近くの村で
ティターニアを修理するために呼び出された私。
ブルースと名工といわれるスタルズ・ブルシェルズの工房へ。
だけどね、この素材は直せないって云われちゃった。
妖精を見つければ何とかなるんじゃないかってことで昔泉があったっていうレザリオ大草原南西部に馬車で向かったんだ。
色々探し回ったんだけど、手掛かりすら見当たらなくって少し遠くの村に立ち寄ることになったんだよ。
丸一日かけて到着したゼポルアって村。
農場があったり畑があったりとごく一般的な感じがする場所。
子供は結構多い方なのかな?
集団になって皆で追いかけっことかしているね。
大人は村の見守りをしたり畑仕事をしたり色々だよ。
私達は近くの村人に声をかけてね、スポイレンスの泉のことを知らないかって尋ねてみたんだ。
だけど百年も前のことなんて分からないんだって。
ただ、この村で一番年齢が高い人なら知っているかもってことで、その人を紹介してもらったの。
名前はポーリン。
今年で百歳になるお婆ちゃんだけど、まだまだピンピンしているらしい。
期待を込めて行ってみたら、
「ふむぅ、スポイレンスの泉ねぇ。わしゃそんなもの知らんぞ」
「えー!」
(あらら)
絶望的な答えが返って来ちゃった。
「百年も前ならば、わしはまだ生まれたばかりの赤ん坊じゃからな。何かあったとしても覚えてはおらぬわ」
「では、あなたが少女だった頃や大人になった頃に誰かから泉の噂を耳にした事はありませんか? 妖精のことでも構いません」
ブルースが訪ねるとポーリンはもう一度考え込んで、
「やっぱりないな。聞いていたとしても遥か昔のことだからとうに忘れてしまったわ」
やっぱり知らないって結論を出しちゃった。
「これは無駄足だったようですな。モモ殿、もう一度大草原南西部に向かうとしましょうか」
「ああ、少し待たれよ。もしかしたら遊牧民達が知っているかもしれんぞ。幸いなことに、去年この村に住み着いた者がおるのだ。名を、ユニエッタという。一度訪ねてみてはどうだ?」
「おお、それは良い情報ですな!」
「うん、行ってみるよー! それでその人は何処に住んでいるのー?」
「ほら、そこに見える家がそうじゃ。婆の紹介だと言えばきっと話を聞かせてくれるだろう」
「そっかー、ありがとー!」
(お婆さん、ありがとうございます!)
「色々と世話になりました。では失礼致します」
ということで隣の家。
訊ねてみると三十代ぐらいの女性と小さな女の子が出て来たよ。
ちょっと警戒されちゃったけど、ポーリンの紹介だって伝えると安心してくれたみたい。
「それで私に聞きたいことというのは?」
「スポイレンスの泉についてだよー。昔大草原にあったって聞いたんだけれど、あなたは何か知らないかなー?」
「我々は妖精のことについて調べているのです。噂、伝説、何でもいいので知っていることがあればお教え願えませんでしょうか?」
「妖精?」
声を出したのは小さな女の子。
「何か知っているのー?」
私は屈んで目線を合せるの。
だけどユニエッタの後ろに隠れちゃった。
「娘が反応したのは遊牧民族に伝わる童歌に妖精が出てくるからでしょう」
「おお、是非教えていただきたい!」
「ええ、よろしいですよ」
そう云ってユニエッタは歌をうたい始めたよ。
『妖精ロンドを聞いて舞い踊る。泉の畔は妖精で溢れ、森は豊に実り続ける。愉快なロンドはトト山に。もし忘れたら取りに来て。合図は黄色いお花とお菓子。祠の前にお供えしたらルルルが手を取り教えてくれる。ご褒美ご褒美、美味しい木の実。いっぱい果物あげちゃうよ。忘れないでね、きっとだよ。僕と君とのお約束。たった、たらら一緒に歌おう、たった、タラら、一緒に踊ろう』
「メモを取りたいのでもう一度お願いします!」
「ええ、分かりました」
今ブルースが必死にメモしているよ。
妖精の出てくる歌。
手掛かりはこれしかないもんね。
「ところでトト山ってどこにあるのかなぁ?」
「トト山という場所は聞いたことがありませんが、トトの丘と呼ばれる小さな丘であるならば場所は分かりますよ。十メートルもありませんので山と呼ぶには小さすぎるかと」
(だけど小さな妖精さんなら山と呼んでも不思議じゃないんじゃないかな?)
