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氷の剣

 ベノムと一緒にデールの洞窟に入ろうとしたけれど、倒れていた冒険者に護衛をお願いされちゃった。

 流石に皆で行ったら中の二人が何処かに行っちゃうかもしれないよ。

 だからベノムが連れて行ってくれるんだって。

 私と御主人は洞窟の中に入って行くの。

 松明が設置してあって明かりは必要ない感じ。

 進んでみると多くの気配を感じたよ。

 そこには傷だらけの冒険者が二人。

 私はシュバンと助けちゃったの。

 それでね、奥に倒れた二人を連れ帰りたいっていうから手を貸してあげたんだ。

「ま、とにかくだ。渡してくれるってんならありがてぇぜ。そいつの力は知っているだろ? 下手したら誰かの手により利用されちまいかねねぇんだ。国に管理してもらうのが一番いい方法だと俺は思うぜ?」


「はい、今は持つのが恐ろしいです。是非そうさせてください」


 ベノムはワリスから剣を受け取ったよ。

 これで完了だよね?


「今後は気を付けてね!」


「ええ、二度と仲間を殺すようなことはしませんとも。絶対に」


「僕も、気を付けるよ。絶対!」


 ワリスとディケは唇を震わせながら言葉を紡ぎ出している。

 あんなことがあったらトラウマにもなっちゃうもんね。


「名残惜しいところではあるが、そろそろ俺達は行くぜ。他の仕事もあるからな。お前等も達者でやりな」


「またねー!」


(バイバーイ!)


 私達もそうなるように祈りながらお別れしたんだよ。


「さて、俺はこのまま剣を持って帰るがお前はどうする? 用事は終わったんだ、飯でも食ってきたらどうだ?」


「うん、この町のご飯も食べてみたいかな! 美味しい物を食べ忘れるのは嫌だもーん!」


「そうか、んじゃまたな」


 と、ベノムも去って行く。

 私達はちょっとだけ見守って、


「それじゃあご飯屋さんを探しに行こー!


(おー!)


 それから美味しいご飯を探しに町の中を回るんだ。

 聞いた話ではね、ウサリの腸詰が町の名物料理なんだって。

 ウサギみたいな名前をしているけれど、実は羊に似たモコモコの毛がある動物みたい。


 町の人にとても美味しいからってお勧めされちゃった。

 でね、近くに美味しいお店があるから行ってみることにしたんだよ。


「ここだねー!」


 ガラっと扉を開くと威勢のいい声が聞こえるの。

 カウンター越しにコックのおじさんに話しかけてウサリの腸詰を注文したんだ。

 暫くすると太くて長いソーセージが運ばれて来たよ。

 付け合わせのパンと新鮮な葉野菜のサラダが良い感じ。

 御主人は食べられないけれど、味のついていないお肉とパン用意したんだ。


「いただきまーす!」


(まーす!)


 早速ウサリの腸詰を食べてみると皮がパリっと弾けて詰め込まれたお肉のジュースが溢れ出て来んだ。

 何だかちょっと甘くてフルーティな味だね。

 パンもモグモグ、サラダもモグモグ。

 御主人も美味しそうでいい感じ。


『ごちそうさまでした!』


 満足した私達は他にも何かないかなーって町を見て回ってね、楽しんだ後にお城に帰って行ったんだよ。


 お部屋でのんびりしていると、慌てた感じのベノムがやって来たの。

 それでね、信じられないことを云われたんだよ。


「えー、帰りに盗まれちゃったのー!?」


(折角ワリスから貰ったのに)


 何が盗まれたのかといえばワリスから貰ったばかりの氷の剣だよ。

 とっても大事な物だったのにね。


「いや、申し訳ねぇ。まさか何も無い空間から人が飛び出して来るなんて思わなかった。とっさに奪われちまうとは一生の不覚だぜ」


 たぶんお母さんか誰かにすごく怒られた後なんだよね。

 かなり反省している感じ。


「どんな奴かは見ていたのー?」


「お前が云っていた着物の奴で間違いねぇな。空中を自在に転移して逃げ切られちまったぜ。もう完璧に転移の剣を使いこなしているって感じだ。いやしかし、俺等の行動を知っているとなるとまさか何処かで見ていたのか?」


 やったのはムサシって呼ばれた奴だね。

 だけど近くで見ていたのなら気配を感じるはずなのに、自分で消したりできるのかも?

 何所でも出てくるようになったら対処のしようがないよ。


「ベノムもアリアにペンダントを作ってもらったら?」


(うん、それがいいよね)


「確かにな。今後ああいった事態が起きないようにも幾つか必要そうだ。出来る限り増やしてもらうようにお願いしとくぜ。ついでに冷気対策もやってもらえたら上々だが、流石に厳しいか? とにかくそういうことだぜ。ま、また何かあった時には声をかけるからよろしくな」


「はーい!」


 それでベノムが去って行く。

 アリアは忙しくなりそうだから遊びに行くのは止めた方が良いのかな?

