死地からの脱出
ノーブルとの戦いは相手の能力により体の自由が奪われちゃう。
爪で攻撃しようとしても、それがベガに向けられちゃうの。
傷を負わせて止めまでもやらされそうになったんだけれど、炎の力で遠くに逃げさせたんだ。
そしたら体の自由が戻ったよ。
距離が関係あるんじゃないかって考えた私は物を投げつけて剣の持ち手を攻撃したの。
バチっと当たって放した隙に一気に剣を壊しちゃった。
それでルーファスと合流して帰ろうとしたんだけれど、神だ何だと頭の中で声が聞こえてくる。
壁は肉に、強烈な酸を吹き出しながら景色が変わる。
脱出できるのかも不明な中で、ベガに道案内を頼んだんだよ。
「こちらです!」
と、ベガの指示で道を進み始めたの。
どうやら教会の内部と変わってはいないみたい。
これなら脱出も出来そうだよ。
だけどその前に、このことをノーブルに聞かなくっちゃ。
「ノーブル、これが何なのか知っているでしょ。私達に教えてほしいな」
声をかけてもうつむいて黙ったまんま。
まだ落ち込んでいるみたい。
「おい、黙っていても立場を悪くするだけだぜ。こっちは証拠を握っているんだ。テメェは脅しや暗殺で好き勝手やっていたんだろ。早くゲロって楽になっちまいな」
「ノーブル様、リディエルの為にもどうぞお話しください」
ルーファスとベガの説得が効いたのかは分からないけれど、
「……これは本物の神の力なのです」
「まだそんなことを云ってんのか!? この世に神様なんて居やしねぇんだよ!」
「……いいえ、神は存在するのですよ。現にこうしてお姿を現し下さったではないですか。神はお怒りです。お怒りを鎮める為にも我々は生け贄とならねばならぬのですよ」
皆から騒めきの声。
絶望感や悲壮感が入り乱れる。
流石にこんなことになるとは誰も思っていなかったはずだもんね。
だけどベガが声をかけて落ち着かせているから何とか皆も進んで行けそう。
「これが神とか笑えるだろ。ただのバケモンじゃねぇか!」
「常人では分からぬでしょうね。この圧倒的なまでの威圧感を……」
ノーブルはこれが神様だってことを疑っていないみたい。
「どうにか倒せないのかなー?」
「やってやれねぇことはねぇだろうよ。こうして実体があるんだからよぉ!」
「馬鹿なことを。そんなことは出来るはずがありません!」
「俺等の力を甘く見んなよ。ここから出れさえすれば何とでもなるぜ」
「それは出られればの話しでしょう。神が逃げ道をそのままにしているはずがありません。我々はただ死を待つ子羊なのです。さあ祈りましょう。そうすれば天国に行けるはずです……」
「だったらそこで祈っていろよ。俺等は先に進ませてもらうぜ!」
ノーブルはまた黙っちゃった。
それでもベガに手を引かれてついて来る。
本心では死にたくないのかもしれないね。
気にせず道を進んで行くよ。
「……この辺りに外に出られる扉があったはずですが」
「……肉の壁があるだけだな。ここからはもう出られねぇ」
「う、うおおおおおおお!」
突然同行していた一人の男がその壁に向かって剣を叩きつけた。
絶望感に耐えられなかったのかも。
だけど壁を切り裂くことが出来ずに逆に大量の体液が彼の体に降り注ぐ。
「ぎゃあああああ!?」
バタバタと暴れて恐怖のあまりに剣を振り回すんだ。
周りの人達にまで被害が出て大騒ぎ。
回復する隙なんてなくってね、バッタリその場に倒れちゃった。
直ぐにルーファスが引き起こしたけれど地面に溜まった体液で顔面がドロドロに融けて半分無くなっていたの。
もう助けられないよ。
「お前等、こうなりたくなきゃ無暗に暴れるなよ。生け贄どころかただの餌になっちまうぜ」
皆は神妙な顔をして頷いた。
そのまま進んで行くんだけれど、ベガが足を止めちゃうの。
「ここが出口への最後の道筋だったのですが……」
目の前には大きな肉の壁。
他に道があるようには思えない。
「他にはないのかよ!?」
「私の知る限りは……」
手詰まりという現実に皆は絶望感を漂わせる。
こうしている間にもベガの魔法も切れちゃうかも。
だけどまだ諦めていないんだからね!
