デールの洞窟
自室でゴロゴロしているところにやって来たベノム。
最近起こった事件とか色々なことを教えてくれたんだ。
何かねナナキア地方にあるファルドの町で強い武器を持った人物を見かけたみたい。
だから私はその町に行ってみることになったの。
領主の人から小さな砦を貰ったみたいで、泊まれるところは確保したけれど、埃だらけで掃除から始めたんだ。
でね、終わってからギルドに情報集めに行ったらね、ティスト渓谷でデールの洞窟に向かったみたい。
私は御主人とベノムを連れてその場所に。
「それじゃあ中に入ってみるか」
「はーい!」
(ワリス・デスエーンって人を見つけよう!)
って洞窟の中に入って行こうとしたらね。
「まままま待ってくれ! 俺達の実力じゃここから帰ることも出来ねぇんだ! どうか頼む、助けてくれ! いや助けてください!」
「お、お願いします!」
倒れていた冒険者の二人にお願いされちゃった。
「おいモモ、どうするよ?」
「うーん、じゃあ一緒に行くー?」
『勘弁してください! 俺達の実力じゃ死んでしまいますとも!』
二人とも何だか泣きそうな感じだよ。
「はぁ、しゃーねぇな。じゃあ俺が渓谷の出口までは送って行ってやるよ。そこからは知らねぇからな。勝手に帰れよ」
『ふぁい!』
ベノムが声をかけるととても嬉しそうにしているね。
「ってことだ。モモ、お前一人でも問題はねぇだろ? 先に行っといてくれや。戻ったら直ぐに合流するからよ」
「それでもいいよー!」
(行ってらっしゃーい!)
ベノムが居なくなって私と御主人の二人っきり。
それじゃあってことで洞窟内に入ってみたよ。
狭い入り口と違って中は八畳ぐらいの広さがあるね。
天井も高くって頭をぶつけなくてもすみそうなの。
そもそも明かりは必要ないけど、所々に松明が突き刺さっていて炎が灯されている。
さっきの冒険者か、先に進んでいったワリス達が設置したのかも?
まだ気配は感じられないけれど、この明かりを目印に進んでいけばいいのかな。
「それじゃあ行こっかー!」
(おー!)
進んで行くとヒンヤリ冷たい空気が流れてくるの。
道の端々にカチコチでバラバラにになったモンスターが倒れているね。
アーティファクトを使ったのかも?
ここには変な罠とかもなさそうだし、直ぐに追いつきそうな感じ!
トトンと駆けて行っちゃうと、多くの気配を感じたよ。
人の気配が二つ、何かの気配が数十個。
ここには四人で来ているはずだからすごくピンチになっているのかも!
更に急いで到着した場。
「ヒッ!?」
「まだ負けた訳じゃありません! ディケ、諦めないでください!」
剣を持って傷だらけになった青髪の女の子が杖を持った男の子を護っていたんだよ。
囲んでいるのは青白い雲のようなモンスター。
剣を振ってもすり抜けて氷の力はほぼ無意味。
とても危険な状態なの。
急いで助けなきゃって、
「応援に来たよー!」
ズザッと滑って敵の前に立ち塞がるんだ。
(モモ、やっちゃえ!)
「うん、ぜーんぶやっつけちゃうよ!」
「味方!? 有難い応援ですが、冷酷な気体には物理攻撃や冷気が効かないのです! 巻き込まれる前に逃げてください!」
「大丈夫、私結構強いんだよー!」
一気に飛び掛かりティターニアをヒュヒュンと振るう。
手応えはないけれど、モンスターが紫色に染まるんだ。
透けていた体は実体があるように硬質化していくよ。
もう壁をすり抜けようとしても無理だから。
相手は何が起きているのか分からない感じで壁や天井にぶつかっているね。
「てええええい!」
斬りつけるとズッパリ手ごたえが来る。
真っ二つになって地面に落ちると煙みたいに消えちゃった。
また現われたりしないようだしちゃんと倒せる感じだね。
続けて二つ、三つ、四つ、斬れば斬るほど数が減る。
ズバンズバンと倒しまくって、全部消してあげたんだ。
周りを確認。
うん、大丈夫。
今のところは安全だよ!
「終わったよー!」
(お疲れ様!)
クルっと反転して女の子の前。
「あなたがワリスだよねー? ちょっと頼みがあるんだー。聞いてもらえないかなぁ?」
「……はい、酷い話でなければ命の恩人の頼みを断ったりはしませんよ。どうぞ言ってみてください」
「えっとねー……その剣がねー……?」
(モモ、どうしたの?)
