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がんばれ私、通訳は大変だ

 盗賊団を見つけようとしたのだけど、前にアリアを誘拐した三人を発見した。

 モンスターに襲われていたから助けてやるが、自分達は盗賊団ではないという。

 別の場所に塒を造った奴等がいるということでその場所に向かった。

 三人を帰して洞窟に入ってみると、想像していたのとは違う三人の子供達が。

 その子達は驚いて奥に入って行く。

 私達も追い掛けると、そこには霊獣フェンリルという大きな犬がいた。

 しかも私にだけ分かる言葉で喋っている。

 でも襲って来たので返り討ちにしてやった。

 フェンリルがキャンとひと鳴きしたところで、もう完全に服従したみたい。

 ちゃんと上下関係が分かれば早いものだ。

 もう下手な抵抗をみせることもなく大人しくしている。

 奥の壁に避難していた子供達はフェンリルのことを心配しているみたい。

 使役しているとか偉そうなことを云っていたけど、実は仲良くやってたのかも?


「一応聞いておくけど、あなた達、もしかして泥棒とかしてないでしょうね?」


「センリの村でグスタフさんから街道に盗賊が出るって聞いたんですよね」


 リーズとカリンが子供達に尋ねるが、


「ぼ、僕達そんなことしてないよ!」


「う、うん!」


「そ、そうだよ。そうだよ!」


 三人の子供達はそれを否定している。

 武器も持っていないし、普通に返り討ちに遭うのかも。


「まああんた達がやれたとは思っていないけど、たまたまフェンリルが人を襲ったところに、あんた達が見えたってことも考えられるわ。そのパンとかこんな所じゃ手に入らないもんね」


 手に握ったパン、確かに買えるような場所はこの辺りにない。


「そこのところどうなのですか? モモさん、聞いてみてはくださいませんか?」


「うん、いいよー!」


 話しを聞くために私はフェンリルの前に座った。


「それでどうなのー?」


(ふん、確かに人を襲ったことはある。その三人は生肉を受け付けないからな。それが盗賊に見えたというのならそうなのだろう)


「殺しちゃったの?」


(いいや、食べ物を奪おうとしただけなのだが、全員物品まで置き去りにして逃げて行ったのだ。まあ宝石や道具など必要はないから置き去りにしたがな)


「――だって?」


 私はフェンリルから聞いた話をリーズとカリンに伝えた。


「ふ~ん、襲っていたのは間違いないみたいだけど、盗賊ってのは実際にはいないみたいね。一応これで解決なのかしら」


「でも置かれた道具類は何処へいったんでしょう? さっきは無かったですよね?」


「そりゃあもちろん通った奴等が持ち去ったに決まってるわよ。持ち主が誰かなんて分かりようがないもの」


「お姉ちゃん、手で運べる量ならいいですけど、大荷物だったら持ち運ぶこともできないですよ? 何か入れ物でも……あ、あの人達、もしかして」


「カリン、何か思いついたの?」


「逃げた三人ですよ。あの人達カゴを持っていたし、もしかして。モモさん、フェンリルさんに聞いてみてください」


「うん、今日の荷物にお芋さんあった?」


(芋? うむ、確かにあったが、我にも子供達にも調理することはできんからな。パンのみを貰ってやったわ)


「もうやったらダメだよー」


(しかし、やらなければ子供達が死んでしまうではないか)


「そっかー」


 子供を殺しちゃうのはダメだ。


「村に連れていてあげたらー?」


(その村から追い出された奴等よ。食料を作っていても、こやつらに食わせる分がないということだ。皮肉なものよな)


「可哀想だよー」


(だがそうせざるを得ない理由があったのだろう。自分達の生活資金が足りないとかな)


 むー、私も住んでいるけど、人の世界は大変なんだな。

 私はリーズとカリンに事情を伝えた。

 そして通訳も大変だ。


「それはまあ……仕方ないわね。二度と泥棒しないように保護するしかないんじゃない?」


「はい、人は人の中でしか生きられませんから。今は良くても、その内病気になったりするかもしれませんよ」


(ふん、云われずとも知っておるわ。だが金も何も持っていない子共優しく生かしてくれる場所でもあるのか? 我は知っておるぞ、人の世は金の世界。持たざる者は死ぬ定めということをな)


「モモ、なんて?」


「モモさん、教えて下さい」


「うん、えっとねー――」


 これは本当に大変だ。

 うーん、何か方法はないだろうか?

 うーん、うーん?

 そんな心のモヤモヤが、私に新しい魔法を……魔法を……魔法でてこーい!

 全然出て来ないよー、これは困った、けれどやらなければ仕方ないみたい。

 私は頑張って内容を伝え続けた。


「とにかくグリフさん達と合流しましょう。子供達も、まあ酷いことにはならないわよ。別に自分達でやってたわけじゃないんだから」


「そうですね、でもフェンリルさんは反省してください、実行犯なんですから」


(むうぅ、負けたからには仕方あるまい。反省するとしよう)


 頭を垂れて落ち込んでいるフェンリル。

 ちょっとかわいく見える。


(それはそれとして、お前から道具を取り返すと言ってくれないか? そしたら我が許される可能性もみえるだろう?)


 それから私に耳打ちした。


「わかったー!」


 ということでフェンリルさんの言葉を聞き、


「えっとね、皆を許してもらいたいから取られた道具を取り返しに行こう!」


 私はそれを提案した。


「まあ確かに、その方がいいわね」


「じゃあ人捜しの法を使用しますね。カリンはここでサポートしておきます」


「それじゃあ私もここで待たせてもらうわ。いくら拘束してあるといってもフェンリルは強力だしね。カリンの身が心配だわ。ま、モモだったらあんな三人ぐらいどうってことないわよね?」


「うん、大丈夫、直ぐ倒して来るよー!」


 カリンのサポートを受け、あの誘拐犯三人の特徴をもつ人物の居場所が頭の中に投影された。

 丘の風景、周りの草原、さっき出会った場所。

 次々に景色が流れてこことは別の洞窟が見えてくる。

 この丘から結構近い。

 というかこの洞窟の裏側みたい。

 もしかしてこれからもずっと落とし物を狙う気なのかも。

 私はキャットスレイヴの拘束を解き、皆で頑丈なロープでフェンリルを縛り上げた。


「じゃあ待っててー!」


『いってらっしゃーい!』

 

(待つのだ、我が息子アウロも連れて行くがいい。この大きさなら邪魔にはならんだろう。人質という訳ではないが、我がこの二人を襲わないという証明になるだろう。もしかしたら役に立つかもしれないぞ。それと例え何かあったとしても恨んだりせぬ、存分に使ってやれ)


 アウロというのはこの小さな子犬?

 私の前でアンと力強く鳴いてやる気を示している。

 このぐらいの小ささなら簡単に持ち運べるサイズだ。


「うん、じゃあ連れて行くね」


 私はアウロをヒョイっと持ち上げて洞窟を出た。

 そして丘を周り数分。

 普通の人なら一時間ぐらいはかかりそうな距離。

 小さいとはいえやっと真逆の方向に辿り着いた。

 やっぱり同じような洞窟があり、そこからはお芋の焼ける匂いが漂ってくる。


「食べたーい!」


 お腹が鳴ったから急いで洞窟の中へ。

 突然の侵入に驚く誘拐犯三人。

 お芋を口に含みながら目を丸くしていた。

家猫のモモ

御主人ごしゅじん(ヒロ)

王子シャーン

シャーンのお母さんテルナ

グリフ・リスマイヤー

青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(ブルースに頼まれて特訓中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)

クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

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