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大きな蒲焼さん

 町の町長であるコテツからデビルサーペントというモンスター退治の依頼を受けた。

 ダンディスの河に向かうと、とても広い河だったからどうしようかと悩んでいる。

 そんな時、スズというストレイキャットの少女が現れる。

 デビルサーペントは自分が倒すと云って小舟に乗り込んだのだった。

 その船なら河の中に入っても大丈夫ということで、私と御主人も付いて行くことに。

 オールを漕いで頑張って移動し、デビルサーペントが居る場所に辿り着いた。

 でもそいつも私達を餌と認識しているみたい。

 飛びあがって大きな口を広げて来た。

 一度距離を取って回避し、もう一度接近する時にスズの銛がつき立てられた。

 しかしまだまだ元気そう。

 私もキャットスレイヴで更に追撃を。

 スッパリと腹開きにした私達は、岸に戻って行ったのだった。

「皆の者、力を込めよ! さあ引っぱり上げるのだ!」


『応!』


 デビルサーペントが流されて行く前に岸に到着した私達は、グリフ達の力を借りて引っ張り上げることに。

 相当の重量と大きさの為、全員の力を合わせても大変な作業だった。

 でもそれも終わって、川岸では切り分けの作業と並行して程よい厚さの切り身に焼きの作業が行われている。


 あの怖そうなお魚は、今は素晴らしい感じになってるよ。

 皮はパリっと焼けて、じゅわっと染み出る油の匂いで私のお腹はグーグーだ。


「ニャーはこの時を待ってたニャー、我が家秘伝のタレを出すんだニャー!」


 それにスズの持っていたタレにより、その味は進化した。

 ちょっと甘く香ばしいタレの匂い。


(これ本格的なウナギだよ! 美味しそうだよ!)


 これはごくまれに御主人が食べていたウナギの匂いそのものだ。

 そして程よく焼けた身の一部と炊き立てのご飯が私達の前に置かれたのだった。

 もちろん御主人の分も。

 キラキラ輝く身の色に私の期待値も爆上がりしているよー。


「手伝ってくれてありがとニャー、モモ、先に食べるのニャー」


「うん、いただきまーす!」


 私は手を合わせてフォークを握りしめた。

 デビルサーペントの切り身にブスッと刺してご飯と一緒にお口の中に。


「美味しー!」


 甘さの中にある塩気、じゅわっとお口の中で崩れる感じ。

 これは正しく絶品だ。

 もっといっぱい食べたいよー!


「じゃあニャーも食べるニャー!」


(僕も食べる!)


 御主人も一緒に舌鼓を打っている。


(うわ、すごく美味しい! でも猫ってあんまり味の濃いのは食べない方が良いんだよね。ああ猫の身が悩ましいよ!)


 御主人は悩んでいたけど、タレの付いていない部分を貰って満足したみたい。

 とても美味しい蒲焼さんは、私達の栄養になってくれた。


「おお、見に来てみれば一日で倒してしまわれるとはすごいですニャフ。町長として感謝いたしますニャフ」


 皆でご飯をたべていると、キャットタワーの町長であるコテツが見に来てくれていたみたい。

 私達は思いっきり手を振るぐらいの握手をされて感謝されたんだ。


「町長殿がこの場にいるのであれば報告の必要はないな。それではこのまま出発するといたしましょうか」


「まだ御馳走は残っているんだニャフ。食べて行かないニャフ?」


 御馳走という言葉に私は振り向いた。

 あのお魚さんも凄く美味しかったのを覚えているし。


(いやいや、もう充分食べたでしょ)


「えー!」


 でも食べるのはまたの機会にしなければならないみたい。


「いや、こちらにも時間を使ってしまったからな。そろそろ出発せねば不味いだろう。モモ殿、我慢してくれませんか?」


「そうね、そっちがメインだもんね。王様を待たせる訳にはいかないわよ」


「はい、そうしましょう」


 御馳走には気を引かれるけど、皆に反対されたらどうにもならない。


「そっかー、じゃあ出発だね―!」


 私はもう覚悟を決めて出発に同意することに。

 ちょっと涙が流れちゃいそう。


「そうニャフ? それは残念ニャフ、帰りにまた寄ってくださいニャフ!」


 そして皆で出発してまた旅が始まったんだよ。


 大きな河を越えたり、渓谷を抜けたりして一週間、


「わー、着いたよー!」


(ここがストレイキャット、モモの種族の国か)


 やっと辿り着いたストレイキャットの国の王都。

 木々に覆われたツリーハウスみたいな高い位置に家がある町、マタタビフリフリ。

 その言葉を聞くだけでなんだかウズウズする。


 やっぱりストレイキャットが多いみたいだけど、普通の人とか他の獣人なんかも結構多い。

 猫なんかもいっぱい歩いているよ。


 皆仲良くお喋りしていたり、屋根の上で日向ぼっこをしてたり色々だ。

 男の人は上半身裸だし、女の人は布で胸を覆っている感じ。

 下半身は動きやすい短パンやズボンだ。


 町の中心には、ちょっと丸々とした猫を模った建物があるみたい。

 もしかしてあれがお城なのかな?


