵士達が並んでいる。
私と御主人、リーズ、カリンも見物人の一人という感じ。
だから私のペンダント以外には武器は携帯していない。
位置は丁度クロの後ろ辺りだ。
それとグリフはウィーディアの有名人だし、顔が知られているかもしれないっていうことで裏方で参加中。
「勇者様、分かっておられると思いますが、奴は容疑者であって罪人ではありませんニャァ。下手な行動はせぬようにお願いしますニャァ」
「うん、大丈夫だよー!」
「私達は大丈夫だけどさ、ノラにも言いつけといた方がいいんじゃない?」
「そうですね、万が一にも暴走しかねませんし。目を離さない方が良いのでは?」
「それはご心配ないですニャァ。ほらこの通り、ここに居りますからニャァ」
クロは隣にいる鎧を着た兵士の肩を叩いた。
姿が見えないと思ったらそんなところで変装してたのか。
「下手なことはしニャいぜ。まだ死ぬ気はニャえからな! お前達こそヘマするんじゃニャえぜ!」
「うるさいわね、もう一度くすぐり倒してやろうかしら」
「ああ、それも良いかも知れませんね」
リーズとカリンが手をワキワキしてノラに近づいている。
「ニャめろおい!」
一度体験しているから相当嫌がっている感じ。
「皆様、そろそろ到着の時間ですニャァ、気を引き締めて貰えませんかニャァ」
二人がふざけているとクロはちょっと困った顔をしている。
「ごめんなさい、作戦行動中だったわね。大人しくしているわ」
「はい、カリンもそうします」
「ふん、最初からそうしとけよニャ!」
「お前もだニャァ!」
クロはノラに軽いゲンコツを落とした。
丁度その時。
「マグナストリスから遠征が到着されましたニャンコ。アインハルトの姿も確認済みですニャンコ!」
町の外から走って来たストレイキャットの兵士さんがアインハルトの到着を知らせたのだった。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




