二度目の挑戦
パーズを連れ帰って夜。
今日はもう休もうってことでグッスリお休みしたんだよ。
アンリマインとマーニャを追って行こうとしたんだけど、どうも別々に動いているみたい。
泣き虫だったアンリマインを追い掛けて遠くの火山に到着したの。
火口付近で接触したらやっぱり変身して炎を操って来ちゃうんだ。
キャットスレイヴでも触れないし、これは困ったって一度引き返したんだよ。
アリアとかに意見を求めたら冷気なら行けるんじゃないかってブリザードドラゴンのティアマトンを思い出したんだ。
スズを使って呼び出すと頼みを聞いてくれそうだったよ。
(ほう、熱の冷却か。我であるならそのようなことは造作もない。それで相手は何処に居るのだ)
「えっとねー、あそこの山を爆発させているんだよ。本当は友達なんだけど悪魔の呪いでおかしくなっているの。治すためにも頑張らないと!」
(悪魔の呪い……。ふうむやはり我は用事がある気がする。帰ってもいいだろうか?)
何だかいきなりやる気を無くなったよ。
「ダメだよー。他に方法がないんだもん! だからお願い!」
(ううむ、しかし悪魔が相手とは。昔散々な目に遭わされたのを思い出してなぁ)
「えー、何かあったのー?」
(遥か昔、我がまだ成人する前のこと。世界の敵となる悪魔と我等生命の使途は激闘を繰り広げて撃退したのだ。本当に過酷な戦いであった。今思い出すだけでも身が震えてくる。……ということで帰ってよいだろうか?)
それってエルフの長老が云っていた話だよね。
昔の勇者だったなんてすごいドラゴンさんだったんだ。
ちょっと尊敬。
でも今はそれよりも。
「お願い、助けてー! 私アンリマインを助けたいの!」
(お願いします! この通りだから!)
私と御主人はティアマトンに頭を下げて頼み込んだの。
(……ううむ、友人にそこまで頼まれては仕方あるまい。ならば覚悟を決めるしかあるまいな。ただし、勝利した暁にはそれなりの物を頂くぞ。前のように豪勢な食事がよいな)
「うん、約束するよー!」
(ならばよし。それでは張りきって行くとしよう。全盛期の頃を思い出して猛り狂おうではないか!)
「やったー、それじゃあ一緒に頑張ろー!」
(僕は町で待っているね。たぶん邪魔になっちゃうし)
「それじゃあお城まで送って行くね。ティアマトンはここで待っていてね!」
(うむ、急いで戻って来るのだぞ)
私は数分もしない内にお城の部屋に御主人を送っていたよ。
お母さんにお世話をお願いしてね、私はもう一度町の外に。
「それじゃあ行こー!」
(よかろう、では全速力だ!)
背中にピョーンと飛び乗ると、ティアマトンがバンって翼をはためかせるの。
ブオンと空中に浮かぶんでね、ダグラマグ山に一直線。
近づいて行くと空がもう煙だらけ。
出来るだけかぶらないように低空を飛び、もう直ぐ山の頂上辺り。
ドーンと噴火して赤い溶岩が吹き上がる。
その中心に浮かんでいるのがアンリマインだよ。
「ティアマトン、あれを止めちゃってー!」
(火山を止めるのか。やはり無茶な要望だ。だがここまで来た以上はやるしかないな。それでは、やるぞおおおお!)
ティアマトンが大きく息を吸い込んで冷気のブレスを火口に向かって解き放つの。
キラキラ舞散るダイヤモンドダストとなって熱を冷ますんだ。
だけどそう簡単には噴火が治まりそうもないよ。
このままじゃダメだよね。
原因を取り除かなくっちゃ。
「狙うのはあの子だよ! たぶんあの子が噴火を誘発しているんだ!」
(なるほど。ならば一点集中といかせてもらおう! うおおおおお!)
ブレスがアンリマインに集中する。
真っ赤な炎が少し弱まりグンと火口の中央から遠のいて行く。
煙は相変わらずだけど、噴火の勢いは弱まった気がするよ。
「今度こそ迎えに来たよー!」
「逃げ隠れていればよいものを性懲りもなく現れよって。ならば自らの手によって粛清してやろう!」
アンリマインはレイピアをチャキッと構えてギュンと迫って来ちゃうんだ。
「それじゃあ戦うから、ティアマトンは援護をお願いねー!」
(うむ、心得た!)
