リディエルの刺客
町で噂を流しているおばさんにアリアが話しを聞いている。
それで噂話を色々聞いたりおだてたりしてもっと大きくさせるんだって。
嘘と丸分かりの物ばっかりになって数日経つと殆どの人が気にしなくなっちゃった。
その日、お城にリディエルから鎧の男が来たんだよ。
私を出せって大声で叫んでいる。
行ってみたら大暴れでやっぱり襲って来ちゃうんだ。
妖精剣を使って一撃を入れてあげたんだ!
「ぐ……ああああああああああ!?」
続けざまの連撃によりアーサーの白い鎧をザックリと切り裂いた。
バラバラに弾け飛んでガラガラと転がっているよ。
一応中身は大丈夫。
多少傷はついたけれど致命傷じゃないはずだから。
「こ、これは神から賜った至高の鎧。魔を退けて輝きを増大させる物! 貴様のようなモンスターに壊せるはずが!?」
「だからモンスターじゃないもーん!」
なんか凄い物みたいだけれど、バラバラになっちゃったからもう使えないよね。
「クソ、ならばこの神剣エクスキャリバーンの真の力を見せてやるぞ!」
アーサーの持つ剣が黄金に輝く。
この剣も何だか凄そうだね。
だけど私も負けないから!
妖精剣の力を信じてシャシャっと何度も斬り結ぶ。
キィンキィンと音が鳴り、エクスキャリバーンの刃が削れて行くの。
「お、おかしい、こんなはずは!?」
そろそろ行けるかな?
「にゃああああああん!」
気合を入れた一発でスッパリ両断しちゃったんだ。
「う、嘘だ、神の剣が折れるなんて!?」
折れた刃はヒュンヒュン回転して少し離れた地面に突き刺さったよ。
アーサーは驚愕してガックリ地面に崩れていく。
戦意喪失したのかな?
「じゃあそろそろ観念してねー!」
「何故このような奴に……ふぎゃああああああ!?」
脳天にチョップを大人しくなったよ。
いっぱい暴れたんだからこのぐらいは良いよね!
「おお、もう倒されたとは流石ですな。後はこちらで対処いたしましょう。モモ殿はお部屋で存分にお勉強をなさってください」
続々と集まって来るブルース達。
御主人も一緒について来たよ。
「うーん、それはあんまりだなー」
(お勉強嫌いだもんね)
「嫌いじゃないよー。覚えられないだけー!」
(とにかく戻ろうか。ここに居ても邪魔になっちゃうし)
「そうだねー!」
お部屋に帰った私はお勉強したり遊んだりして時間を潰すんだ。
それで楽しく日が暮れて夕食前。
ブルースがお部屋にやって来たの。
「モモ殿、奴の処遇について決定いたしましたのでお報せを」
「あー、聞きたいなー!」
(うん、気になるね)
「では、お話し致します。多大なる怪我人を出したとはいえ、モモ殿のお蔭で死者はゼロ。なのでリディエルとの関係を継続させる為に拷問等を行うこともせぬようです。一応話を聞く程度はしたのですが、あの者は口を閉ざしたまま。何も情報を得られずに釈放されるようですな」
「えー、あんなに暴れていたのにー?」
「納得いかない気持ちも分かります。しかしこれは政治的な判断なのです。どうかご容赦を」
と、頭を下げてくれたんだけど、
「ブルースが謝ることじゃないよー?」
(そうだよね)
私はあんまり気にしていないよ。
「そう云っていただけると幸いです。それで、その。……明日の朝、町の外に護送するのでお手伝いして頂いてもよろしいでしょうか。リディエルの刺客となれば他にも潜んでいる可能性がありますので」
「うん、いいよー!」
「それと、今夜襲撃がある可能性もあります。充分にご注意ください」
「はーい!」
ブルースから注意を受けて夜。
もちろん私はグッスリお休みしているけれどピクっと何かを感じたよ。
誰かが部屋に近づいてきている感じ。
何時もの見張りとは違うし、人数も五人と多めだね。
妖精剣をスッと掴んでそのままお布団に隠れ潜むんだ。
ちょっとした声も聞き逃さずに聞き耳を立てちゃうよ。
「ここがモモ様の部屋か。ブルース様からは重点的に見張れと云われている。気を抜かずに見張りにつくのだ」
そんな小さな声。
これは大丈夫なのかもしれないね。
安心して眠ろうとしたけれど、『うぐぅ!?』っと小さなうめき声。
五人居たはずの気配が三つになった。
鍵がかかっていたはずだけど、小さくカチリと音がして扉がスッと開けられちゃう。
入って来たのは残った三人。
近寄ってきて振り上げられる殺意。
そこで私は布団から飛び出すの。
皆敵だと判断して、妖精剣でバチンと叩いてやったんだ。
ギャっと悲鳴。
だけど殺したりはしていないよ。
流石にお部屋が汚れるのは嫌だもんね。
(う~ん、な~に?)
