表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
203/335

デーモン

 転移したのは黒い夜の世界。

 とても大きな赤い月が異世界を感じさせるよ。

 いっぱい湧き出るモンスターを倒して倒して倒しまくり全滅させて出口を探すの。

 手掛かりはないけれどあそこが怪しいって向かったのは赤い月。

 近づくと生々しい感じが増して行ってね、瞼みたいな物が見えちゃうの。

 とりあえずザシュって攻撃してみると、悲鳴を上げてまたお城の中に転移させられちゃった。

 王様を捜してね、中庭で戦うことになったけれど、ダメージを与えたらデーモンに変身しちゃったの。

「おじい様の仇を討たなければ!」


 元々暴れていたアンジュリッタは私の懐から飛びだそうとしちゃうんだ。

 流石に行かせたら不味いよね。


「そんな事をしたって怪我をしちゃうだけだよ。ここは私に任せておいて!」


「本当に出来るんですか!? 出来なかったらあなたを罰してあげますから!」


「それじゃあ勝ったら美味しいご飯を頂戴ね!」


 私はアンジュリッタをグっと抱きしめてデーモンとの戦いを続けるの。

 全方位への攻撃を続けるけれど、ダモクレスの力で防がれちゃった。

 相手からの反撃でザシュンバシュンって大きく速い薙ぎ払い。

 ちゃんと躱したのに服がバラっと切れちゃうぐらいに鋭いの。

 もうちょっと距離を取らなきゃ危ないかも。


「下等生物め、死んで償ええええ!」


 デーモンは激昂してブンブンブンブン攻撃して来る。

 私は躱して牽制攻撃。

 金属音を立てて防御されちゃうけれど、完全には防げないみたい。

 ダモクレスって剣が折れちゃったからかな。

 正面の一部に穴が開いているんだ。


 ただそこばっかりやっても防がれちゃいそう。

 気付かれないように準備は入念に。

 小技でちょこまかしちゃってね、行けそうな時に全力アタック!


「今なら!」


「ぐぬ!?」


 相手の防御も貫いちゃうよ。

 ザックリ肩に傷を負わせて要の剣が落ちていく。


「もう勝ち目はないからね!」


「ほざけええええええ!」


 まだまだ止まりそうもない?

 だったらここで終わらせてあげるよ。

 溜めて溜めて溜めて溜めて……攻撃全振り一点集中!


「たあああああああ!」


 体の中心めがけて剣先を伸ばしちゃう。


「愚かな、弾き返してくれるわ!」


 デーモンが尻尾を長く伸ばしてね、落ちた剣を拾い上げちゃった。

 このままじゃあ防がれちゃう?

 だったらもっと力を込めて。


「行くよー!」


 強引に行っちゃうんだから!

 防御の壁にガツンと衝突。

 だけど私はまだ進む。

 キャットスレイヴで加速してね、お城の壁に押し込むの。


「諦めろ!」


「諦めないよー!」


 止まっちゃえばほぼ互角。

 ググっと押しても動かない。


「おじい様の仇を討つんです!」


 その時、剣の柄にアンジュリッタの手が触れたんだ。

 子供の力じゃあんまり変わらないけれど、私の心に輝きが増していく。

 限界を超える力はね、今ここにあるんだよ。

 皆の為に、振り絞るんだ!


『たあああああああああ!』


 二人で押し込むとシュバーンって何もかもを貫き通す。

 お城が割れて空が割れて、天に十字が輝くの。


「ば、バカな。こんな事が起こるはずは……。余は世界を統べる王となるはず……。があああああああああ!」


 デーモンの胸には大きな穴が。

 私達はその向こう側。

 輝きは闇を浄化し四散させ、何も残さず消しちゃった。


「仇は討ちましたわ。おじい様、安らかにお眠りください……」


 アンジュリッタはちょっとだけ涙を流してグイっと腕で拭ったの。

 噴水の周りに居た兵士達はバタバタ倒れちゃってね、鼓動さえ止めているみたい。

 白猫ちゃんで癒しても立ち上がることはなかったの。


 終わった感もあるけれど、まだ終わった訳じゃないんだよ。

 王様は、王様だったものは倒したけれど、ルブレの町では皆が戦っているし、戦争はまだ継続中なの。

 レヴィアンは王様を倒せば勝ちって云っていたけれど、これで止まったとは思えないよ。

 どうにかしなくちゃ!


