初勝利?
ダンゴムシを倒して撤退しようとするディーチ。
だけど助けた人達が声を上げてもう少し探索してみようってことになったんだ。
副官のロイスに事情を聞いてみると何だか色々苦労しているみたい。
このままだと近くの伯爵領と合併しちゃうみたいな話が出ていて自分達で勝利したいんだって。
私は手を出せないみたいだからコッソリ手助けしちゃうんだ。
サイクロプスを見つけてね、皆の所に誘導したの。
「止めだ、止めを刺せええええ!」
『う、うおおおおおおおおおお!』
一つ目巨人が完全に動かなくなって再生能力すら失ってもディーチは攻撃を止めさせないよ。
油断していないというよりも勝利という実感を得たいからなのかも。
過剰な攻撃が続けられ殆どの矢や魔法が尽きてようやく皆落ち着いた感じ。
もうここに居る必要はないね。
ちょっと時間がかかっちゃったから言い訳とか考えとかなきゃ。
うんうん唸りながら御主人達を捜してね、場所を見つけて合流したんだよ。
「たっだいまー!」
(モモ、お帰り)
「あ、モモ様、お帰りなさいっす!」
御主人とティルルは慌てていなかったけど、
「も、モモ様、今まで何処に行っていらっしゃったのですか!? 我々は心配して捜し回っていたのですよ!?」
ロイスや他の人達は違ったよ。
ホッとした表情で胸を撫でおろしているもん。
「うーん、ちょっと紙を取りに帰っていたんだよ」
「……まあ深くは聞きませんとも。とにかく無事でよかったです」
信じてなさそうだけど許してくれたみたいだね。
「それではもう少し探索をしてみましょう」
「はーい!」
私はさっきのことを伝えずに一時間ぐらい探索を続けたよ。
もし伝えたらバレちゃうもんね。
結局小さなモンスターばかりで皆はガッカリしていたんだ。
でもね、ディーチの居る場所に戻ると私達が敵を捜そうって云ってくれたお陰だって皆喜んでくれたんだよ。
結構時間が経っているけどまだ初勝利に浮かれているね。
「ロイス、お前が残ろうと云ってくれたお陰で我々は勝利を手にしたのだ。これで堂々と凱旋することもできよう。さあ我々の町へ戻るとしよう」
「よくは分かりませんが、了解しました」
二人ともガッチリ握手しているよ。
私は口を出さない方がいいね。
隊列の後ろを見守りながら町に戻って行くの。
★
「恐ろしき怪物どもは我々が、我々だけで討伐したぞ! 誰かに助けられずとも充分だった! もう応援など呼ばずともよい。これからは安心して仕事に勤しむがよい!」
と、誇らしい感じを醸し出しながらディーチが声を上げる。
ワーッと盛り上がって町の人々は喜び大歓迎してくれたんだ。
道は人で溢れてね、領主の館まで続いているよ。
悠然と通り抜けて館の前。
主であるユーランズ伯爵が出迎えてくれたの。
「報告は聞き及んでいる。勝利したこと嬉しく思う。約束通り馳走を用意してある。皆よ、存分に食い漁るがいい!」
『うおおおおおお!』
バッと手を広げた扉の後ろ。
ホールに用意された料理の数々。
見たことのない野菜料理、定番のお肉料理。
とってもいっぱい広がっているよ。
「さあ皆様も食べて行ってください」
「わーい!」
「いただきますっす!」
(僕のご飯もあるといいなぁ)
「なかったら頼んであげるよー」
(うん、ありがとう!)
御主人の分を頼んで料理に手を付けようとしていたら、軍の副官であるロイスが近づいて来たよ。
「モモ様、ディーチ様から伝言があります。今回は助かったとのことです。あの方も本心では感謝しているのですよ。出来れば嫌わないであげてくださいね」
一度ディーチの方を見てみたよ。
全くこっちを気にしない感じで本当はどう思っているのか分からないね。
まあでもロイスの言葉を信じておくことにするよ。
今はご飯を楽しもうって、近くにあるお肉に手を伸ばしお腹に入れちゃった。
独特の辛みがある初めての味はちょっと癖になるね。
それでお腹いっぱいになって満足していると、ユーランズ伯爵がニコニコ顔で近づいて来たよ。
「英雄殿、ティルル殿も、是非我が屋敷に泊ってくださいませ。最上級の持て成しをご用意いたしますよ」
「モモ様、是非伯爵様のご厚意を受け入れてくださいませ!」
それで泊って行ってほしいんだって。
ロイスにも頼まれちゃうし別に今日帰らなくてもいいんだよね?
