残り一人
一人を牢屋に送って残り二人。
今度は誰を調べようってやっていたら、突然アンギラスが死んだって報せが来ちゃったんだ。
なんだか床の上でおぼれ死んじゃったみたい。
ちょっと不思議。
前に倒した黒幕が水になって消えちゃったから何か関係あったりして?
とにかくペンネが調べているもう一人を調べに行ってみたら険悪な雰囲気でお茶をしていたみたい。
結局暗殺者なのかは分からずに、帰っちゃいそうになっちゃった。
そんな所にまた報せが来ちゃうんだ。
ユイエストが見張っていたもう一人が死んじゃったんだって。
それじゃあこの人が犯人?
でも今まで一緒にいたんだよね?
「王宮内で人が死ぬなどあってはならぬことじゃ。巻き込まれぬ内に失礼させていただく!」
オリヴィエはいっそう離れたい気分になっているみたい。
「こうなっては仕方ありませんね。オリヴィエ様、あなたにはその殺人の容疑がかけられているのです。是非とも取り調べを受け入れてくださいませんか? 断ると云われるのであれば力づくとなりますが」
「何故妾が!?」
ペンネが事情を告げるとオリヴィエはちょっと後退り。
「お逃げになる気なのですか?」
逃げられるぐらいならってペンネは腰にある剣に手をかけちゃった。
かなり本気そう。
向うもそれを察して動けない感じかな?
「大人しくしてくださるのなら危害を加える気はありません。同行をお願いします」
「分かった、行ってやる。その代わり潔白が証明された暁には覚えておれよ!」
「ええ、心に留めておきますとも」
最後は大人しく連行されて行っちゃった。
もちろん私と御主人ももついて行くの。
到着したのはテレビドラマで見る様な真四角な取調室じゃないよ。
窓には格子がしてあるけれど、それ以外は普通よりも大きくて綺麗な部屋。
オリヴィエは真実を喋る首輪と能力封印の手枷を付けられて椅子に座らされているんだ。
完全にガッチガチで安全だからガルダ達もこの部屋に居るの。
「さてコーディネラル卿。ペンネから事情は説明されたと思いますが、貴女に疑いがかけられているのです。素直に話していただけますかな?」
そのガルダから尋問が始まるみたい。
「もちろんじゃ。そもそもこの首輪の所為で真実しか話せぬのですから」
「うむ、では貴女が暗殺者という話は本当なのでしょうか?」
「どこでそのような話を聞いたのじゃ! 妾は貴方様をお慕いして……」
って、告げたところで反応が変わっちゃう。
着けた首輪が光ってね。
「女王の座、素晴らしい権力を手に入れたいと思うのは当然のことなのじゃ! 別に法で咎められることなどしていないのじゃよ! 暗殺者など知らぬ話よ!」
本当のことを喋っちゃうんだ。
「ふむ、本当のことしか喋れないのですから暗殺とは無関係なのでしょう。ではストラッシュ・アイン・ライドラクスという男と話をしたことは?」
「伯爵でございましたら色々と助言をくださった方なのじゃ。ですがそれだけ、他には何もないのじゃよ!」
「具体的にどのような助言をされたのでしょうか?」
「ガルダ様が独り身であられるから世継ぎ問題があるのじゃと。大役に挑んでみはどうかと云われたのじゃよ。妾とて国の行く末を案じる気持ちはあるのじゃ。ガルダ様その気があれば是非にとこうしてここにおる訳なのじゃよ! 決してやましい気持ちがあった訳ではないぞ!」
「クルス・ド・アンギラス卿、アビゲウス・ウォーリア・ハイデル卿との面識は?」
「直接の面識はございません。ただ……」
「何か?」
「ライドラクス卿の屋敷にお邪魔した時に二人の姿を見かけたような……?」
思い出そうとはしているけれど、オリヴィエは自分でもよく分かっていないのかも。
「ということはつまり、我々全員踊らされていたということか?」
その時に何か仕掛けられちゃったのかも?
じゃあオリヴィエも死んじゃう可能性があるってことだよね?
