大巨人
暴動を鎮圧し、ガイサルっていう首謀者のお爺ちゃんを逮捕したよ。
お城の偉い人だったみたいだけど、自分達の国を取り戻したかったんだって。
もう武器も取り上げられちゃって勝ち目がない状態。
それでもまだ手が残っているみたい。
遠くからずしんずしんって地震がしちゃう。
お城が崩れちゃうかもって、私はマーニャを外に避難させて原因を見に行ったんだ。
それは山を越すような大巨人。
こっちに向かってきたら町が大変になっちゃいそう。
私は大巨人の気を引いて遠くに連れて行ったんだ。
どれだけ斬ってもダメージは少ないかも。
山以上の大きさだから皮膚まですっごく分厚いんだもん。
やっぱり弱点を突かなくっちゃ!
もう一度目玉を突いてみる?
流石に警戒されているかな?
じゃあ他のところを探してみよう!
基本的に人と同じ作りだけれど、股間は平で何にもないね。
性別自体もないみたい?
首元もとても分厚くてかたい皮膚があるからどこも一緒な感じ。
簡単に致命傷は与えられない。
口から体の中に入っちゃう?
うーん、中も同じだったら出られなくなっちゃうよね。
それじゃあどうしよう?
うんうん考え込んでいたら、御主人のお母さんがタンスの角に小指をぶつけて痛がっていたのを思い出したよ。
じゃあちょっとやってみよー!
「ここだねー!」
私は大巨人が踏み出す足元に硬い鉄板のような物を作り出す。
あの小指よりも大きくて、簡単にズレたりしないようにガッチリ地面深くに固定しちゃうんだ。
自分の勢いでゴンッと足の小指をぶつけちゃってとんでもなく叫んで蹲っちゃった。
ちゃんと効いていて良かったけれど、これだけじゃ倒せない。
でもいい感じに顎が下がって見えるよ。
丁度良いからドーンと柱を作り出しアッパーカットを打ち付けちゃった。
グラっと揺れて崩れ落ちて来ちゃうんだ。
ここに居たら潰されちゃうから私はサッと逃げちゃった。
もちろん無事だったんだけど、倒れた衝撃でとんでもない暴風がやって来る。
「わー!」
ちょっと耐えきれなくてかなりの距離を飛ばされちゃった。
でも大丈夫!
収まったところでクルっと回転して着地したの。
まだ大巨人は倒れたままだね。
殴られた程度だからまだ死んじゃったりはしない感じ。
今の内に止めを刺しちゃいところだよ。
シュババっと頭に近づいて思いっきり大ジャンプ!
途中で巨大なハンマーを作るんだ!
ちゃんと叩き潰せるサイズだよ。
「たあああああ!」
力強く振り下ろしてこれでお終い!
って行けばよかったんだけど、突然体を起こして私に掴みかかって来ちゃった。
相手の速さも相まって逃げられるタイミングじゃない。
体はガッチリ手の中に。
ほぼ一瞬、グニっと力がこめられる。
でも大丈夫!
私はまだ負けていないの。
死んじゃいそうな圧力は籠になったキャットスレイヴが防いじゃうから。
逆に相手の力を利用して中からトゲトゲを伸ばしちゃうんだ。
怪我をするのは大巨人の方なんだよ。
『グアアアアアアアアア!?』
過去最大の悲鳴が上がるの。
ただ手の中の私はされるがまんま。
グルんグルん振り回されてブンって地面に投げ捨てられたよ。
籠の中だとちょっと辛い。
直ぐに使用を解除してグニョンとしたバネにしちゃうんだ。
びょんと跳ねて勢いを力を倍化。
体を弾丸のように超発射!
狙いは大巨人の首元だよ。
キャットスレイヴをチャキッと構え、ズバっと斬り付けちゃったんだ。
ザックリ切れて皮膚の奥へと到達したよ。
青い血がドクドク流れているみたいだけど、それでも浅い感じかな?
致命傷には程遠いね。
だけど狙いは定まったんだ。
今の傷を狙ってもう一回!
「ウウウウウウ!?」
またまた傷が広がってちょっと恐怖を感じちゃった?
脅えて足を後退させたよ。
別に倒さなくてもいいもんね。
私は町を背にしてね、
「ガオー! 食べちゃうぞー!」
すっごく頑張って威嚇したんだ。
そしたらのしのし帰って行っちゃった。
「もう来ないでねー!」
しっかり伝えといたからきっともう大丈夫!
姿がなくなるまで見届けて私は町に帰って行くの。
★
「ただいまー!」
最初に行くのはやっぱり御主人のところだよ
(モモ、お帰り!)
