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人に戻りたい

 何時も通りお部屋で目覚めるとね、私の体が猫に戻っちゃったんだ。

 急いでアリアに報せに行くと魔導診断っていうのをうけさせられちゃった。

 お注射されたり体中を触られたりちょっと酷い目に遭っちゃったよ。

 結果を報せてくれたんだけど、魔導核って場所の一部が無くなっているんだって。

 私は治療をおねがいしたよ。

「よかろう、これも人類の発展のためだ。ざっと五十人ほど殺害して魔力核を取り出し、君に投与してみるとしよう! そうすればきっと人間の姿に戻れるはずだ!」


 ウィヌスはとっても残虐そうな方法を試そうとするみたい。


「えー、そんなのダメだよー!」


「なぁに、君が気にする必要はない。別に無害な者を殺そうという訳ではないのだからな。どうせ死ぬはずの罪人を片っ端に殺して行くだけだよ。これも世の為人の為だ。きっと女王陛下も受け入れてくださるよ!」


 放って置いても死んじゃう人?

 私の都合で殺しちゃうのは嫌だし、その人達の何かを体に入れるなんてやっぱり怖いよ。


「ごめんなさい!」


 そう言って逃げ出す私。


「逃げられると思うなよおおおおお!」


 追い掛けて来るウィヌス。

 頑張ってピョンピョン移動していたんだけれどね、


「にゃあああああ!?」


 結局捕まっちゃって檻に閉じ込められちゃった。

 それでお母さんに許可を取りに行ったみたいだけど、戻って来たウィヌスはしょんぼり肩を落としていたの。


「ぬおおおおお、何故だあああああ!?」


 こんな感じで絶叫しているよ。

 これは許可が下りなかったんだよね?

 お母さんありがとう!


「仕方がない、流石に女王陛下のお言葉を違える訳にはいかぬ。他の方法を考えなければ」


 て、悩んでいる間に用意してあったご飯を見比べるの。

 人間用のご飯と猫用のご飯。

 二つ並んでいるけれど、今は猫用の方がいい感じだね。

 食べ終わっても悩んでいたから私はちょっと寝ちゃったよ。

 どれだけ時間が経ったのか分からないけれど、起きたらアリアが迎えにきてくれたんだ。

 もう色々話を聞いたのかな?


「それじゃあ帰りましょうかモモさん」


「はーい!」


「待てええええい! まだ方法を考えている最中なのだ。後十年ぐらい待ってくれ!」


「そんなに待てませんから。それに危ない事をするように提案されたそうじゃありませんか。危険な事をモモさんにさせる訳にはまいりません。方法はこちらで考えさせていただきます!」


「そんなああああ!?」


 私は手を振ってお別れしたよ。

 出来れば二度と会いたくないなぁ。

 それでアリアに運ばれて戻って来たいつものお部屋。


(お帰りモモ。アリアもおかえりー!)


 待っていてくれた御主人が挨拶してくれたの。


「御主人、ただいまー!」


「ただいま戻りましたわ」


(それで原因は分かったの?)


「魔術核ってのがなくなっちゃったんだって。アリアが方法を考えてくれるみたいだよ」


「ええ、ウィヌス様のように魔術核を補充するような方法は思いつきませんけれど、別の方法であるのなら出来るかもしれません」


「どうするのー?」


「モモさんの中にある自己修復機能を使うのですよ。それ用にお薬を作りますので待っていてくださいね」


「お薬? お注射はしなくても大丈夫だよねー?」


「……大丈夫ですよ?」


 ほんの少しのに何だか嫌な予感がしちゃう。

 ジリっと距離を取って警戒しちゃったの。

 だってさっきも捕まっちゃったんだもん。


「あらモモさん、私達お友達ですよね。そんなに警戒しなくてもいいではありませんか。これも元に戻る為に必要なことなんですから」


 ふるふる首を振ってもうちょっと距離を取っちゃった。


「まあいいですわ。お薬を作るのには時間がかかりますから。今日は失礼いたしますね」


 そしてアリアは部屋を出て行っちゃったんだ。

 元気なお返事はできなかったよ。

 出来ればじっくり時間をかけてほしいかな。

 ドキドキしながらご飯を食べて明日はいい日になりますようにってお休みしたの。


 グッスリ眠っているとね、何だか夢を見ちゃったんだ。

 現れたのはこの世界に連れて来てくれたウリエリアって天使様。

 ちっちゃい子共みたいで真っ白な翼が生えているんだよ。


「こんばんはモモさん」


「こんばんはー!」


 て、返事をした私は夢でも猫のまんまだね。


「とても元気なお返事ありがとうございます。それで、ですねぇ。モモさんが今の状態になった事について言わなければならないことがあるのですが……」


 ちょっと言いよどんでいる感じ。

 それって猫になっちゃったことだよねぇ?