「悲しんでいる時にごめんね。でもね、どうしても教えてほしいことがあるんだ。戦争を止めるにはどうしたらいいと思うかなー?」


 私はアンジュリッタに相談してみたの。


「戦争の終結ですか。……とても難しいことだと思います。戦場では幾つもの命が散っているはずですから。どちらの感情も爆発しているはずです。簡単に止められるものではありませんわ」


「それでも止めなきゃダメなんだよー! 友達が、皆が死んじゃうんだもん!」


「ですが、止められるのは王命のみ。王はもう……」


 王様に化けていたデーモンは塵になって消えちゃった。


「じゃあ王様に近い人は誰か居ないのー?」


「それが、継承権を持つ者達は全員行方不明になってしまわれたのです。お父様も、お母様も、お兄様も、お姉様も、遠い親戚の皆様までも続々と。次は私なのではと肝を冷やしておりましたけれど、今回の騒ぎでもしかしたらあの悪魔こそが元凶だったのかもと……」


「それじゃあ止められる人は誰も居ないってこと?」


「ええ、王位継承権を持つ者は私しかおりませんわ」


「ならアンジュリッタが王様になって止めたらいいよ!」


「私は政治のことを何一つ知らない子共なのです。いうことを聞いてくださる方がいらっしゃるとは思えませんわ」


 自分じゃ無理だと言いたい感じ。


「いいからやろうよ! そうしなきゃ終わらないもん! お願いアンジュリッタ! お願いだよー!」


 私は必死にお願いするとね、


「……やれるだけ、やってみます」


 観念して頷いてくれたんだ。

 アンジュリッタは大声を上げて残っていた人を集めて行くの。

 偉い人とか兵士はもうほとんど残っていない感じ。

 やっぱりゾンビみたいに操られていたのかな。

 ここに来たのは使用人とかが多いみたい。


「え、きゃああああ!?」


「これは、一体何が!?」


 周りに死体、知らない私を見ちゃってちょっと警戒しているみたいだね。


「この方は敵ではありません。先ほどこの方と一緒におじい様に化けた化物を成敗しました。かの者の話では、おじい様は無残に襲われ崩御されていたとのこと。今までの行方不明騒動もあの者が関わっていると考えていいはずです。よって王位継承権を持つ私が空位を引き継ぎ、王命を下します! パラドライオは潔く負けを認めて停戦いたします! 意見のあられる方はこの場で居られますか!?」


 アンジュリッタの宣言に皆はザワっとしちゃうんだ。


「お、お待ちくださいアンジュリッタ様! そのような事は容認できかねます! 諸外国及び貴族の皆様が何といわれるか、お考えください。先ずは皆様と話し合った上でお考えくださいませんか!?」


 出て来たのはたぶんこの国の貴族の一人なんだろうね。

 卵みたいなその人は、アンジュリッタの王位継承問題に意見をぶつけちゃっている。


「現継承権一位の私が継ぐと言っているのです。それに何の文句が出るというのですか! 下手な事を云うのならば不敬と捉えられても仕方がありませんよ! あなたはまだ文句があるのですか!?」


 ほとんど脅しみたいな感じ。

 アンジュリッタは怒り任せに思った事を口に出しちゃっているよ。


「い、いえ、さきほどまでの事は一般的な意見でして、私は決して文句を言っていた訳ではございません……」


 卵の人はあまりの剣幕に恐れをなしたのかな?

 自分の意見を引っ込めちゃった。

 それじゃあこれで問題はないんだよね?


「ならば急ぎなさい! 全霊を尽くして戦場へ伝えるのです! 化物の思い通りにされるのはパラドライオの恥ですよ!」


『ハッ! 真なる王アンジュリッタ様の御命令に従います!』


 怒鳴りつける様に命じると、卵の人以外が全員走って行くの。

 卵の人も冷や汗ダラダラ垂らしてね、結局何処かへ行っちゃったよ。

 残ったのは私達だけ。


「はぁ、すごく緊張してしまいました」


 アンジュリッタは胸を押さえて大きく息を吐いている。

 もうちょっと付き合ってあげたいけれど、こっちも色々やる事があるんだよね。


「うん、助かったよ。じゃあ私皆に報せなきゃだから。そろそろ行くねー!」


 私は手を振って別れの挨拶をしたよ。


「おじい様の事、国の事、色々とお世話になりました。最後に、あなたのお名前を教えて下さいませんか?」


 名前が聞きたい?

 そういえば教えてなかったかな?


「私? 私はモモだよ。よろしくね!」


「モモさん、覚えておきますね」


「うん、じゃあまたねー!」


 私はもう一度アンジュリッタに手を振って町を出るよ。

 皆まだ戦っているかもしれないし、急がなきゃだよね!

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


カミル・ストラデジィ(学校のお友達)

プラナ・イスリード(学校の先生)

レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)

アギ(レヴィアンの付き人)

ヤー(レヴィアンの付き人)


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