 それじゃあシャーン達に会いに行こう。

 ルシフェリアやイブレーテなんかも来て楽しく遊んだりして時間を過ごしていたんだけれど、その帰り際。


「な、なにこれ!?」


 突然空間が歪み何者かの腕がシャーンに伸びた。

 こんなことが出来るのは氷の剣を盗んだムサシしか考えられないよ。

 急いで私も掴みかかるけど、その手はするりとすり抜けた。


 シャーンと掴んだ腕が掻き消えて気配は私の背後に移動しているの。

 私は殺気を感じてティターニアを振るうんだ。

 ガッチリとぶつかり合う剣と剣。

 相手の姿が現れた。


「チィ、転移させられないとは厄介な。やはり面倒な相手よ」


「シャーンを返して!」


(そうだよ、返して!)


「そう云われて返すならわざわざこうして奪いはしない。こいつは人質よ。お前達が封じた物を解放させようと思ってな」


 封じた物って、地下で見つけたアーティファクトのことだね。


「そんなことはさせないよー!」


 ティターニアに触れて転移の剣が紫色に変化する。

 爆発を見越して私はピョーンと飛び退くの。

 バーンと破壊されるはずだけど、色はすぐさまどこかに消えちゃった。


「ふん、何が起こるのかは知らぬが飛ばしてしまえば関係ないな」


 この剣とはちょっと相性が悪いかも。

 どうしようかなって考えていると、ルシフェリアやイブレーテが呼んだ兵士達が集まって来る。

 数では有利になったみたい。

 だけどシャーンが人質に取られているし、転移させられたらかなり危険。

 迫ることも出来ずにググっと耐え続ける。


「潮時だ。一週間ほど時間をやろう。それまでに考えておくのだ。出来ぬのであらば……」


 ムサシはシャーンの首元に刃を押し当てた。

 殺すって言いたい感じ。


「それではまた、約束の刻限にて……」


 そう云って転移の剣を腰の鞘に収めると、氷の剣を抜き放つ。

 白い吹雪が、来る!


「猫猫召喚! いくよ、戦いのミックス!」


 炎の力が体に灯る。

 皆が凍っちゃう前に全力全開!


「たあああああああ!」


 ぶわんと周りを桃に染めて全ての寒さをかき消すの。

 周りの人達は……うん、大丈夫!

 寒さで凍っていたり震えている人もいないよ。

 だけどね、もうムサシの姿は消えていたんだ。

 キョロキョロ周りを見回しても気配すら感じないの。

 油断はできないけれど、分からなきゃどうにもならない。


(急いでお母さんに報せよう!)


「うん、そうだね」


 それで直ぐにお母さんの部屋に行ったんだ。

 色々説明したけれど、


「……相手の要求を受け入れることはできません。例えシャーンの命がかかっていてもです」


 思っているのとは違う答えが出てくるの。


「でも、シャーンが可哀想だよー!」


「……ですが、アーティファクトを渡してしまえばそれ以上に人が死ぬかもしれないのです。この国の王としてそれを許す訳にはいかないのですよ」


 そう云われると困っちゃう。

 他の子が死んじゃったらそれはそれで悲しいもん。


「御主人、どうしよう」


 悩んだ私は御主人に意見を求めるの。


(えっと、うんと、ううううん。……あ、やっぱりダメだよ! だってムサシは自由に転移出来るんだから。もし今回がダメだったとしても次の人を狙って来るはずだよ! モモ、早くお母さんに伝えてあげて!)


 ありがとうってギュッとして、


「ムサシは諦めないよ。今度はルシフェリアが攫われちゃうかも! そうじゃなかったらイブレーテが危ないよ! 相手は転移してくるもん!」


 御主人の代わりに私がお母さんに伝えたんだ。


「それは……そう、ですね。悲しくて頭が回っていなかったのかもしれません。直ぐに他の手を考えなければ」


「おっとお待ちを!」


 と、やって来たのはまたベノム。


「そのことについてですが、アリア様が転移阻害用のアイテムを大量生産されています。王族、及び警護の者に持たせれば問題はないかと」


「そのアイテムは一週間で間に合うのですか?」


「う、それは確認不足です。直ぐに聞いて参ります!」


 何だか慌てて部屋を出て行ったの。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン(元気少年)

王女ルシフェリア(元引きこもり)

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(妹弟ラブ)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)

王女アンリマイン(泣き虫)

王女マーニャ(派遣王女)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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