「お願い、手を貸して!」
私はノーブルの手を握って真っ直ぐにお願いするの。
皆の視線が集まって、
「……神に対抗したいのならば。……神の力が必要です。エクスキャリバーンならばもしかして……」
ついにノーブルも協力してくれる気になったみたい。
「お願い、そこまで連れて行って!」
「もしそこも閉じているようならば……絶望、させてしまうかもしれません」
「いいから、行ってみるぞ! まだ決まった訳じゃねぇんだからよぉ!」
「……ならばこちらです」
それで道を引き返し、幾つもの分岐を越えて行く。
ベガの魔法は少しずつ輝きを失っている。
それ程時間はないのかもしれない。
「皆さん、あの角を曲がった先。もし扉があるなら……」
「行ってみよー!」
ダッと走って向かってみたらそこに扉は存在したよ。
ジリジリ肉の浸食を受けながらも何かの力がそれを引きはがして消滅させているの。
ここを壊せば中に入れるよね。
「てええええい!」
ギャリっとやっちゃうとパキィっと爪がはがれちゃう。
今まで頑張って来たから限界がきちゃったみたい。
ビリビリしちゃって痛いけど、治すより先に開けないと!
手は使いたくないから足でドーン。
そしたらバーンと扉が壊れるの。
中はまだ肉の浸食はほとんどないよ。
この部屋には中央の台座に二本の剣が突き刺さっているだけだよ。
それは全部エクスキャリバーンみたいだね。
指が痛いし先ずは回復っと白猫ちゃんに癒してもらって、私はその内の一本を引き抜くんだ。
キランと輝き何だか周りが明るくなっちゃうよ。
「試してみよー!」
肉の壁をザックリ一発。
(ギャアアアアアアアア!?)
この空間全部に響くような悲鳴が聞こえてくるんだ。
変な液も飛び出して来ないんだよ。
これなら戦えそうだね。
「本当に効いたのですね……」
だけどノーブルは膝を落としちゃう。
「どうしたのー?」
何でだろうってちょっと気になったから聞いてみたよ。
「その剣は特別に作らせた物。しかしただ我々の魔力を詰め込んだだけなのです。神に効くはずなどありません。それなのに……」
「つまりよぉ、リディエルの力が宿っていたって訳だ。お前が信じきれなかった神の力がよぉ! ここまで連れて来たんだ。お前自信ももしかしたらって思っていたんだろ? ま、何にしろ戦えるのなら問題ねぇ。俺も一本借りて行くぜ!」
ルーファスもエクスキャリバーンを手に取るの。
そして肉の壁にザックリ行っちゃう。
私よりも小規模ながら傷を与えているんだ。
また傷が増えてギャっと悲鳴が上がっちゃった。
「出口に急ぎましょう。これならば壁も打ち破れるはずです」
ベガの声に頷くと、私達は部屋から飛び出し出口を目指す。
右、左、右、もう一回右。
何度も曲がって辿り着くのはさっきの行き止まり。
ここを壊せば出られるかも!
「てええええええい!」
全力全開全速前進。
肉の壁に向かって剣を振りまくる。
深々と切り裂くと奥の扉まで切れちゃったみたい。
ガラガラと崩れて外の景色が見えたんだ。
「おっしゃー! 出口だぜ!」
『うおおおおおおお!』
ここからは肉の浸食はなさそうだよ。
ダダっと駆け出ると教会がゴゴゴっと揺れた。
地震……じゃない!
巨大な教会がまるで大怪獣のように変貌して大暴れしだしたの。
毛むくじゃらのワニみたいな顔。
体はほぼゴリラ。
私達が出て来た穴がお腹にあるよ。
血は出ていないけれど、痛みはあるみたい。
突然現れた巨大なモンスターに町の人達は大慌てで逃げ惑っているんだ。
「これが神……」
ぺたりと座り込むノーブル。
こんなモンスターが自分が信じていたものなんて信じたくないのかも。
「こんなところで座っていたら危ないよー!」
「だぜ。お前には色々聞きたいことがあるんだ。ここで死なれたら困るってもんだ! 俺等があの化物を退治するまで隠れてな!」
「ではノーブル様は我々が保護致します。お二人共後はお任せします」
『任せといて(とけ)』
二人で頷いて返事をするとベガ達が離れていくよ。
「そろそろ変身している意味もねぇよな。神様退治だ。本気で行かせてもらうぜ!」
バッとルーファスの姿がベノムに戻った。
私も剣を手に、
「いっくよおおおおおお!」
巨大なモンスター目掛けて駆けだすんだ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




