助け出せ!
結婚式の日。
控室でアンリマインがお化粧しているのを見届けたよ。
お菓子とか食べて待っていると、式場が占拠されたって大慌て。
報せに来てくれた人と逃げてみたら、この人こそ人攫いだったんだ。
アンリマインを護って戦っていたんだけれど、突然眠くなって御主人と一緒に倒れちゃったの。
気が付いたらレヴィアンの腕の中。
やっぱりアンリマインは攫われちゃって皆が必死に捜している感じ。
追いかけると伝えてリーズとカリンを呼びに行くんだ。
ギルドで見つけた二人に人捜しの魔法をかけてもらって捜し始めたんだよ。
「あー、見つけたよー!」
前方で激走する大きな馬車。
間違いない。
あの中にアンリマインの気配を感じるよ。
きっとボロボロに泣いているから早く助けてあげなくちゃ。
後ろからピョ―ンと飛びついて爪を使って屋根の上にガシガシ登っちゃったんだ。
「何か音がしたぞ!?」
見つかっちゃった?
「小石でもはねたんじゃねぇの。こんなスピードで追いつける奴なんていないだろ」
「外に誰かいる様な気配はないな」
って思ったけれど、ちゃんと調べる気はないみたい。
私としては助かったね。
うーんと、敵の人数は……。
外で運転している人を含めて全部で五人だよ。
だから敵は四人?
一気にやっつけたいところだけれど、アンリマインも巻き込んじゃったら不味いもん。
もうちょっと場所を確認したいよね。
キャットスレイヴで体を固定してっと、うにょーんと伸ばして窓の中を覗き込んじゃうの。
アンリマインは……。
手足を縛られてちょうど真ん中に座らされているよ。
何気なくこっちを見てね、
「あああああああ!?」
おっきな声を上げちゃった。
「何だ突然! うるさいだろうが!」
「何かあったんじゃないのか?」
「馬車は止めるなよ!」
と、冒険者風の男が一人外を見回している。
でも私は見つからないよ。
体を戻して屋根の上に居るんだもん。
警戒が解けたらねじっくり狙いを定めるの。
アンリマインの位置がここだから、
「てええええい!」
屋根を貫きシュバババって鋭い棘を突き入れた。
「ぐああああ!?」
「な、なにがああ!?」
「はぎゃあああ!?」
ぐっさり手応えいい感じ。
アンリマインを護るように周りに壁を作ってね、人質にされないように頑張ったんだ。
これでもう大丈夫!
「なんだ、何があった!?」
悲鳴を聞いた運転手。
馬車を止めて確認しようとしているよ。
私はチャキッと爪を出してシギャーって襲い掛かるんだ。
顔にガリっとやっちゃって、止めはキャットスレイヴで叩いちゃった。
後は救出して終わりかなーって思っていたら、馬車の中でピカッと何かが光ったよ。
「おのれえええ、何者の仕業だああ!」
「殺す!」
「許さああああん!」
それで馬車の中から体に多数の傷がある冒険者風の三人の男達が飛び出すの。
剣を持っている奴が二人、杖を持っている魔法使い風の人が一人。
さっきの怪我がないから魔法で回復したのかな?
それじゃあもう一回倒しちゃうから!
「にゃああああん!」
一気に駆け抜けバチンバチンって攻撃しちゃうんだ。
死なない程度に大ダメージを与えたんだけど、三人の体がピカっと光って立ち上がってくる。
「何だこの猫、物凄く強いぞ!?」
「違う、猫に擬態したモンスターだ! 普通の猫がこんなおかしな攻撃をするはずがない!」
「重大任務の最中だというのに!」
もしかして自動で回復しちゃうような魔法がかかっている?
じゃあもう一回ってやってみてもやっぱり普通に起き上がって来るよ。
うーん、でもあんまりやり過ぎると本当に死んじゃいそう。
でもでもアンリマインも助けなきゃだし……。
うん決めた!
もう逃げちゃうよ!
キャットスレイヴをシュバっと振って馬車の天井を切り裂いた。
私はササッと移動してアンリマインを連れ出すの。
「ひん、怖かったぁ……」
やっぱり泣いてみたいだよ。
「怪我はないよね?」
「ああ、モモさん、助けに来てくださってありがとうございますぅ!」
縛られた体をモゾモゾさせてお礼を言ってくれるんだよ。
「それじゃあ帰ろう!」
「は、はい!」
私はキャットスレイヴで十倍以上もおっきなアンリマインを持ち上げて一気に走りだしちゃった。
「に、逃がすなあああ!」
「追い駆けろおおおお!」
って言っているけど、馬車も止まったまんまだし、人の足じゃあ追いつけないよ。
ピューって距離をとっちゃって気配を感じないぐらいには離れたんだ。
後は結婚式場に連れて帰れば終わりだよ。
「も、モモさん、モモさんああああん! 鳥型のモンスターが飛んで来て……きゃああああ!?」
私の上ではアンリマインが大騒ぎ。
確かに結構速いみたい。
正面上空から飛んで来るおっきな鳥さん。
狙いは私か上のアンリマインか、どっちだろうと大丈夫!