私はティアマトンの背中からピョーンと飛び下りキャットスレイヴを展開するよ。
地面に伸ばして足場にしたり空中に蜘蛛の糸みたいに張り巡らせるんだ。
もう空の上でも自由自在に動けるの。
足場をタタッと駆けちゃって、アンリマインに近づくよ。
ティアマトンのお蔭で周りはひんやりしているんだ。
ガシンと打ち合っても問題ないね!
「小賢しい策を弄しおって。全て燃やし尽くしてやるわ!」
アンリマインから熱気を持った鋭い突きの連撃や薙ぎ払いが飛んで来る。
躱しても熱が通り過ぎて体にダメージを与えて来るんだ。
でもそれはこっちにとっても都合がいいの。
ただ、ずっと触れていたら熱がこもっちゃう感じ。
その前に連撃だよ!
「てえええい!」
「ぬううう!」
上から下から左右から、縦横無尽に剣を振る。
圧倒は出来ないけれど、隙を作るのには充分だよ。
じわりじわりと空間を狭め、逃げられないようにしちゃうんだ
そろそろいける感じかな?
「猫猫召喚! 皆、アンリマインを治してあげてー!」
呪文を唱えると猫ちゃん達が足場に集う。
皆の鳴き声を届けるんだ。
アンリマインの体が光って浄化が始まりそうだけど、またその場から逃げちゃいそう。
「させないからねー!」
だから私は逃げ場を防ぐ。
背後、左右に壁を作り自分の体をぶつけるよ。
結果はほんのり成功かな。
光は半分だけアンリマインを包んだんだの。
顔を歪ませて何となくだけどダメージは感じているみたい。
まだ意識を取り戻せるほどじゃないのかな。
だったら効くまでやっちゃうよ!
二回目はもっと慎重に狙いを定め、囲いの距離を縮めちゃう。
伸ばしたキャットスレイヴから手にまで熱が伝わって来るけれど、そこまで熱いとは思わない。
ティアマトンのブレスが良い感じ。
「さあ、皆、やっちゃええええ!」
ニャーンと返事をしてくれると今までよりも力強い合唱が始まるの。
皆の力が一つとなってアンリマインに向かうんだ。
もうどこにも逃げ場はないからね!
「こんなものおおおお!」
最後の抵抗をするように体からもの凄い熱量が上がる。
肌が焼けてビリビリしちゃう。
目が開けていられ無くて火傷全身に広がって行く。
すごく熱いけど、もう私は退かないからね。
「アンリマイン、戻って来てえええええ!」
「あああああああああ!?」
呼びかけるとアンリマインの瞳からボロボロ涙が零れ落ちる。
悲しい想いはもう終わり。
楽しい日々を送れるように私は願いを込める。
「私、帰りたい。お家に帰りたい! 違う、敵を殺せええええ!」
アンリマインの中で二つの心が戦い合っているよ。
家族と会えないのは辛いよね。
独りぼっちは寂しいよね。
私も諦めたりはしないから。
燃えちゃいそうな熱量に負けずアンリマインの手を握る。
熱くて痛くてすごく辛い。
「負けないでえええええええ!」
だけど私は放さない。
願いを込めて叫ぶんだ。
アンリマインの体から黒い煙のような物が空に登って行の。
悪い物がなくなって元のサイズに変化する。
もう暑さもなくなって落ちちゃいそうなアンリマインを片腕で抱え込んだ。
(酷い怪我だが大丈夫か?)
「今回復するから大丈夫」
本当は痛くて泣いちゃいそう。
もうフラフラで倒れそうだよ。
だから急いで白猫ちゃんを呼び出して焼けた腕を治してもらったんだ。
焼けただれていた皮膚も、もうツルツルで大丈夫!
火山の方は、盛大に噴火していたマグマが落ち着いて煙がドンドン減って行く。
色々影響はあるかもしれないけれど、とりあえずは解決かな。
「手伝ってくれてありがとー!」
(当然だ、例の件も忘れるなよ)
私はティアマトンにヒョイっと乗って町に戻って行ったんだ。
お城の皆に事情を説明してね、アンリマインを預けたよ。
それでね、ティアマトンの御馳走を用意してくれるようにお母さんに頼み込んだの。
大丈夫って返事を聞くと私は違う子を捜しに行っちゃんだ。
マーニャとルシフェリアはもう捜して貰っているから、ラヴィーナを追い掛けてみようかな。
ラヴィーナは格闘技を得意としていてフルールっていう師匠と一緒に行動していたはずだよね?
それじゃあまずフルールを見つけないと。
私は御主人を迎えに行って一緒に捜しに出かけたんだよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




