この国の現実
デビルサーペントの開きを皆で引き上げ、切り分け作業と焼きの作業が行われた。
スズの持っていた秘伝のタレでものすごく美味しい蒲焼が完成して皆で堪能したのだった。
それからまた移動の旅、一週間かかってようやくたどり着いたキャットパラダイス。
クロという人に案内されてお城に移動した。
王様のレオへの挨拶を済ませると、御馳走と寝る場所が提供された。
しかしその夜、騒がしいクロの声により目を覚ましてしまう。
誰かを追っているようだ。
私は寝ていた家から飛びだしクロの下へ。
「クロ、何があったのー?」
「む、勇者様ですか、夜中に騒がしくして申し訳ございませんニャァ。実はこの頃、我が種族を狙った誘拐事件が多発していまして、今その首謀者を追い掛けているところなのニャァ。もう少ししたら静かになりますので宿にてお待ちくださいニャァ」
誘拐事件、こんなのんびりした国にもあるのか。
やっぱりそれは許せない。
「私も手伝うよー!」
私はクロに意思を伝えた。
「お客人の手を煩わせる訳には行きませんニャァ。これは我々警護隊の仕事ですからニャァ」
止められたけど、今更見てない振りはできないよー。
「大丈夫だよ、相手は分かるから行ってくるねー!」
「お、お待ちくださいニャァ!?」
私はさっき見た奴の気配を手繰り走り出す。
他の人が追いつけないぐらい速いみたいだけど、私なら大丈夫!
一気に加速し数秒後、その背中に追いついた。
そいつはボッサボサの長い髪をした筋肉質で細身の奴。
子供を脇に抱えているから攻撃するのはちょっと無理。
まずは助け出さないと!
私は気付かれないようにそっと子供の体を掴み、誘拐犯の顔面にチョップを繰り出した。
そいつは倒れて子供は私の手の中に。
子供に怪我はないみたい。
でも、こんな騒ぎにも起きないなんてちょっとおかしい。
まるっきり意識がなくてぐったりしている。
「お前、返せ!」
鼻を押さえて起き上がって来た誘拐犯。
胸や体つきからして、これはたぶん男だ。
そいつはナイフを取り出し私に向けて来た。
でもそんなのは怖くない。
相手は人間、ちょっと手加減して……。
「にゃああああ!」
「ぐへはぁ!?」
反応できないぐらいのスピードでその顔面を蹴り飛ばした。
その衝撃で落ちる耳……え、耳?
もしかしてつけ耳?
ちょっとドキドキ。
とにかく逃げられない内にと、キャットスレイヴをシュルっと変化させて倒れた男を縛り上げた。
ちょっと待っていると、次々にやってくるストレイキャットの警護隊。
クロも追いついたみたい。
「勇者様、助かりましたニャァ。これで今日の被害はゼロになりますニャァ。こいつのことはお任せくださいニャァ」
お礼を云われたけれど、さっきぶっ飛ばして顔を晴らした男が口を開く。
「……こ、ここでジっとしててもいいのかよ。俺は囮だ。今頃別の奴等がガキ共を攫っているだろうよ」
「ニャァ!? お前、それは本当かニャァ!」
「俺なんかに構ってないで早く行った方がいいんじゃないのか……?」
冷や汗を浮かべながらなんとか助かろうとしているようだ。
「当然行かせてもらうニャァ。皆よ、各地を周り被害状況を調べるニャァ!」
『んニャー!』
警護隊の人達がバラバラに町の中を走って行く。
敵の姿もわからないし、ここは任せるしかないのかも。
「さて貴様、よく落ち着いていられるニャァ? ストレイキャットのふりをしてこの国に侵入するとは許せないニャァ。これからどうなるか分かっているのかニャァ?」
「て、手掛かりは俺一人だ。利用したほうが良いと思わないか。俺だったら色々と情報を教えることも出来るんだけどな」
「利用? ほう、利用ニャァ。確かにそれは拷問するより楽そうではあるニャァ。今まで攫われた子供達の情報も欲しいところニャァ。だからといって、お前を許す義理はないニャア! 全身を切り刻んで吐かせてやるニャアアア!」
「ぐええええええ!?」
クロに思いっきりぶん殴られて男は気を失った。
私が蹴った時よりももっと痛そうな感じ。
「勇者様、色々手を貸して下さって申し訳ないニャァ。明日も王との謁見があります、もう宿に戻ってくださいニャァ」
「うん、そうするね」
色々気になるけれど、云われた通り戻るとしようかな。
キャットスレイヴを回収してちょっと道に迷いながらも気配を手繰りながら宿に戻ると、リーズとカリンが武装した姿で待っていた。
何かあった時の為に用意してくれてたみたい。
(モモ、お帰り。大丈夫だった?)