「ほう、ここがストレイキャットの首都ですか。人々の表情も良い。とてもいい雰囲気ですな」


「他の町と同じでのんびりした国みたいね。すぐに馴染めそうな感じだわ」


「猫ちゃんが可愛いです。触っても良いんでしょうか!?」


「それは知らないけど、引っ掻かれても知らないわよ?」


「カリン殿、遊ぶのは後、まずは挨拶が先ですぞ。そろそろ迎えが来る頃ですからな」


 グリフは手を日よけにして遠くを見ている。

 私も同じようにしていると、前方からストレイキャットの集団が走ってきた。

 武装した兵隊さん?


「お待たせしましたニャァ!」


 先頭の大きな人が私達の前で止まって、他の人達もばっと整列した。


「ニャーはマタタビフリフリの警護隊長クロですニャァ。ウィーディアからいらっしゃられたモモ様一行ですかニャァ?」


「そうだよー! よろしくねー!」


(よろしくお願いします!)


「うむ、よろしく頼みますぞ」


「こちらこそ、よろしくお願いしますですニャァ! ご案内しますのでついて来てくださいませニャァ!」


 クロが先頭に立ち町を案内してくれた。

 キラキラしたアクセサリーを扱っているお土産屋さん、お魚さんやお肉を中心にした食品店。

 変わった所でダンス屋(踊り)さんとか、絵を売ってる人も結構多い。

 浅く広い溜池には子供達が集まり涼をとっている。

 どこもエスニックな雰囲気だ。


 でもその何処にも立ち寄らずに猫を形どったお城に進む。

 入ってみると多くのお部屋はなく、五段ぐらいある階段とその先には玉座があるみたい。

 座っているのは上半身裸で赤マントを付けたクルンとした口ひげがある人物。

 あれがストレイキャットの王様かな?

 横にいる女性に大きなウチワで扇がれている。


「皆様、少々お待ちくださいニャァ」


 っと、クロは金刺繍のある赤じゅうたんを進み、階段の手前で膝を突いた。


「レオ様、お連れしましたニャァ!」


「うんむ、クロ、御苦労ニャンス! 下がって良いニャンス!」


「んニャァ! 任務に戻りますニャァ!」


 王様に声をかけるとクロが頭を下げて去って行く。


「よくいらしたニャンス、武器はその場に置いてちこう寄れニャンス」


「モモ殿、お許しが出ましたぞ。クロ殿がいた位置にまで進みましょう」


(モモ、いってらっしゃい)


「うん、行ってくるね!」


 私は云われた通りペンダントを外そうとしたけれど、


「ペンダントはそのままでいいですぞ。それはペンダントですからな」


「そっかー!」


 どうやらそれは大丈夫みたい。

 私は他に武器を持っていないからグリフが剣を床に置いて二人で前に。


「ほら、モモ殿もこうして膝を突くのですぞ」


 グリフがするように真似をすると、王様はうんうんと頷いた。


「そちらが勇者様でニャンス? ストレイキャットの名を上げてくれて嬉しく思うニャンス。色々と聞きたいところでニャンスが、長旅でお疲れニャンスな、今日は用意した御馳走を食べてゆっくりと休まれるがよいでニャンス。後ろに控える皆と一緒にでニャンス」


 レオがパチンと指を鳴らすと入り口から大量の料理が運ばれて来た。

 鰹節の匂い、マタタビの香り、お魚、お肉、少量のお野菜。

 どれも猫が好きそうなものだ。


「ハッ、ありがたき幸せ。皆も喜ぶことでしょう。レオ様、謹んでお礼を申し上げます」


「ありがとうねー!」


「モモ殿、他国の王に対してその態度は……」


 グリフが私を咎めようとしたけれど、


「よいでニャンス。勇者様は我が国であっても勇者様でニャンス。愉しんで行くでニャンス」


 レオは許してくれたみたい。

 それから皆でご飯を食べて用意してくれた宿で休むことになった。

 私はリーズとカリンと一緒の部屋だ。

 フカフカのお布団がすごく気持ちいい。

 これは御主人と一緒に朝までぐっすり眠れそう。

 私は目を閉じて夢の世界に旅立ったのだけど、


「出たニャァ、絶対逃がすんじゃないニャァ!」


 真夜中に聞こえたクロの声で目を覚ましてしまった。

 何かあったのかな?


(ふああ、ちょっと騒がしいね)


「ああ、騒ぎがあると起きてしまうこの体質が悩ましいわ」


「お姉ちゃん、冒険者をしてるんですから仕方ないですよ」


 皆も起きちゃったみたい。

 身を起こして窓から外を覗いてみると、クロが率いる警護隊が何者かを追っているみたい。

 ギンと目を凝らしてみてみると耳と尻尾がある何者かの手には小さな子供が抱えられている。


「ちょっと行ってくるねー!」


 私はクロに事情を聞くべくこの部屋を飛びだした。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)

クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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