パルゼギア
ムサシを倒し平和になったと思ったら、夜中にそのムサシが幽霊になって現れたの。
もう争うつもりははないって云うけど信用できないよね。
でね、アカネって許嫁に旅に出たと伝えてくれって。
その人が分身の剣を持っているみたい。
向かったのはパルゼギアってところ。
一応お母さんとかに相談してね、私も向かうことになったんだ。
それでザーザメンドに転移して数日後、パルゼギアに到着したんだよ。
「ウィーディアの皆様、ようこそパルゼギアにお出で下さいました。しかも御高名なモモ様もいらっしゃるとは筆舌に尽くしがたいほどのこと。我々は全力で歓迎いたしますとも」
と、パルゼギアの町では自警団代表のすごくゲッソリしていて死んじゃいそうな雰囲気のライルって人に出迎えられたの。
私は直ぐに話しをしようとしたんだけれど、それは後回しにされちゃって立派な宿屋に案内されたよ。
そこで豪華な食事やお菓子を御馳走されてダンスパーティーとか色々な催しで歓迎されたんだ。
色々雑談とかで盛り上がっている感じ。
でも私はそういうことをしに来たんじゃないんだよなぁ。
何度か話をしようと思ったんだけど、全部聞き流されてちゃった。
ようやく次の日落ち着いた話をできる時間が出来たんだ。
「でね、アカネって人を捜しに来たんだ。何か知らないかなぁ?」
「聞いていたお話通りという訳ですか。こちらに干渉してくるという訳ではないのですね?」
「うん、別に何にも云われていないよー?」
「それは安心いたしました。でしたらご自由にしていただいて構いません。こちらからは案内役を出しましょう」
(あんまり変なことはしないようにしよう)
「うん!」
このへんは何処に行っても一緒だよね。
それで案内役のミエルって男の人を紹介されたよ。
鎧とか着ていて剣も当然持っている。
「よろしくー!」
(よろしくね!)
「どうも、よろしくお願いします」
無口そうな感じでこっちから話しかけなければ何も言わないぐらい。
案内役にはちょっと不十分なんじゃないかなぁ。
一応アカネのことを聞いてみたけれど、
「さあ、私には分かりかねません」
こーんな感じ。
(この感じだと僕達の見張りとかだったりして)
「かも?」
とにかくこの国に来た皆で町の中を走り回っちゃうんだ。
町の入り口からずっと聞き込みを続けるよ。
日炎の服とかを着ているのなら目立ちそうな感じだけれど、今のところ誰も見かけていないんだって。
ザーザメンドまで飛んで来ちゃったから追い抜いちゃったとか?
それじゃあこの町で待っていればいいのかな?
私達は町の探索をしながら人捜しを続けたよ。
四日ほど経ちようやく一つの情報を得られたんだ。
近くの町で見かけたって人が居たらしい。
情報をくれた人は先に出発したらしいから数日後には来るんじゃないかって。
だから私は御主人とは町の入り口近くに陣取りやって来る馬車や人を見張るんだ。
他の人達は別の入り口を見張ってもらっているよ。
それから二日後。
日炎の国の人みたいに着物の人が到着したよ。
黒髪で十五か十六ぐらい。
たった一人、歩きで進んで来るの。
「こんにちはー! 私モモ、あなたアカネって人だよねー?」
(こんにちは!)
私は町に入る直前に声をかけてみたんだ。
背中には剣。
細身でレイピアよりは太いけど扱いやすそうなやつ。
これが分身の剣なのかも?
「あなたはもしかして……?」
何だかちょっと警戒されている感じ。
「敵じゃないよー。あのね、ムサシから伝言を頼まれていたの。自分は一人で旅に出るから後は自由にやれって」
「……そう、ですか」
ずいぶん悲しそうにしてキッと睨まれちゃった。
「あの方が私を置いて行ってしまう訳がありません。ということは、やはりあなたがムサシ様を!」
そして背中にある剣を抜いちゃうの。
「えっとね、戦う気はないんだよー?」
「問答無用! 来ないのならば潔く死になさい!!」
結構鋭い踏み込み。
意外と早い斬撃が飛んで来る。
私はピョインと避けるんだ。
「そんなの振り回したら危ないよー。ちゃんと話を聞いてほしいなー」
「問答無用だと言っている!」
説得は無理っぽい?