タイミングよくヒョイっと避けてどんどんどんどん進んじゃうんだ。
帰りはなんか大型モンスターがいっぱいだよ。
一瞬でも止まると右から横から後ろから、かなりの大軍が向かって来るの。
躱して躱して攻撃してね、追い払ったりもしているんだけど、十体に十体さん十体、まだまだやってきちゃうんだ。
でもこれはいくら何でも来すぎだよ。
もしかしてあの四人が何かしているのかな?
「うひいいいい!? ひぃああああ!? 死んじゃう、死んじゃいます。私このままじゃ死んじゃいますううううう!」
アンリマインは大慌て。
逆に私は冷静だよ。
あの冒険者に追いつかれない内に、
「てええええい!」
モンスターに攻撃したんだ。
思ったよりも多かったけど、アンリマインを護りながら全部全部倒しちゃった。
「大丈夫?」
と聞いてみたら、
「大丈夫じゃないです。とっても怖かったです」
やっぱり泣きそうな声で応えてくれたよ。
後は町まで一直線。
そんな感じで行けたら良かったけれど、
「あれー?」
「あの~、何かあったのですか……?」
「うーん、道に迷っちゃったかも?」
激しい戦いで方向が分からなくなっちゃった。
結構進んでいるのに町が見えてこないんだもん。
「そ、そんな、もう町には帰れないのですか!?」
「誰かに教えてもらえればなんとかなるよー」
「モモさん、ここには誰も居ませんよ……?」
周りは草原だらけだもんね。
カリンの魔法も解けちゃったからフォローは期待できないよ。
不安そうなアンリマイン。
「私に任せといてー!」
私は自信満々に胸を叩くの。
こんな時は運任せ!
人の居そうな方向にビュンって素早く走っちゃうんだ。
もしかしたら普通に町に着いちゃうかも。
期待を込めて進んで行くとね、ゴツゴツの岩が落ちている渓谷に迷い込んじゃった。
こんなところは通らなかったから明らかに方向を間違ったったよ。
戻ろうか、それとももう少し進んでみるかどうしよう?
「えっと、本当にこっちでいいんですよね?」
アンリマインはちょっと不安そうな感じ。
ここでダメかもって言っちゃったらまた泣いちゃいそう。
「大丈夫だよ!」
私は頷き元気に応えたよ。
自信はあんまりないけれど、きっと一人ぐらい誰か居るんじゃないかなぁ?
まだ近くに人の気配は感じないけどね。
うーん、でも川があるからどこかに人が住んでいるかもしれないよ。
このまま気持ちいい風を感じながらお魚さんが泳ぐ小川の石を足場に走るんだ。
水を飲みに来るのは無害な動物さんだけじゃない。
狂暴なモンスターを捕食する更に凶悪なモンスター。
更に上位のモンスターも居たけれど、そんなの全然関係ないよ。
ほとんど追いつけないし、追いつかれたら倒しちゃう。
アンリマインは怖がってずっと泣いてばっかりだけど、私は気にせず奥に行っちゃうの。
川を進んで滝を飛び越え綺麗な森を突っ切って、ようやく見つけた人の気配。
目指して進んだその先に、小さな村を見つけちゃった。
これで道が分かりそう。
期待を込めて入って行くよ。
最初に見つけたのはクワを持ったおじさんだね。
「こんにちはー!」
色々聞いてみようって元気に挨拶したんだよ。
「はい、こんにち……うおあああああ、人を攫う化物だああああ!?」
「えー!?」
何だか勘違いされちゃった?
おじさんはクワを投げ捨てて物凄い勢いで逃げて行っちゃうよ。
私が猫の体だから?
上にずっと泣いているアンリマインを抱えているから?
話が聞けないと困っちゃう。
別の人に声をかけてみようかな。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
カミル・ストラデジィ(学校のお友達)
プラナ・イスリード(学校の先生)
レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)
アギ(レヴィアンの付き人)
ヤー(レヴィアンの付き人)
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




