デビルサーペント
フェンリルやアウロ、子供達三人を追加し旅は続く。
カタコトと揺られながら町々を周り王国の国境を越えた。
キャットパラダイスは獣人が多く暮らす国。
その町の一つキャットタワー。
やっぱりすごく歓迎されてすごく大きなお魚さんを御馳走された。
でもそのお魚さんが獲れなくなったみたい。
町長のコテツからの頼みで私達はデビルサーペントを退治することになった。
「それでモモ殿、どうやってデビルサーペントを討伐するのだ?」
グリフが疑問を口にした。
結構急な流れだから泳いでどうにかなる感じはしない。
そもそも私は濡れるのがあんまり好きじゃないし。
「さー?」
やっぱり行き当たりばったりだ。
(モモ、何にも考えてなかったんだね)
「それじゃあ皆で考えるしかないわね」
「といっても、釣り上げるぐらいしか方法はなくないですか? まあそんな道具があるかどうかは疑問なんですが」
「大丈夫、キャットスレイヴで形を変えればなんとかなるよー!」
「ああなるほど、その剣便利よね。でもどうするの?」
「うーん、どうしよう?」
お舟にしても、もし水に沈んでしまったら剣が回収できなくなる。
そうなったらシャーンのお母さんに怒られてしまう。
釣り竿にしてもそんなに遠くまで届かないし、どうしようかなー?
ちょっと悩んでいると、
「お前達、まさかデビルサーペントを狙っているのかニャー!?」
私達に声がかけられた。
その人はストレイキャットのオレンジ色の髪の若い女の子だ。
太陽に焼けた肌、片手には鋭い銛が。
「あれはニャーのニャー! 絶対に渡さないニャー!」
その子が両手を広げて通せんぼしている。
「何か事情がありそうな感じね」
「そのようですね」
「ふむ、わし等が誰なのかも知らぬようですな」
私達のことは知らないみたい。
「ニャ? もしかして有名人なのかニャー? でも関係ないニャー! あれはニャーの獲物だニャー! そこで大人しく見ているニャー!」
と云って岸辺にあった三人乗りぐらいの小さなボートに飛び乗った。
そのまま繋いであったロープを解き、漕ぎ進む。
あの銛でデビルサーペントを退治しに行くつもりなのだろう。
(モモ、あれに乗っちゃえば河の奥に行けそうだよ)
「そうだね御主人」
私は離れて行く船に御主人と一緒にピョ―ンと飛び乗った。
「な、なんニャー!? なんで乗るニャー!?」
「私も行くよー」
「勝手に乗らないでニャー!」
「一緒にがんばろーね!」
(よろしくお願いします)
「話を話を聞くんだニャー!」
「でももう帰れないよー?」
もう岸からは相当離れてしまっている。
ここから帰るのはちょっと無理だ。
「モモ、何で勝手に行っちゃうのよ。一言ぐらい言っときなさいよー!」
「モモさーん、気を付けてくださいねー!」
「モモ殿、わし等は動けません故に岸で待機しておりますぞ!」
岸では皆が声をかけてくれている。
「倒して来るねー!」
私は手を振ってそれに応えた。
「困ったニャー、もう戻れないからこのままニャーに付き合ってもらうニャー! でも落ちても助けないニャー!」
「それは助けてよー」
(落ちたら死んじゃうもんね)
「そんなの知らないニャー、それにニャーの船に乗ったんだから働いてもらうニャー! そのオールで船を動かすニャー!」
「うん、いいよー!」
私は木で作られたオールを手に持った。
小さな輪っかで固定してあって、これを動かせば船が動く仕組みかな?
やったことはないけれどたぶん大丈夫。
私は頑張ってオールを動かした。
「うあ、速いニャー!?」
船は川の流れに逆らい、すっごく速く進んで行く。
(モモは力持ちだからね。すごいんだよ)
御主人が誉めてくれたからもっと頑張ったんだけど、途中でオールがバキっと折れてしまった。
「あー、壊れたー!」
「何で壊すのニャー!? オールがなかったら流されるだけなのニャー! 海まで行ったらどうするのニャー、帰れなくなるニャー!?」
ストレイキャットの女の子は頭を抱えて混乱している。
(これは仕方ないね、キャットスレイヴをオールの代わりにしよう。それだったら絶対折れたりしないからね)
「うん、そうするよー」
私は船が流される前にキャットスレイヴをオールに変化させ、設置された輪っかに通す。
今度は折れたりはしないけど、通した輪っかを破壊しそう。
まあその時はその時だ。
壊れた時は輪っかも一緒に作れば大丈夫!
