良いことしよう!
ウィヌスって人に魔導診断を受けたんだけど、魔導核の一部がなくなっているみたいで、その影響で猫になっているんだって。
だからって悪い人達を数十人殺して私の中に入れるって云うんだから逃げ出したくなっちゃうよ。
私を檻に閉じ込めてお母さんに許可を取りに行ったみたい。
だけどね、許可は下りなかったんだよね。
それでアリアが迎えに来てね、今後はこっちでやるんだって。
だから私は助かっちゃった。
それで眠ったらウリエリアが夢に出て来て助かる方法を教えてくれたんだ。
いいことをすれば元に戻れるみたい。
お注射は嫌だから頑張って行動しちゃおう!
「良いことがしたいって? うち的には猫の手も借りたい状況ではあるけれどねぇ。流石にお皿洗いは出来ないわよねぇ?」
食堂のおばちゃんが聞いて来た。
私は自分の手を見るけれどお皿なんかは持てそうにないよ。
でもキャットスレイヴを使えば出来そうかなぁ?
「やってみるー!」
元気に手を挙げちゃったけれど、
「やっぱり遠慮しておくよ。あんたには悪いけれど、あまり動物を厨房に入れたくはないんでね」
ちょっと断られちゃったね。
「ああそうだ。困っているといえば、あんたの隊で何かトラブルがあったみたいだよ。行ってみたらどうなんだい?」
「うん、行ってみるよー! ご飯ありがとうねー!」
(美味しかったよ!)
私と御主人は手を振って食堂を出て行ったの。
おばちゃんに言っていた隊は私の所属しているブレードバード隊だよ。
もうお庭の隊舎に集まっているかな?
行ってみれば分かるよね。
私達はピョピョンって移動して隊舎に到着したんだよ。
隊長のベノムと何時も通りの皆が何だか慌てているみたい。
これは良いことするチャンスかな!
ちょっとベノムに声をかけてみることにしたの。
「で、何だか知らんが猫になって良いことをしたら戻れるってことか?」
「そーだよー!」
「いや、全く訳が分からんが、まあ色々と手を貸してほしいと思っていたところだぜ。お前キャットスレイヴは使えるんだろうな?」
「大丈夫だよー!」
そう言いながらキャットスレイヴで自分の体を持ち上げちゃうんだ。
「なるほど、それならまあ役には立つってことか? お前ちょっと俺等と一緒について来い。これは充分に人の役に立つことだからよ!」
「わーい、良いことするー! あー、でもあんまり遠くに行けないよ、アリアを心配させちゃうもん」
「まあそれについてはこっちで連絡しとけばいいだろ。おいお前、ちょっと行って来いよ」
「了解しました!」
て、ベノムは近くの兵士を呼び止めて伝えに行かせちゃったんだ。
これでお手伝いは確定しちゃったね。
「それで何をするの?」
「実はな、アンリマイン様がご結婚されるってことでうちの隊が駆り出される事になったんだ。超重要な仕事だからどうしても失敗できねぇんだよ。だからお前にも活躍してもらおうと思っていたんだぜ!」
「アンリマイン様? ……って誰?」
(聞いたことがない人だね)
様っていうぐらいだから偉い人かな?
「おいおい、そのぐらい知っとけ。簡単に言えば王女様だよ。シャーン様の姉君だ!」
「私、会った事がないんだけれど?」
(僕もないなぁ)
シャーンやルシフェリアとはいっぱい遊んだりするけれど、二人から話を聞いたことがないよ。
「そりゃあ仕方がねぇ、最近まで病気を患われていてな、病用していらっしゃったんだ。ほぼ誰にも会うことができなくなっていたんだよ。でな、最近来たウォームラビットやその技術のお蔭で病状も回復されたんだぜ。治っちまえばあの方は年頃で美しいからな、他国の奴等も放って置かなかったんだ。それでトントン拍子に話が進んで今に至るって訳よ」
「ふーん?」
「お前が猫なのはある意味タイミングが良いぜ。その姿なら誰も警戒しないだろ。誰一人近づけないようにアンリマイン様をつきっきりで警護してくれや!」
「はーい!」
隊の皆はまた急いで準備を続けている。私はやる事がなくて暇だったんだけど……。
「モモさん! せっかく薬を作っていたのに何処に行くつもりですか!」
アリアが慌ててやってきちゃった。
「あー、アリア! 私良いことをするんだよ。そうしたら人間に戻れるって聞いたんだもん。だからお仕事しに行くんだ!」
「そんな出任せを誰に聞いたんですか。良いことをしたって戻れる訳がないでしょ」
「戻れるよー。神様が云っていたんだもん」
「神様? おかしな事を言っていないで部屋に戻りますよ」
あんまり信じてくれてない感じ。
私はアリアに抱っこされちゃいそうになったんだけど、
「いや待った待った、モモの力はうちらの隊に必要なんですよ。アンリマイン様の事はしているでしょ? この状態なら隣に置いておいても警戒されないんですよ。是非力を借りたいんですって」
ベノムがフォローしてくれたよ。
「アンリマイン様の警護ですか? それならまあ仕方ないですね。ですがモモさん、ちゃんと帰って来るんですよ。それまでに必ず薬を用意しておきますから」
「大丈夫だよー。それまでには人間に戻っているもん!」
「云いましたね。ではそうならなかった場合はキチンと治療を受けてもらいますから。ちゃんと覚えておいてくださいね」
「うん、分かったよー!」
という感じでアリアが去って行くのを見送ったよ。
それから隊の皆を応援してね、日が暮れた頃に準備が完了したんだ。
「それで何時出発するのー?」
「実はとんでもない急な話でな、明日の朝なんだ。場所はお前も知っているハイグスト国だぜ」
「そーなんだ。じゃあいっぱい旅をしなくても大丈夫だね」
この町には転移装置があるんだよ。ハイグストまでは一瞬で到着できちゃうの。
でもあそこの王子様ってレヴィアンだよね。
アンリマインと二人で結婚しちゃうのかな?