「あの、潔白が証明されたのですからそろそろ拘束を解いてくれなのじゃ。もうよいでしょう」
「確かに。ペンネ、解放してやってくれ」
「ハッ!」
それで首輪と手枷を外されて自由になったんだよ。
「ペンネよ、先ほどのこと、忘れていないじゃろうな?」
「もちろん、なんなりと罰をお与えください。覚悟はできておりますので」
「そうかそうか、実は妾の弟がまだ独り身でのう。其方のような娘が嫁となってくれれば安泰なのじゃがなぁ。当然受け入れてもらえるのじゃよな?」
「そ、それは……」
ペンネもそれは予想していなかったみたい。
ちょっとたじろいでいるよ。
「コーディネラル卿、流石にそれはやり過ぎというものだ。彼女を罰する前に命じた俺を恨むがよい」
「ならばコーディネラルなどと他人行儀な呼び方ではなくオリヴィエと呼んでくださいませ! それで綺麗サッパリお忘れさせていただくのじゃ!」
「……まあそのぐらいであるならば」
ガルダも受け入れるつもりなのかも。
結局暗殺者は居なかったみたいだけれど、終わったわけじゃないもんね。
いつ死んじゃうのか分からないし、見張っとかないと。
「では早速名をお呼びくださるのじゃ」
何だかキラキラお目目で乙女の顔だね。
「お、オリヴィエ殿。これでよろしいだろうか……?」
「ちゃんと呼び捨ててくださいませんと困まるのじゃ!」
「オリヴィエ……」
「そう、その調子なのじゃ。そのまま妾を寝室へ連れて行ってなのじゃ!」
「それは勘弁してほしいのだが……」
と、ガルダはレヴィアンの方を向いたりしているんだけれど、知るかって感じでそっぽ向かれちゃった。
ガルダの腕を掴んで自分で寝室に向かおうとしたところで、
「うっ……ぐぱああああああ!?」
オリヴィエの口からまるで噴水みたいに何リットルもの水が吐き出されたの。
普通そんなに出ないはずなのに、体中の水分を抜き取られている感じ。
放って置いたら死んじゃうかも!
治るかは分からないけれど……。
「猫猫召喚! 出て来て、癒しの猫ちゃん!」
私は白猫ちゃんを呼び出して癒してみたんだ。
オリヴィエの体を舐めてもらうと、噴き出していた水が止まったよ。
白猫ちゃんのお蔭で生きてはいるみたい。
でもちょっと白目を向いてゲッソリ状態。
体の水分がなくなっちゃったからなんだろうね。
急いで何か飲ませてあげないと。
「おい親父、意識を戻せ! このままじゃ死んじまうぞ!」
「分かっておるわ!」
と、ガルダがオリヴィエを抱え上げて頬をバシバシ叩いているよ。
アンリマインが近くにあるティーポットを手に取るんだ。
「誰か、誰かある! 直ぐに水を運んで来るのだ!」
「ハッ!」
ガルダの命令で扉の向こうから声が聞こえて一人が走り去って行く。
後は任せておくしかないね。
それはいいけど私はちょっと警戒中。
だってこの部屋の中にもう一つ気配が生まれたから。
これはライドラクス、黒幕の気配だよ。
まだ死んでいなかったんだね。
シュバっと構えて、
「そこだよー!」
キャットスレイヴをふり払うんだ。
濡れた絨毯から飛び出る突然飛び出すライドラクス。
バシャっと飛び散り水に戻ったけれど、直ぐに形を取り戻しちゃったんだ。
「くだらない結界のお蔭で近づくのに苦労させられたわ。大人しく王の座を明け渡せえええええ!」
ガルダの身を護ろうと前に出て剣を構えるペンネとユイエスト。
でもそういうのは効かないんだって分かっちゃったんだよ。
だからもう自分の身で防御するしか方法がないの。
もちろん、そんなことはさせないよ!
斬れないのなら捕まえちゃえばいいんだもん。
ブンと剣を変化させ、大きな樽を作ったよ。
この中に閉じ込めちゃおうって思ったけれど、前と同じで相手はすっごい素早いの。
ビュンビュン移動しながら辺りをジンメリ濡らしちゃうんだ。
そこから新しいライドラクスが生えてくる。
十体、二十体、部屋の中は敵で満たされて逃げ場は何処にもない感じ。
戦う方法はあるけれど、ここじゃあちょっと無理かもね。
「外に行くよー!」
『行かせるものか!』
何体ものライドラクスが扉の前に立ち塞がるの。
だけどそこには用がない。
全員の体をキャットスレイヴでガチっと掴み、壁に向かって一直線。
硬い壁をバッサリ切り裂き皆で外に飛び出したんだ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
カミル・ストラデジィ(学校のお友達)
プラナ・イスリード(学校の先生)
レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)
アギ(レヴィアンの付き人)
ヤー(レヴィアンの付き人)
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