「もしかしてウリエリアの所為だったのー?」


「まあそうとも言えなくもないといいますか。簡単に説明するなら少し前に使った奇跡の代償なのですよねぇ」


 その奇跡っていうのは少し前に起こった戦争でのことなんだ。

 仲間達が傷つき死んじゃったのを助けてくれたんだよ。


「あの力はモモさんの善い行いをした徳を使用したものなのですが、それだけでは少々足りなかったようです。モモさんに必要な物まで奪い去ってしまったみたいですね」


「そーなんだ?」


 それじゃあ仕方ないよね。

 だってあれがなかったら大切な人がいっぱい死んじゃったもん。


「それじゃあ治してくれるのー?」


「いえ、こちらからの施しは無理なのです。本来、世界に関わるのは禁忌。あの時が特別だったのです。ですから方法だけお教えしましょう」


 方法があるんだ!

 それじゃあお注射しなくてもいいのかも!


「教えて教えてー!」


「ではお教えしましょう。モモさん、起きたら良いことをしてください。何度も続けて居れば得が溜まって元の姿に戻れるはずです」


「良いことって、なんでもいいの?」


「ええ、誰かの為になることなら何でも構いませんよ」


「うん、分かったよー!」


「良いお返事ですね。では私は失礼します。ちゃんと覚えておいてくださいね」


「はーい!」


 お返事をすると目を覚ましたんだよ。

 あんまり寝た気がしないんだけど、窓の外は気持ちよさそうな光が入ってきている。

 もう朝になっちゃったみたい。


(ふぁぁ。モモ、起きたんだね。おはよう)


 御主人も一緒に起きちゃったね。


「御主人、おっはよー!」


(今日は何時もにもまして元気だね)


「うん、ウリエリアがね、夢の中で人間になる方法を教えてくれたんだ!」


(ウリエリア? ああ、僕達をこの世界に送ってくれた神様の名前だったね。でもただの夢じゃないの?)


「違うよー、ちゃんとお話しもしたもん。えっとね……」


 そうだ、あの時助けられたことは言っちゃダメなんだよね?


「良いことすると人間に戻れるみたいだよー! だからちょっと出かけて来るねー!」


 私は扉を開けようと頑張っちゃうんだ。

 やっぱりキャットスレイヴがないと中々開かないよ。


(待って待って、僕も行くから。それとキャットスレイヴは持って行った方がいいよ。ほら、そこの台に置いてあるから)


 御主人が指さした鏡台の上に首輪型になったキャットスレイヴが置いてあったよ。

 アリアがちゃんと持って来てくれたんだね


「うん、そうだね。ちゃんと持って行くよー!」


 私はキャットスレイヴを触って何時も通り自分の首輪にしちゃう。

 ガチャッと扉を開けて私はお城の中を探索するの。


(ねぇモモ、アリアに言わなくて良かったの?)


「大丈夫だよ。外には行かないもん」


(うーん、それならいいのかなぁ……?)


 良いことをできそうな場所を探し回っちゃうしかないよね。

 最初に行きたいのは……。


「やっぱり食堂だよね!」


 お腹が行けって言っている食堂だよ。


(じつは朝ご飯食べたいだけなんじゃないの?)


「もっちろん、ご飯も食べるよー!」


(うーん、まあキャットフードも出してくれるから大丈夫かな?)


 食堂。

 朝早くだというのに多くの人がお話しながら食事を楽しんでいるよ。


「おはようございまーす!」


 私が大きな声であいさつすると、ご飯を食べていた人達がふり向くの。

 ちょっとザワザワしちゃったけれど、一人が私だって気が付いてくれたんだ。

 それで収まった感じ。

 ちょっと奥に進んでね、何時もご飯を作ってくれているおばちゃんに声をかけたの。

 やっぱり驚かれちゃったけれど、ご飯をくれたから大丈夫だったよ!

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


カミル・ストラデジィ(学校のお友達)

プラナ・イスリード(学校の先生)

レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)

アギ(レヴィアンの付き人)

ヤー(レヴィアンの付き人)


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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