御主人も寝ずに待っててくれたよ。
「モモ、どうだった? 私達の出番はあるのかしら?」
「モモさん、もう解決したんですか?」
「なんか誘拐犯が出たんだって。私が捕まえたんだよー」
私は色々やってもう解決しちゃったと伝えておいた。
「ふーん、誘拐犯ね。この辺りも結構物騒なのね」
「ストレイキャットの曰くを知らないんでしょうか。下手なことをすれば必ず不幸が訪れる。それはただの噂じゃないって証明されているのに」
そういえばそんな話をどこかで聞いた気がする?
ああそうだ、アリアに教えてもらったんだった!
「それでも買いたいって人がいるんでしょ。許せないことだけどね。ま、それはこの国の問題だからこの国の人が何とかするしかないんじゃない」
「私もお手伝いしたいなー」
私は自分の意思を二人に伝えた。
やるのなら最後まで関わりたいもん。
「王様の許しが無いと難しいんじゃないかしら」
でもあの王様に話さないと無理なのか。
「それが許されるかは明日の謁見次第ですね。とにかく今日はもう寝ましょう。寝坊して遅れたらとても失礼ですからね」
二人も自分達の出番がないと思って武装をはずしている。
また何かあった時の為に普段着でベッドに入るみたい。
「うん!」
王様に会うのは明日、私もそろそろ寝よっかなー。
(それじゃあお休みなさい)
「御主人、リーズ、カリン、お休みー!」
私は皆にお休みの挨拶をして布団の中でぬくぬくしたのだった。
★
次の日、レオとの謁見が始まる。
色々と私の分からない話がグリフの口から出てきたりしながら進み、隙を見て昨日の誘拐犯の話しを切り出した。
「ほうほう、勇者様は我が国の事件に関わりたいと申すニャンス。ふーむぅ……ことは国防に関わるでニャンス。でも良いでニャンス。やってみるニャンス。ウィーディアは友好国だからニャンス!」
「やったー!」
「モモ殿、そこはやったーではなく、お礼を申すのですぞ」
「レオ、ありがとうございまーす!」
私はレオに頭を下げた。
「モモ殿おおおお、王を呼び捨てにしてはなりませんぞ! 早く謝るのですぞ!」
グリフは凄く慌てているけど、
「えーっと、ごめんなさい!」
「いいでニャンス。勇者様は同じストレイキャットの仲間ニャンス。許すでニャンス。でも次は無いでニャンス」
レオは快く許してくれた。
今度からは気を付けよう。
「それでは此方の事情も説明しなければならないでニャンス。実は何十年も前からストレイキャットを狙った誘拐が頻発していたニャンス。もちろん国としても対応していたけど、壊滅させるには至っていないでニャンス。これを止める為には元凶を断つしかないニャンス。人攫いの首魁を捜し出し捕まえるでニャンス!」
「なるほど、事情は理解いたしました。そ奴がどこに潜んでいるのかは調べがついておるのでしょうか?」
「それはまだニャンス、今クロの奴が調べをつけているところでニャンス。もしかしたら今にもやってくるかもしれない……」
レオとグリフが話していると、
「レオ様、ついに奴の口を割りましたぞ!」
そのクロがこの城に駆けつけた。
「おお、やったのでニャンス!? それで奴等の居場所は何処ニャンス!?」
「んニャァ、奴等が潜んでいるのは西にあるドンドコマウンテンですニャァ! しかしこちらに掴まった奴が居るのはもう知られているはずですニャァ、対策を打たれているかも知れませんニャァ!」
「ふんむ、では急がなければならないでニャンス。住処を捨てることも考えられるでニャンス。勇者様、行ってきてくれるでニャンス?」
「うん、行ってくるよー!」
「ならばこのクロもお供いたしますニャァ!」
「ふむ、わし等も付いて行きますと言いたいところですが、ことは最速で行わねばならない様子。わし等では例え馬に乗ったとしてもモモ殿にはついて行けますまい。ならばクロ殿の足としてフェンリルを出すとしましょうぞ。あ奴ならばモモ殿と同等とまではいけないまでもそれなりの速度を出すことができるでしょう」
「おお、それは有難いニャァ。よろしく頼むニャァ!」
「うんむ、では勇者モモよ、警護隊長クロよ、レオが王として命ずる、行ってくるニャンス!」
「んニャァ!」
「はーい!」
私とクロは直ぐに出発の用意を済ませフェンリルを連れてドンドコマウンテンに向かったのだった。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




