害悪の王
宝物庫の鎧が動き出す。
攻撃が全く効かないぐらいカッチカチで攻撃が通らない。
だったらウルを倒しちゃおうと思っても防御結界で護られちゃうの。
そして鎧を装着し、自らの手で襲い掛かって来る。
やっぱり攻撃が通らないけど、投げだけはダメージを与えられるみたい。
体力もなくなっているみたいだし、これは勝てちゃうかも?
だけど新たなアーティファクトで更なる変化を起こしちゃう。
ウルは悪魔みたいな体に変貌しちゃったんだよ。
「死ねええええええええ!」
さあ、その実力はどんな感じ?
お人形をシュバっと投げて接近すると、さっきまでよろけていたとは思えないほどの速度で弾き飛ばされちゃった。
剣が飛んで来る。
さっきよりも倍ぐらい速い。
とっさにティターニアを合せるとこちらの刃にビキっと傷が入ったの。
やっぱり威力は段違い。
二度三度やったら折れちゃいそう。
だけど熱と電気は感じない。
スッと受け流して顔面を蹴り飛ばすんだ。
肉体が強化されているから全然怯まないよ。
むしろ押し返されてそこに剣が飛ぶ。
私はグルっと体を捻って剣をやり過ごしながらそのまま遠心力でぶん投げたんだ。
ドスンと落ちたけど、ダメージさえ感じてなさそう。
ウルの剣もティターニアの影響で爆発するけど傷さえついていないね。
何ごともなくすくっと立ち上がって反撃が来るよ。
じゃあ防御力は?
鎧の無い部分をティターニアで打ち付けると、ほんのり切れ込みが入る感じ。
爆発して更に少し傷が広がるぐらい。
今まで傷もつかなかったんだもん。
何だかやれそうな気がして来たよ。
「お覚悟!」
アカネも覚悟を決めたのかも?
守り刀で攻撃を開始したんだ。
何も無い空間からウルの体に刃が落ちる。
ほとんどは鎧に弾かれて消えちゃったけど、刺さっている物はそのまま残っているんだ。
ダメージはほぼ無く表面の皮に乗っているぐらいの感じかな。
私も頑張らなくっちゃ!
打ち合えないのがちょっと大変。
それでも負けたりしないんだから!
躱して蹴ってジャンプして天井を足場に飛び跳ね斬るの。
身体能力が上がったって私達の攻撃が全部避けられるわけじゃないよ。
小さな傷はゆっくり広がりやがて大きな怪我に至るんだ。
このまま行けるかなって思っていたら、傷がドンドン塞がってきちゃった。
次の攻撃は完全に防がれて私はバチンと弾き飛ばされちゃうの。
だけどまだまだ諦めない。
もう一回って感じでね、同じところに接近して攻撃を続けるよ。
やっぱり狙いはバレバレだよね。
続けて迫って同じヵ所を狙うと見せかけて……!
ウルの手が届かないアカネが突き刺した刃の上からドーンとティターニアを叩きつけちゃうの。
「ガアア!?」
思ったよりも深く突き刺さってウルに痛みを与えたんだ。
刺さったままなら傷が治ることもないしね。
まだまだ浅い感じだけど後数十回もやれば致命傷にも届きそう。
私はヒュヒュンと移動しもう一度隙を窺うんだ。
「おのれえええええ、ちょこまかとおおおお!」
殆んどダメージを与えられないアカネは眼中にない感じ。
でも本当にそれでいいのかなぁ?
転がったお人形を持って後ろから迫られているよ。
狙っているのは突き刺さった剣の場所。
お人形を押し当てて、
「守り刀よ、真の力を解き放て!」
アーティファクトの力を解き放った。
今まで上から落ちて来ていた刃は刀の示す方向へ。
五月雨のように続く攻撃は柔らかくて頑丈なお人形が受け止め、元々刺さっていた刃をバラバラに四散するまで更に奥へ押し込んだ。
「ぐあああああ!?」
かなりの痛みをあたえたようだけど、まだまだ止まりそうにはないかも。
だからもうちょっと頑張るよ!
「行くよー!」
痛みを感じているところに助走をつけてピョーンとジャンプでドロップキック!