ティルルも期待した顔をしているし、
「うん、いいよー!」
私は頷いて返事をしたよ。
(今日はお泊りだね)
「ご厚意に甘えさせていただくっす!」
「それではお部屋にご案内いたしましょう」
ユーランズ伯爵がパンパンと手を鳴らすと執事が私達を案内してくれたんだ。
そこは広くて綺麗でいい匂いのする部屋だよ。
「それじゃあ私は向こうみたいなんで用事があったら呼んでくださいっす!」
ティルルは隣の部屋を使うみたい。
「うん、そうするねー!」
(ティルル、お休み!)
それでお部屋の中。
口寂しくないようにお菓子や飴玉がテーブルの上に色々あっていい感じ。
早速全部食べちゃって満足してからお部屋を見学。
綺麗な花と花瓶を眺めたり、壁掛けの絵をじっくり見たり、棚にある本をめくってみたり……。
「御主人、あんまりやることがないよ!?」
(まあそうだよね。ティルルを呼んでゲームでもしてみたらどうかな? ほら、そこにカードが置いてあるよ。僕と二人でも出来そうだけど、三人居た方が楽しいよね?)
「あ、本当だ! それじゃあ呼んで来るー!」
早速呼びに行くと、
「分かったっす! モモ様と遊ぶっすよ!」
こんな感じで頷いてくれたよ。
それでカードゲームで盛り上がってしばらくしたらお風呂の準備が出来たみたい。
メイドさんが呼びに来てくれてね、ティルルと立派なお風呂で洗いっこしたんだ。
そんな感じで過ごして夜。
今日はお休みって眠っていたら近くに何かの気配を感じとって目を覚ましちゃった。
もちろん御主人のものじゃない。
キョロッと周りを見渡しても部屋には誰も居ないんだけど、絶対何かが潜んでいるよ。
虫さん?
ネズミさん?
そういう風にも感じないね。
邪悪なモンスターではないけれど、近くにあったティターニアを手に取ったんだ。
多分あの変だろうってシュパッと剣を振ってみたらね、紫の色が空中に張り付いて女の形になっちゃった。
何だかビックリした感じで止まっているね。
これはもしかして幽霊ってやつ?
うーん、初めて見たけどどうしよう?
とりあえず退治しとこうかな。
もう一度剣を振り上げてみると、
「や、やめてください……」
人の言葉も喋れるみたい。
襲って来ないのなら放って置いてもいいのかも。
「何にもしないー?」
「まさか、言葉が分かるのですか!?」
「うん、聞こえるよー!」
「ああ神様、ようやく声の聞こえる人に巡り合えることが出来ました。感謝致します」
幽霊は神様に祈りを捧げている。
色が付いたら爆発するはずだけど、今回はそうならないね。
幽霊だから?
そんな話していたら御主人がふわぁっと欠伸をして、
(うわぁ、何それー!?)
目の前の幽霊にビックリしちゃった。
もう目がギンギンに冴えている感じ。
「うーん、よく分かんない」
(えー、分かんないのー!?)
それでちょっと脅えているね。
「ああ、失礼いたしました。私はユーランズの妻、バルバリアと申します。どうぞよろしく」
仕草は完璧に貴族の人だよ。
「私はモモだよー! こっちは御主人なのー。よろしくねー!」
(ていうか、奥方様なんだね。ちょっとビックリ。それでこの人どうするの?)
「何にもしないよー? 悪い人じゃなさそうだもん」
だけどその内消えちゃうかもしれないね。
ティターニアの効果はあんまり分かってないんだもん。
「あの、もしよろしければ私の頼みを聞いてもらえないでしょうか? 私には他に頼れる方はいないのです。どうか、どうかお願いいたします」
「分かったー、聞いてあげるよー!」
「ありがとうございます。ありがとうございます」
と、感謝されまくって話を聞くことになっちゃった。
変な事じゃなければいいよね。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




