ワイドレーンの地
私はアリアに本のことを相談したの。
何だか大変なことになりそうだからってついて来たがっていたけれど、副王のシロツキに止められちゃって来れないみたい。
メモ書きをもらってウィーディアに戻ってね、ベノムにワイドレーンの場所を聞いたらティルルがそこの地方出身なんだって。
だから一緒に行くことになって三人で行動するんだ。
「あそこっす! アリア様のメモによればあそこにあるオリアンの丘こそが始まりの地みたいっす! ほら、丘の頂上には三人の銅像が建てられているっすよ!」
「本当だねー!」
(男が二人と女が一人。聞いた話と一緒だね)
小高い丘の上に古びた銅像が立っているよ。
真ん中の男が持っている剣が継承の剣だったりするのかな?
特徴がないから違うかな?
特に文字とかもなさそうで手掛かりになるような物は見つからないね。
「ティルルもこの地方出身なんだよね? 本の物語は知らなかったのー?」
「残念ながら伯爵がおっしゃっていたことぐらいしか知らないっす」
(まあかなり昔の話みたいだから知らなくてもしょうがないよね)
「これからどうしよう?」
「そうっすね。メモには近くの町や村で情報収集せよとあるっすよ。本の主人公であるオリアンもこの近くの村出身ってことで期待が持てるっす!」
丘の上からでも見えるあそこの村のことだよね。
「じゃあ行ってみよー!」
(おー!)
ピョピョンっと丘を跳びおりて村の前。
ユーランズ伯爵のところとも見劣りしない農地が続き、村の中には牛やニワトリが放牧されているよ。
のんびりした感じだけれど、ちゃんと警備している人も居るみたい。
私達に気が付くと駆け寄って来るの。
「何だお前達、冒険者かなにかなのか? こんな何も無い村に何の用だ」
髭面のおじさんだけど結構年季が入っていて強そうな感じ。
「私達あの像の伝説を調べているんだー! 何か知っていることがあるなら教えてほしいなって思って来たんだよー!」
「私達は怪しい者じゃないっすよ。むしろ怪しくない感じがバリバリに出ているっす! ここに居らっしゃるモモ様はウィーディアの英雄なんすから!」
「英雄モモ? お前がか? 虎の威を借りていると変なトラブルに巻き込まれちまうぞ。騙りならやめとけ」
何だか信じて貰えそうにないよ。
「騙りじゃないっすよ! 本当っすから! モモ様も反論するっすよ!」
「うーん、どっちでもいいかなー?」
(モモ、本物だって思われていた方がやり易いかもしれないよ?)
「そっかなー?」
「まあこっちは変な騒ぎさえ起こさなければ問題無い。大人しくしているんだな」
と、男は引き続き村の中を見回るみたい。
私達は聞き込みを開始して伝説を調べて行くよ。
御伽噺以上のものはなかったけれど、村長なら何か知っているんじゃないかってことで場所を教えてもらったんだ。
村の中でちょっとだけ立派な感じの建物。
そこに住んでいるってことだから行ってみたの。
出て来たのはとても長い髭をたくわえたお爺さん。
腰が曲がっていてやせ細っているけど隙のなさがビンビン伝わって来るそんな感じの人。
「このような何も無いところにどのようなご用件でしょうか。歓迎などもできませんよ?」
云われた通りにちょっと警戒心があるのかも。
「えっとねー、あそこの丘にある銅像の伝説について知りたいんだー。教えてもらえないかなー?」
「出来れば御伽噺より詳しい感じのやつをお願いしますっす!」
(おねがーい!)