勢いもついているし相手の体勢も崩れている。
ズガンとぶつかり弾き飛ばす。
壁が壁に突き刺さり、ウルの中に刃がまた沈み込む。
「ぎぃああああああああああ!?」
暴れても暴れても抜けることがなくって苦しみ悶えているんだ。
大きくなった傷からドバドバ血が流れていく。
「今直ぐ降参してくれるなら許してあげるよー! アカネもいいよねー?」
「守り刀さえ……。いえ、今後の指名手配もしないと約束して頂きましょうか。さあ、どうするのですか!?」
「わ、分かった、だからここから下ろしてくれええええ!?」
「それじゃあ武器と鎧を解除してね。大人しくしていたら治してあげるからねー!」
「や、約束する。だから早くしろ! 死ぬ、本当に死んでしまうぞおおお!?」
ガランガランと両手の剣と鎧が落ちて解除された。
化物のような体がドンドン人に近ずくの。
傷が深くなりそうだから白猫ちゃんを呼び出してきちんと治療をしてあげたよ。
「素晴らしい。もう痛みさえないぞ!」
さっきまで戦っていたのに調子がいい感じ。
「感心していないで扉を開けていただけませんか?」
「うむ、そうであったな」
ウルは竜のペンダントを取りだし、また扉に掲げたよ。
ゴゴゴっと開くけどまだ油断禁物。
また何か酷いことをしてくるかもしれないもん。
扉の向こうには武装した兵士達がいっぱい待ち構えていたんだ。
一応警戒は怠らずにしといたら、
「御苦労だったお前達。この者達は敵だ! 直ちにひっ捕らえよ!」
「えー!?」
「やはりそうなりますか。こうなれば戦うしかありませんね!」
突然走り出していきなり裏切ってきたよ。
予想はしていたけれど、こんなに早くするなんてね。
無関係な人は巻き込みたくなかったけれど、そんなことは言っていられない感じ。
なるべく怪我させないように……。
「ウル様あああああ!」
そう思っていた矢先、一人の兵士が飛び込んで来た。
全く知らない人みたい。
何だろうって見ていると。
「今現在町で暴動が起きたと情報が!? ウル陛下に不正選挙の疑いがかかっています! 早急に対処しなければ不味いことになるかもしれません!」
「な、なにいいいいい!?」
いきなりとんでもないことが起きたらしいね。
もしかしてライルとミエルがやってくれたのかな?
「なるほど、我々が暗殺されかかったのはその為ですか。皆様方も疑惑の王を護っていてよいのですか? 不正が明るみになれば仲間とみなされ処罰ますよ!」
この機とばかりにアカネがまくし立てているよ。
ほとんどの兵士達は躊躇いどうしようかと悩んでいるね。
だけどそんなの関係なしに襲って来るのは元々ウルの部下だった人なのかも。
それじゃあ遠慮はいらないかな?
向かって来る人だけバシバシ倒し尽くすんだ。
「な、何をしているこの者達を殺せええええ!」
「本当によいのですかな? そのような愚行を行って」
戸惑っている兵士に混じって聞こえるライルの声。
「良いに決まっているだろう! 早くやれえええええ!」
「そのお方はウィーディアからの客人なのですぞ? あなたはまた戦争を起こすつもりなのですか?」
「うるさい黙れ! お前達は黙って王の言うことを聞いていればいいのだ! 小汚い兵士如きが口を挟むな! 何をしている、早くやるの……うっ!?」
ウルは気が付いたみたい。
兵士達の視線が冷たくなっていることに。
戦意喪失して抜き放たれていた剣を腰に戻すんだ。
もう誰も言うことを聞いかずにこの場を去って行くよ。
それを見てウルはガクッと膝から崩れ落ちたの。
元々はどうであれ人の支持がなければ普通の人だもんね。
これで負けたのを理解したのかもしれないけれど、まだ放っては置けないかな。
だって後ろには多くのアーティファクトがあるんだもん。
もう二度と入れないようにペンダントを奪ったよ。
「モモ様、間に合ってよかったです。ご心配ないかと思いますがお怪我はありませんか?」
「大丈夫、この通りだよー! ありがとうライル!」
私は無事なのを見せつけるようにクルっとその場で回って見せた。
「本来ならばもう少し時間を置くつもりでしたが、モモ様のピンチと知ってとっさに嘘を言ってしまいました。城の内部に協力者がいてくれて助かりましたぞ。ま、先ほどの様を見た者達は本当の噂を流してくれるかと思います。どうあっても勝ち目はないのです。大人しく退位されてはいかがでしょう。その方が御身の為かと」
そう言ってライルはウルに手を差し伸べたよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




