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魔界の軍勢

 私とアリアは悪魔退治に出発したの。

 草原を走って山を越え、目的の場所に着いちゃった。

 それで転移しようとしたけどなかなか出来なくて、アリアの魔力で門を開いたんだ。

 でもその分封印には時間がかかるみたい。

 覚悟して飛び込むと魔界には多くのモンスターが待ち構えていたよ。

 ドンドン出て来る色々なモンスターを撃退し、ついに目的の奴が現れた。

 隙をついてアリアが封印をしてみたんだけどね、そいつは偽物だったんだ。

 しかもアリアが怪我をして魔法が使えなくなっちゃった。

 これは少しピンチだよ。

「その娘には悪魔の因子を植え込んだ。お前はあらゆる魔の力を扱えないぞ。それに……。クックック」


 悪魔は含み笑いをしているよ。


「……これではもう作戦の実行は不可能。一度戻るしかありませんよ」


「うん、逃げよう!」


「いいや、ここでお前達は死に絶えるのだ!」


 圧倒的物量が私達に向かって来る。

 もう一切の隙間がないぐらい。

 命さえ知らないモンスターは自分の肉を壁にして圧殺しようとしてくるの。


 これじゃあ一匹二匹斬っても無理。

 私は防御を固めちゃう。

 四角い空間の中は安全だけど、ドスドスバンバンモンスターがぶつかって来るのが分かるんだ。


 全く音が聞こえなくなったのはかなり時間が経ってから。


「少し息苦しくなってきました。空気が少なくなっているのかもしれません。早く脱出しなければ窒息してしまうかもしれませんよ」


 アリアは斬られた部分が気になっているみたい。

 まだ痛みがあるのかな?


「それじゃあそろそろ出ないとね!」


 帰ったらちゃんと治療しないとね。

 私は外壁に無数のトゲトゲを創造し、そのトゲトゲから更にトゲトゲを伸ばしちゃう。

 何千匹ものモンスターを一気に倒しドロドロの液体へと変えちゃうんだ。

 だけどまだまだ外壁に向かって来るのを感じるよ。

 これ以上は近寄らせないためにも!


「猫猫召喚……燃え盛れ、戦いのミックス!」


 勇猛な猫ちゃんを呼び出して外のトゲトゲに炎を灯す。

 ぼうっと燃える炎にモンスターが焼かれている内に、私達はピョンと外に飛び出した。

 まだまだ敵が多過ぎて困っちゃう。

 空にはあの悪魔がにやりと笑って見下ろしてくるんだ。


 何も出来ないだろうって言いたげな感じ。

 もうちょっと付き合ってもいいけれど、これ以上アリアに無理はさせたくないね。

 悪魔にベーってしちゃって赤い月を目指すんだ。


「逃がすなあああ!」


 って云っているけれど、追いつけるのは悪魔と数十匹の虫型モンスターだけなの。

 だから邪魔なものだけバシバシ斬り払い、急いで走って行っちゃうよ。


「ほら、あそこが出口だよー!」


 私は赤い月を指さすの。


「あそこが。どうするのですか?」


「ズバッとやっちゃえば大丈夫!」


「ではお任せいたします!」


「うん、任せといてー!」


 何時も通りズバンと地面を蹴ってキャットスレイヴで直進中。

 ゴンゴンガンガン邪魔して来るけど、そんな簡単には倒れたりしないんだ。


 ほらもうすぐ、月の中心。

 視界が揺らいで周りが明るくなっていく。

 山の麓にある石が置いてあった場所に戻れたみたい。

 悪魔は……追い駆けては来ない感じだね。


 でも安心はできないよ。

 また向うから転移させられないようにちょっとだけ距離を離さなきゃ。


「ふぅ、ここならいいかなー?」


「何とか逃げ切れましたね。一度町に戻って作戦を練り直しましょうか」


「うん、それはいいけど。腕は大丈夫?」


「ええ、モモさんのお蔭で……うっ……」


 やっぱりなんだか痛そうだよ。

 腕を押さえてしゃがみ込んじゃった。

 私は白猫ちゃんを呼び出してもう一度治療してあげたんだけど、痛みはまだ続いているみたい。


 傷が残っていたんじゃないのかも。

 とにかく町に戻らなきゃ。

 アリアを背中に背負ってね、シャシャっと走って行くんだよ。

 山を越えて草原を越えて、ほら、もう町が見えて来た。


「町に着いたよ。お医者さんに診てもらおうね!」


「は、はい……」


 急いでシロツキに言いに行くと直ぐにお医者さんとか薬士とか呪術師まで用意してくれたんだ。

 アリアは徹底的に検査されてね、原因が究明されたの。


「モモ陛下、アリア様は悪魔により呪いを受けてしまったようです。自身の魔力は全て痛みとして変換されてしまうのだとか。しかも時間が経つにつれて激しくなっていくと。何れ心が耐えられなくなって廃人となるか、それとも命を落としてしまうか……。残念なことに今のところこちらで解呪する方法はありません。ウィーディアにも連絡をして方法を探らせるつもりですが、たぶん呪いをかけた本体を倒さなければ解除はされないはずです」