お友達だし、いっぱい応援してあげなくっちゃ!
「だがそれでも危ないことはある。こうして準備を整えなければってな。お前も出かける準備しておけ……っていってもその状態じゃそんなにねぇか。んじゃ充分休んでおけや」
「うん、いっぱいお休みするよー!」
「朝の鐘が鳴ったら集合な。寝坊すんなよ」
ということでお部屋に戻った私は準備をしてグッスリたっぷり眠ったの。
御主人に起こして貰ったから遅刻はしなかったよ
二人で待ち合わせの場所に行くとね、ベノムを中心に隊の皆がずらっと並んで待っていたんだ。
私達じゃなくてアンリマインを待っているのかな。
「おっはよー!」
(おはよう!)
「おう来たか。そろそろアンリマイン様が到着なされる頃だ。お前等も失礼がないように並んどけよ」
そんな感じで言われちゃったから私と御主人はベノムの隣に座ってみたよ。
「……まあいいけどよぉ、大人しくしとけよな」
ちょっと待っているとね、ブルースの率いるブルービースト隊が少し癖っ毛で二十歳ぐらいの女性を護衛してこっちに向かって来たんだ。
たぶんあの人がアンリマインなのかな?
あの隊にも知り合いが何人か居るけれど、今は挨拶する雰囲気じゃないっぽい。
「アンリマイン様を頼むぞ」
「おう、任せときな。俺等の隊が全力で護衛するぜ!」
ブルースとベノムが簡単な引継ぎをしてアンリマインがこっちの隊にやって来たんだよ。
「皆様、わたくしの護衛をどうぞよろしくお願いします」
それでね、スッとスカートの端を掴んで挨拶してくれるの。
シャーン達と同じで良い人みたいだね。
「よろしくねー!」
(よろしくね!)
「おいコラ、失礼な態度をとるんじゃねぇ!」
ベノムにはちょっと怒られちゃったけれど、
「いえいえ、そんなに気を使われなくて構いませんから。それに、二人とも可愛い子達じゃありませんか。これからよろしくお願いしますね」
アンリマインはしゃがみ込んで私達と握手してくれたんだよ。
「うん、私がんばるよー!」
(僕は見張りぐらいしか出来ないけれど、全力でがんばります!)
だから信頼の証にスリってしたらね、いっぱい撫でて可愛がってくれたんだ。
「アンリマイン様、先方もお待ちのはずです。そろそろ出発しましょうか」
気持ちよくなってきた頃にベノムから声がかかっちゃった。
「ええ、そう致しましょうか」
それでアンリマインはちょっとだけ悲しそうな表情で頷いたんだよ。
家猫のモモ
異世界に転生して人間となる。
御主人(ヒロ)
人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。
カミル・ストラデジィ(学校のお友達)
プラナ・イスリード(学校の先生)
レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)
アギ(レヴィアンの付き人)
ヤー(レヴィアンの付き人)
エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)
レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)
ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)
リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)
ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)
王子シャーン
王女ルシフェリア
王女ラヴィーナ(格闘が得意)
王女イブレーテ(長女)
王子パーズ(恋焦がれる男の子)
シャーンのお母さんテルナ
ウィーディアの女王。
爺
シャーンやテルナの付き人。
フルール・フレーレ
ラヴィーナの師匠で格闘家。
青鎧のブルース・グライブス
教育係アリア・ファイリーズ
モモの教育係。
赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)
桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)
冒険者、エルフの姉妹。
ベノム(ブレードバード隊、隊長)
ルーカ(孤児)
プラム・オデッセイ(里帰り中)
ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)
クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)
シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)
剣と魔法の世界 ミドレイス
翼の生えた子供 ウリエリア