「形が変わるなんて、なんか凄い武器ニャー。それにこのスピードなら行けるニャー! このまま河の中央に進むのニャー!」
「うん、いいよー!」
女の子の頼み通り河の中心に。
すごく真剣な表情だ。
やっぱり何か理由があるのかも。
「ねぇ、どうしてそんなにデビルサーペントを倒したいのー? 仇ってなにー?」
ちょっと聞いてみると、女の子は少しだけ口を閉じ、
「――あいつは突然この川に現れたのニャー。漁をしてたニャーの父ちゃんや友達の食べるお魚を呑み込んで、それから……」
とても悔しそうに唇を嚙み、それ以上は話せそうもない。
(あ、お父さんや友達を呑み込んだんじゃないんだね)
「それは許せないよねー、お魚さんは大事だもん! 聞いちゃってごめんね。私も手伝うから、絶対倒そーね!」
私は凄く共感して女の子に頷いた。
ご飯を奪われるのは許せない行為だ。
「――手伝ってもらって名乗らないのも変ニャー。ニャーはリンニャー。お前はなんニャー?」
「私はモモ、こっちは御主人だよー」
(ヒロだよ、よろしくね!)
「モモ、御主人もよろしく頼むニャー」
ザっと流れる河の中でグルグルと移動しつづけていると、河の水面の一部が黒く長く変色していく。
それはドンドン大きく長くなりこの子船に近づいてくる。
横幅だけで十mはある感じ。
それが水を飛び散らせて大きな顔を出現させた。
「来た、デビルサーペントニャー!」
「うわー、おっきー!」
(体がぬるっとしてるって云っていたからもしかしたらって思ったけれど、これすっごい大きいウナギだね)
「御主人、ウナギって何ー?」
(甘ーいタレがかかってご飯と一緒に食べるとすっごい美味しいやつだよ)
「食べたーい!」
「ちょっと、喋ってる間にこっちが食べられそうニャー! 早く移動させるニャー!」
デビルサーペントは大きなお口を広げて私達を呑み込もうとしている。
食べるのは好きだけど、食べられるのは好きじゃない。
私はオールを使い、船を一気に移動させると、後ろから水が飛び散る爆発音が。
水が髙ーく飛び散って遠くにいる私達にもかかるぐらいだ。
(でも思ったよりも大きいね。あれはちょっと捕まえられそうもないよ。倒す方法を考えよう)
「それじゃあウナギが食べられないよー!」
(それは倒してからでも遅くないと思うよ。まあこんな大きさだから美味しいかどうかは分からないけれど)
「何話しているのか分からないけど、無事に回避できたのは良かったニャー。じゃあ今度はあいつの頭の近くに行くのニャー! この銛で突き刺してやるニャー!」
「うん、そうするねー!」
スズの言葉に従いデビルサーペントの頭の近くへ。
でも相手も移動しているから中々良い位置に付けられない。
「もう少しいい位置につけられないニャー?」
「これ以上は無理かもー」
「仕方ないニャー、じゃあもうちょっと近づいたら一か八か銛を投げてみるニャー!」
「スズ、がんばってー!」
もう一度引き返してデビルサーペントの近く。
ちゃんと銛を構えたスズがチャンスを窺う。
もう一度その顔を上げた時がその時だ。
「あ、また隠れたニャー!?」
でも相手も私達が思うようには行動してくれない。
水面に黒い影も見えなくなり、その大きな気配はこの船の真下に。
「下から来るよー」
私はオールを操り場を離れると、下からとんでもない勢いでデビルサーペントが跳ね上がった。
「どてっぱらに風穴開けてやるニャー!」
隙だらけのお腹にスズの投げた銛がブスッと突き刺さる。
でも浅い。
それで勝てるようなレベルじゃない。
だから私は船のオールにしていたキャットスレイヴを武器に変化させた。
「にゃああああああ!」
すばらしく長い包丁のような物にして、デビルサーペントの尻尾の先から頭の先まで開くようにスッパリと切り裂く。
ドーンと落ちて流石にもう生きてはいない。
あとは美味しく頂いてあげるだけだ!
「ニャーが留めを刺そうと思ったのにニャー、残念だニャー! でももうどうしようもないから諦めるのニャー!」
「スズ、ごめんね」
「いいのニャー。お魚の仇はこのデビルサーペントで代用するニャー! これを持って帰るニャー!」
「うん!」
流石に小舟で運べるサイズじゃない。
キャットスレイヴをオールにしながら使っていない部分をビヨーンと伸ばし、鈎爪のようにして引っかけた。
そのまま岸まで戻って皆で一緒に引っ張るだけだ。
家猫のモモ
御主人(ヒロ)
王子シャーン
シャーンのお母さんテルナ
爺
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