 シロツキが私に伝えてくれたんだけど、


「でも悪魔って倒せないんだよ! だから封印しにいこうってことになったのにー!」


「アリア様を助けるためにはそれでも探すしかないのです」


 かなり酷い状況になっちゃった。

 アリアを連れて行かなければ良かったのかな。

 すごく悲しくなっちゃうけれど、今は涙よりも行動しなきゃ。


(モモ、きっと何か見つかるよ。諦めずに頑張ろう!)


「そうだね、私、頑張るよ!」


 私が出来るのは戦うことぐらい。

 もう一度魔界に行ってあの悪魔を倒してこなきゃ。

 もしかしたら黒猫ちゃんが弱点を見つけてくれるかもしれないもんね。

 それじゃあ早速……。


「あ!」


 魔界に入るには魔力がいるんだったよ。

 あの時はアリアが入り口を作ってくれたんだもんね。

 向うから入れてくれればいいんだけれど、それは相手次第だもん。

 やっぱり誰か連れて行かないと?


 ううぅ、それはちょっと困っちゃう。

 ある程度戦えないと山の中で待ってもらうのも危ないよね。

 うーん、そんな知り合いやお友達は……。


「リーズとカリンならいけるかもー! シロツキ、私ウィーディアに行ってくるよー!」


「分かりました。ではそれまで私がこの国を預かりましょう」


「うん、アリアのこともお願いね! じゃあ行ってきまーす!」


(行ってきまーす!)


 私はヒョイっと御主人を抱っこして二人で一緒にウィーディアに戻ったの。

 そのまま冒険者ギルドを訪ねようとしたんだけれど、二人の気配は感じないんだ。


「あれー、今日は来ていないのかなー?」


(ギルドの人に聞いてみようよ。受付の人なら何か知っているかもしれないよ)


「うん、そうしてみるねー!」


 扉を開けて受付に直行すると、そこに居たお姉さんに声をかけたんだ。

 二人の居場所を聞いてみるとね。


「お城から招集がかかったようです。急ぎならばそちらをお尋ねになってはどうでしょう」


「ありがとうねー!」


 行先を教えてくれたんだよ。

 私はお礼を言ってタタってお城に向かうんだ。

 近づいたらもう大丈夫。

 二人のところに一直線。

 この感じはグリフと会っているみたいだね。

 私も底に向かったよ。


「リーズ、カリン、一緒に来てほしいの! お願い!」


 バンって扉を開けるとね、三人がビックリした感じになっちゃった。


「モモ殿、そんなに慌ててどうされたのですか? もしや悪魔退治が上手く行かなかったのですかな?」


「うん、そうなの。アリアが呪いに掛かっちゃって酷い状況になっちゃったんだ。だからね、私魔界に乗り込んで悪魔を倒してこようって思って。でも魔界の入り口を開けるのには魔力が必要で。えっとえっとー!」


「モモ、大変なことになっているのは分かるけれど、一度お茶を飲んで落ち着きなさい。そんな状態じゃ分かるものも分からなくなっちゃうわよ?」


「モモさん、大変な時こそ冷静に。それが乗り越えるコツですよ」


(僕もその方が良いと思うんだ。一度深呼吸してからお茶を飲んで落ち着こう)


「うん、そうだね」


 御主人に云われた通りに深呼吸。

 何度か大きく息を吸い込んで吐き出すの。

 それからお茶をごくごく飲んで、お菓子もパクパク食べちゃって気持ちがちょっと落ち着いたんだ。


「落ち着きましたかな。それではもう一度事情を話してもらいましょうか」


「うん、えっとね――」


 冷静になった私は三人に事情を伝えたよ。

 アリアが呪われちゃったってこととか、もしかしたら死んじゃうんじゃないかってこととかも。


「まさか、とは思いましたが、やはり連絡の通りのようですな。やはり悪魔というのは一筋縄では倒せぬ相手。こちらの手の内まで知られたとなるとかなり困難な状態でしょう」


「だけど安心しなさい。私達はその為に来たんだからね!」


「ええ、長い年月を生きるエルフ族には悪魔との戦いの記録も現存するのです。私達の里にある資料を読めばきっと手掛かりが見つかるでしょう。ですがこの場所からは結構な距離があります。できればモモさんに――」


「じゃあ行くよー!」


 私はリーズとカリンを持ち上げてダッとお城を出て行っちゃった。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン(元気少年)

王女ルシフェリア(元引きこもり)

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(妹弟ラブ)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)

王女アンリマイン(泣き虫)

王女マーニャ(派遣王女)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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