「ふむ、確かに我々の村にはそのような伝説がありましたな。しかしながらとんと憶えがありませんな。もしかしたら厄介なモンスターどもを退治してくれたなら思い出すかもしれませんな」
「倒して来いってことー?」
「いえいえ、そのようなことは申しておりません。ただ思い出すかも知れぬと申し上げただけのこと。やるやらないはそちらの勝手に御座いますとも」
「だけどやらなきゃダメっぽいっすよね?」
(そんな感じだよね)
お爺さんは黙ったまんま。
帰っても帰らなくてもどっちでも良いって感じかな。
「じゃあ倒して来るよー。でも何を倒せばいいのかなー?」
「実は村の近くに獣人族に似たモンスターを多数確認しましてな、村の中にも徘徊し始めるしまつ。農作業をするにもかなり危険な状態なのです。警備の者達だけではとても手が足りず、討伐を手伝ってくださるならこちらとしても大助かりなのですよ。警備の者に声をかけていただければ詳細を確認できるかと」
「うん、分かったー!」
「モモ様がやるというならやるしかないっすね!」
(それじゃあ頑張ろー!)
『おー!』
気合を入れた私達。
お爺さんと別れて警備の人を捜すんだ。
知らない人でもいいけれど、さっき出会った人の気配を近くに感じるよ。
向かってみると、うろうろしていてまだ見回りの最中みたい。
「ちょっと聞きたいことがあるのー!」
「うおおお!? 何だ、お前等か。驚かせるな!」
後ろから声をかけるとちょっと驚かせちゃったね。
「村長から手伝ってこいって云われたんだけどー!」
「そういうことか。戦力なってくれるというなら歓迎してやる。だが、お前等戦えるんだろうな?」
私のことを信用していないみたいだし、ちゃんと見せてあげないと。
「うん、戦えるよー!」
「私はあんまりだけど、モモ様は強いっすよ!」
(僕は応援していまーす!)
「……まあ敵と戦ってみれば分かることか。まず自己紹介でもしてやろう。俺はコッグス・リターナー。気軽にコッグスさんとでも呼んでくれ」
「私はモモ、こっちはね――」
軽く自己紹介してね、村を見回ることになったんだ。
やっぱりのどかな感じはするけど、所々地面に大きな穴が開いたりしているね。
モンスターがやったのかな?
村の地形とかを確認して移動し続けていると、何かの気配が集まって来たのを感じるよ。
「何か居るよー。結構多いかも」
「敵っすか!?」
「おい、俺は何にも感じないぞ。変な事を云って場を乱すなよ」
「信じないならいいよー。私、ちょっと行ってくるねー!」
「行ってらっしゃいっす!」
(頑張ってねー!)
「おい、勝手に行くな!」
「大丈夫、全部倒して来るからねー!」
私は手を振って走るんだ。
村の柵を越えた外、草木に隠れ潜む気配が多数。
身を晒しても襲って来る感じじゃないね。
それじゃあこっちから行ってみる?
腰にあるティターニアを引き抜いて戦闘意欲を迸らせた。
今の私はたった一人、勇気があるなら出て来てね。
ジリっと待っていると、ガサッと草木が揺れ動くの。
ぞろぞろと出て来たのは咆狼族似た軍勢。
二十体ぐらいはいるのかな。
狼や犬の獣人って言えば分かりやすいけれど、その瞳に知性の輝きはなく衣服のような物さえ着ていないんだ。
大口で吠え散らかしながらダラダラとヨダレまで垂らしているの。
これは完全にモンスター。
話し合えるかなって思ったけれど、これはちょっと無理そうだね。
向うもやる気みたいだし、もう遠慮する必要はなさそうだよ。
「それじゃあ倒しちゃうよー!」
襲って来る偽ハウリングウルフに片っ端から剣を当てて行くんだ。
一撃入れたら振り向かない。
後ろで大きく弾ける音。
気にせず続けて別の奴。
バチンゴチンって倒し続けて一分後には全員ダウンさせたんだよ。
「よーし、勝ったよー!」
喜んでいたら御主人達が到着したみたい。
(あ、終わったみたいだね)
「モモ様流石っす!」
「お、おい。まさかこの数を一人で倒したっていうのか。もしかしてお前、本物の……?」
「本物だよー!」
「……そうか。まあどっちにしろ礼は言わなきゃだな。村を救ってくれてありがとよ」
「はーい!」
それでコッグスと一緒に村長の家に行ってね。
ちゃんと倒したことを報告したんだ。
早すぎて驚いていたけど、ちゃんと証人も居るから大丈夫!
約束通り色々教えてもらわないとね!
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