「何でもないよー」
御主人が起きちゃったけれど、もう終わったからもんだいないよね。
制圧した三人はギュッと縛って窓に吊るしておいちゃった。
扉の外の二人は……うん、死んではいないみたい。
一応白猫ちゃんで治してあげて私はもう一度鍵を閉めてお布団に帰って行くの。
他は何事もなくグッスリ眠って朝早く。
「モモ殿、モモ殿はご無事かああああ!?」
何だか騒がしい声と扉を叩く音で目を覚ましちゃった。
これはブルースだね。
放置していてももう眠れないし、私はのんびり欠伸をして扉を開けてあげたよ。
「おおモモ殿、ご無事でしたか! 早朝の見回りで私の団員が倒れていると聞かされた時はまさかと思いましたぞ! して、賊は何処に!?」
「おはようブルース。窓の外にロープで吊るしてあるよー!」
(おはよう)
「おはようございます。では失礼して!」
と、ブルースが入ってきて窓に吊るしてある人物を確認している。
「こ、この者達はまさか……」
「知っている人なのー?」
「全員、我が団の団員達です。まさかこのようなことになるとは……」
団員だと知ってとても悲しそう。
「何とお詫びすればよいか。とにかくこの者達には相応の罰を与えましょう。私も隊を辞める覚悟。この通り、お許しいただきたい!」
それでなんだか頭を下げてくれたんだ。
「ブルースは悪くないよー! 襲って来たのはこの人達だもん!」
(そうそう、自分の部下だからって気にすることはないと思うよ。誰にも人の心なんて分からないんだからさ)
「……いや、それでは示しが」
「ブルースのところだけじゃなくて他のところにも居るかもしれないんだよね? そしたらお城の皆が辞めちゃうよー?」
「確かに、その可能性はありますな。今回の護送についても裏切り者が紛れ込むことも考えられます。責任を取るにしてもそれが終わってからに致したい。至急陛下にご連絡しなければ!」
ブルースは走って行っちゃった。
戻って来る間に身だしなみを整えたりご飯を食べたり時間を潰すの。
やることが無くなってグーっと背伸びをしていたら、ブルースの気配がこっちに向かって来ていたよ。
カカカンと急ぎのノックで声がかかると扉を開けてあげたんだ。
「モモ殿、陛下もことの重大性を理解し信用出来る者だけで行えということです。不肖この私も参加することになりました。モモ殿が居てくだされば問題はないと思いますが、私からベノム殿にも声をかけてあります。たった三人ではありますが充分な戦力かと」
「御主人も行くよー!」
(うん、一緒に行くよ!)
「これは心強い仲間が増えましたな。では四人で行くとしましょう」
それで出発の準備をしてね、城門前に護送の馬車を呼び寄せたんだ。
直ぐにベノムがアーサーを牢屋から連れて来たよ。
「よう、待たせたな。さっさと移動しちまおうぜ」
「ええ、そうですな。ここも安全ではないかもしれませんし」
周りの兵士達もなんだか怪しく見えちゃうもんね。
「それじゃあ出発だねー!」
(おー!)
という感じでアーサーを馬車に押し込むの。
全く何にも云わなくて落ち込んでいるね。
もう観念したのかな?
それならそれでいいかってゴトゴトと大通りを移動し町の出口へ向かうんだ。
ガヤガヤと賑やかな感じは何時も通り。
変わったところはなさそうかな?
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