ブンブンブンブン剣を振って話を聞いてくれないよ。
(これはちょっと無理なんじゃないかな。伝えることは伝えたんだし、後は分身の剣をって、この状況で取ったら悪人みたいになりそうだね)
「うーん?」
ミエルはずっと見ているだけ。
案内役だから案内しかしてくれないのかも。
(いっそ彼女を連れて行ったらいいんじゃないかな。出来るだけ穏便にさ)
「そっか、それじゃあ頑張ってみるよー!」
今度はもうちょっと本気でね。
アカネの攻撃を躱してシュパッと背後に。
首筋にガツンと手刀。
そしたら顔からズザザザザって滑って行っちゃった。
「うわー、痛そう」
(えええええええ!? やり過ぎだよー!)
「やり過ぎちゃったかも?」
(やばいよ、ピクピクして危なそうだよ!?)
アカネを見ると手足がピクピクしているよ。
ちょっと危ないかも知れない。
結構手加減したんだけどなぁ?
「今直ぐ治すよ! 猫猫召喚――」
そんな感じ傷を治して元通り。
白猫ちゃんも大丈夫って云ってくれたから大丈夫だよね?
でも丁度よく気を失ってくれたし、今日泊まる宿に運んじゃおう。
おんぶでヒョイっと背負っちゃって、町の中に戻って行くよ。
★
宿に戻って一時間。
ご飯を食べたり色々していたら、
「クッ、ここは……」
アカネはベッドの上で目を覚ましたの。
「き、貴様。私に何をした!」
私の顔を見るなりはだけた着物を直して剣を抜こうとしちゃうけど、近くには置いていないよ。
「別に何にもしていないよー?」
「嘘をつくな! 着物をこんなにもはだけさせて、隣には男も居るではないか! ムサシ様にも許していないのに……。貴様は、絶対に殺す!」
ちゃんと本当のことを言っているのにアカネは涙を流しながら襲って来る。
何か勘違いをしているのかも。
素手で向かって来ちゃうんだ。
「ミエル、誤解されちゃっているよー。本当のことを話してあげて!」
誤解されているミエルに呼びかけても返事はない。
勝手にしてくれって感じ。
何だかとってもピンチだよ!
「本当に何にもしていないからね!」
「貴様の云うことなど何一つ信じられるものか! ムサシ様の件だってきっと嘘なんだろう!?」
「そんなことないよー……?」
私は目を逸らして答えるの。
旅に出たのは本当だけど、ちょっとだけ後ろめたい気持ちがあったから。
「やはり嘘か、貴様あああああ!」
そしたらますます怒り狂って大暴れ。
(まあ、その対応だと絶対信じてもらえないと思うよ)
「えー、じゃあどうすればいいのー?」
(う~ん、今更どうにもできないんじゃないのかな? もう本当のことを云うしかないんじゃないの?)
「どっちみち襲われそうな気がするよー」
(うん、それはそうかも……)
私はアカネの攻撃を避けながら対策を考えるよ。
だけど結局何にも思いつかなくってそのまま伝えることにしたの。
「えっとね、ムサシは死んじゃったけど、生きているのは本当だよ。幽霊の体になっちゃったから旅をするんだってー!」
「またそんなウソを!」
「今度は本当だよー! 転移の剣で心が分離しちゃったんだもん!」
真っ直ぐ目を逸らさない。
やましいことなんてもうないもんね。
「怪しい、ですが嘘をついている様には見えませんね。ということはやはり仇! この場で叩き切ってあげます!」
「えー!」
(あ、無理そう)
このまま疲れ果てるのを待つしかないかな。
そんな感じで続けていると、
「私の貞操を奪い取った貴様! 何をボーっと見ているのか! この極悪人を斬り殺したら貴様も殺してやるからな!」
近くで見ていたミエルにも手をあげようとしちゃうんだ。
「……待て。私は貴様のようなガキに興味はない。そもそも服をはだけていたのは貴様の寝相が悪かった所為だ。勝手に人を巻き込むな」
ヒョイっと避けてようやく話をしてくれたみたい。
「今更言い訳など……!」
「言い訳かどうかは自分の体が知っているのではないか? まさか何かされている間にずっと気が付かなかったというのか? そもそも、国を転覆させようとした大悪人の仲間であるなら、この場で斬り殺されても仕方ないのではないか? 自分のことを棚に上げて見苦しいぞ」
「そ、それは」
アカネは正論を云われて黙っちゃったよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