「遅いわ! 余の全身土まみれではないか!」
マーニャもちゃんと穴の中で待っていてくれたみたい。
パジャマが汚れているけど、ちゃんと無事みたいだね。
「ごめんね。でも怪我がなくて良かったよー!」
「ふん、そんなに心配してくれているなら怒れぬではないか。もうよい。それで、地震の原因は排除して来たのだろうな? 二度と起こらぬのだな!?」
「もう来ないと思うよー?」
「そうか。ならばよい。城へ帰るぞ!」
「はーい!」
(おー!)
戻ったお城は混乱中。
結構崩れちゃって中々酷い状態だよ。
シロツキやダイダロスが避難誘導をしていてね、全員外に出ているみたい。
泣いている人もいるけれど、怪我人は……大丈夫そうかな?
土地に魔法は効かなくても人には魔法が効くもんね。
私はシロツキに声をかけてみることにしたんだ。
「皆、大丈夫ー?」
「モモ陛下、お嬢様も、今までどちらに?」
「ちょっと大きなモンスターと戦って来たよ!」
「余は穴の中に放置されたのだ! 汚れたから着替えと湯をもってこい!」
「そうですか。ガイサルが仕向けた敵を見事突破したのですね。モモ陛下、未曾有の災害から救ってくださり感謝いたします」
「おいシロツキ、無視をするな!」
「お嬢様。お話の邪魔になります。さあこちらへ。着替えと湯あみを用意させますので」
「おのれ、覚えていろよ!」
と、ダイダロスに連れられてマーニャは他のところに行っちゃった。
「ガイサルはどうなったの?」
気配はするけど姿が見えないね?
「現在はあちらに」
シロツキが指さしたそこはちょっとだけ盛り上がった地面だよ。
もしかして埋まっているの?
「拘束するのも手間でございますから。現在はこのように閉じ込めておいています。空気穴は開いていますのでご安心を。煮るなり焼くなり陛下の思い通りに調理いたしてくださいませ」
「えー、あんなの食べないよー」
美味しくなさそうだもんね。
「もちろん比喩表現にございます。直接お殺しになられても拷問されても良しとそういうことに御座います」
「そんなのしないよー!」
「それではこちらで処理いたします。まあその前に大型モンスターをどこで手に入れたのか話を聞かねばなりませんが」
「大型ってレベルじゃなかったよー。山から頭が出るぐらい大きかったもん!」
「ええ、こちらからも確認しております。あのようなモンスターを人が操ることなど不可能。陰に潜むのは途轍もない大物かもしれませんよ」
「うーん、変なのを相手にするのは嫌だなぁ。結構大変なんだもん」
攻撃が効かないのとか斬っても斬れないとか色々あったもんね。
「備えあれば憂いなしと申します。どのような相手であれ万全で挑めば勝利を手繰り寄せるのは容易いかと」
(戦わなきゃいけなくなっても、モモならたぶん大丈夫だよ)
「そうだねー!」
まあ頑張れば良いかな!
それでね、ガイサルが掘り返されて引きずり出されちゃった。
マーニャよりも泥まみれ。
「あまりに静かだと思えば、貴様等、あんなものをどうやって追い返したのだ! 人の力ではかなわない存在だというのに!」
「ザックリやったら逃げて行ったよー!」
「何ぃ、まさか思った以上の木偶の棒だったのか!?」
「普通に強かったよー。剣もそんなに効かなかったもん」
「貴様のような小娘が何を云おうと信じられるものか!」
「あなたこそ、そんなことを云っている場合ではないのでは? 何所であのようなものを操る手段を手に入れたのですか? 素直に白状してしまいなさい」
「ふん、奴は喋るなと云っていたが、どうせ知られたところでどなるものでもないわ。教えてやろう。あれを呼び出したのは大悪魔カオスナグラルよ」
「悪魔……ですと? 冗談であるならもう少しましなものを選ぶのですね。そんなものは空想上の存在にすぎぬものです」
「悪魔の存在が信じられぬか? 奴等はこの世界に潜み隠れている。実際に出会わなければ存在すら認知できぬものよ。気づいた時には世界が滅びた後かもな」
「……本気で言っているのですね」
「ああ、本気よ。比喩でも何でもなくあれは本物の悪魔だった」
ガイサルはにやっと笑っているよ。
私も悪魔っぽいのには何度か会ったことがあるけれど、もしかして本物だったのかな?
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン(元気少年)
王女ルシフェリア(元引きこもり)
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(妹弟ラブ)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
王女アンリマイン(泣き虫)
王女マーニャ(派遣王女)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