「そうだね!」
私は御主人に頷くの。
ブルースがメモを終えたらお礼を言ってお別れしたんだ。
ちゃんとトトの丘がある場所も教えてもらったよ。
そこに黄色い花とお菓子を持っていくだけだね!
お菓子は村で買って行けばいいとして、黄色いお花は何でもいいのかなぁ?
ユニエッタも知らないって云っていたし色々持っていこうかな。
色々買い足して泉とは逆方向のトトの丘に。
馬車で一時間ぐらい進むと地面がこんもり盛り上がっているところがあるよ。
木々が生えそろっているから祠の在処は分からないけど、全部のんびり探したって三十分すらかからないぐらい。
急ぐ必要はないから三人でじっくり探すんだ。
見つかったのは五分後ぐらいかな。
「あー、あれかもー!」
頂上の立派な大木の枝に祠っぽい物を見つけたよ。
かなり小さくて何だか玩具みたい。
「ふむ、あれが祠なのですかな? それにしては小さいような。やはり妖精用なのでしょうか?」
「かも?」
(試しにお花とお菓子をお供えしてみようよ)
「そうだねー!」
私は持って来たお菓子とお花に手を伸ばす。
……一個ぐらい無くなっても大丈夫だよね?
(モモ、食べたりしたらダメだからね?)
「大丈夫、私食べないよー!」
ちょっとよだれを拭いながら力強く頷くの。
(食べちゃう前に直ぐに置いて来ちゃいなよ)
「はーい!」
私は祠がある枝の上にピョーンと飛び移ったよ。
だいたい小鳥の巣ぐらいの大きさで扉のような物はないかなぁ。
それじゃあこの前に置いちゃおう。
ググっと我慢しながら幾つかの黄色のお花とお菓子をお供えしたんだ。
ヒョイっと飛び降りて待っていると、祠にちらちらと星のようなものが回り始めたの。
だんだんと透けた妖精の姿が実体みたいになっていく。
四つの羽根が生えた小さな男の子。
あ、お菓子に手を伸ばして食べちゃった。
「はぁ、よく寝た。ようやくオイラの出番だね。それじゃあロンドを教えてあげちゃうよ! 誰が覚えたいのかな!? そこの猫ちゃん、それとも鎧の人? もしかしてお姉ちゃん?」
羽根をパタパタ動かして私達のところに下りて来るよ。
「えっとね、私達このティターニアを直してほしいんだ! そのロンドを覚えたら妖精の女王様が出てくるのかなぁ?」
私は腰の剣を見せてあげたんだ。
「えぇ、ティターニア?」
グルグル回ってまじまじと観察しているね。
「え~っと、え~っと、え~っと、え~っと……。あ、思い出した! ティターニア様がウィーディアの王様に献上した剣だ!」
「うん、そう聞いているよー。でもちょっと欠けちゃったから治して欲しくって妖精さんを捜していたんだー!」
「ふ~ん、だけど女王様に会いたいならこんな所に来るよりスポイレンスの泉に行った方がいいんじゃないのかな?」
「その泉が影も形も見当たらないから困っているのです。百年も前に涸れはて存在してはいないのですよ」
「えぇ、泉がなくなっちゃったの!? 女王様は、森の皆は何処に行ったの!?」
「我々もそれが知りたいのですよ。そもそも森さえ存在していないのですから」
「ええええええ、森も無くなったのおおおお!? どうしようどうしようどうしようどうしよう!」
全然知らなかったのかな。
とっても驚いているみたい。
ロンドは泉を復活させる儀式とかじゃなかったんだね。
でも大丈夫!
「森だけならなんとかなるよー! 私、森を生やすことが出来るんだー!」
私には手を貸してくれる猫ちゃん達がいるんだもん。
「本当に何とかなるの!? じゃあお願い、フェアリタニアの森を元に戻して!」
「うん、約束するよー。だから女王様に会わせてくれると嬉しいなー!」
「分かった、出来る限りやってみるね! オイラはナナキ、よろしくね!」
「よろしくねー!」
これで話しがまとまった感じかな?
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