「うーん、どうすればいいのか聞いて無かったよ。どうしよー?」
(まあこの人達も悪人って感じじゃないもんね。無理やり奪うようなことは出来ないよね)
「よく分かりませんが、もしかしてこの剣が欲しいのですか? せっかく手に入れた大事な武器なのですが、いいですよ。あなたに差し上げましょう。ですがその前に一つだけお願いを聞いてもらえないでしょうか。我々の仲間が……。せめて死体だけでも連れ帰りたいと……」
「うぅぅ……」
危険が去って安心したのか二人の目から涙がこぼれるの。
仲間が死んじゃうなんて可哀想。
私も凄く悲しかった想いをしたもん。
(やっぱり残りの二人は死んじゃったんだね。モモ、助けてあげようよ)
「うん、助けに行こー!」
深く頷いて道の先を見つめちゃう。
松明の灯りがまだ続いているね。
「本当にありがとうございます」
「ありがとう……」
「でもその前に回復しなきゃね。放って置いたら危ないよー?」
「そう、ですね。ディケ、回復をお願いします」
「う、うん。皆に癒しの力をリフレッシュ!」
ディケと呼ばれた少年は杖を掲げで魔法を唱えたよ。
周りにキラキラと光りが現れ酷かった二人の傷がゆっくり消えたんだ。
このこもちゃんと自分の役割を全うできるいい子だね。
それから少し息を整えるだけの休息を取り、洞窟の奥へ進んで行くの。
たぶんさっきのモンスターと激闘があったんだろうね。
壁が凍り付いてよりヒンヤリ感じるよ。
うーん、もうちょっと厚着をしてこればよかったなぁ。
こうなったら最後の手段。
御主人をギュッとすると充分に暖かいんだ。
「もう少しです。もう少しで……」
目の前にある道の角。
ティターニアをキュッと構えて行った先。
動かなくなっている冒険者の死骸を求めてモンスター達が集まっていた。
ワリスの仲間は腕を引きちぎられたりしてもう見ていられないぐらいの状態。
もう少ししたら何もかもなくなっちゃいそうな感じだよ。
青色で首元に毛が生えている大蛇。
真っ白い熊のような奴。
手が四本ある猿とか色々居るね。
この寒さにも物怖じしないなんてやっぱり寒さに強いのかな?
だけどそんなの関係ないよ。
私は冷気とか使えないもん。
「たああああ!」
「私も前に出ます。ディケ、支援を!」
「は、はい!」
ワリスは氷の力を使わない感じ。
ここに居るモンスター達には効果が薄いって分かっているんだね。
シュパンと輪切りにしちゃったり、真っ直ぐ縦に切り分けたり、一体一体倒しちゃって直ぐに静寂が訪れたんだ。
それでも油断は出来ないよ。
新たなモンスターが向かって来ているもん。
「今の内に連れて帰るよー!」
「は、はい」
ワリスは無残な姿となった二人の装備を外し、ある程度軽くしてから抱え上げたの。
私も一人持ち上げちゃって洞窟の外にまで運び出したよ。
「ありがとうございました。約束通りこの剣はお渡しします」
「ううん、まだいいよ。他に武器ないでしょー?」
そう云ってくれたけど、ここで貰ったら帰りが大変過ぎ。
町までは付き合うてことで一緒に渓谷を抜けていく。
途中でベノムも帰ってきたりしてそれからは楽だったよ。
町に到着して連れ帰った二人の埋葬を終えたの。
「何から何まで本当にお世話になりました。死んでいった仲間達もきっと感謝していると思います」
「ありがとう……」
ワリスとディケに頭を下げてもらえたんだ。
「さあ、この剣を受けとってください」
「本当にいいのー?」
「いいのです。今回の悲劇は私の所為といっても過言ではありません。性能の良い剣を得てしまった為に自分達の実力を勘違いしてあのような場所に行ってしまったのですから……」
「ワリスは悪くないよ! だってあそこに行こうって言ったのは僕達全員なんだから!」
「ディケ、無理はしなくていいのですよ。愚かな私を罵倒していいのです」
「無理、じゃないよ。僕はワリスが生きていてくれてとても嬉しいんだから! だからそんなことを云わないで!」
二人とも見つめ合って慰め合っている。
きっとこの試練を乗り越えて強くなれると思うよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




