表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
177/335

ララバへ

 領主コンブリットはヴァンパイアというモンスターだった。

 しかも大きなハンマーで潰しても潰しても全然死なないんだよ。

 杭状の物で貫いても無理っぽい。

 黒猫ちゃんに聞いてみたらそれなりの呪術的な何かがいるんだって。

 そんなの用意できないし、後は太陽に当てるしかない。

 私は捕まえたコンブリットをブリザードドラゴンのティアマトンで遠くに運んだの。

 朝の光を当てさせて消滅させて戻って行くよ。

 レヴィアンとブラムスに伝えたんだけれど、また何か問題があったみたい。

 王宮から軍が攻めてくるんだって。

 このままじゃ不味いってことでティアマトンで先回りして手薄になった王宮を攻め落とすことになったんだ。

(さて、我の腹も膨れたし、約束通り何処へでも連れていってやるぞ)


 ティアマトンは自分のお腹をポンポン叩き満足している感じ。


「よし、首都ララバに向かうぞ」


「ここからが本番ですな。この国を救う為です。全力でお付き合いいたしますぞ!」


「それじゃあ行こー!」


(おー!)


 私達はティアマトンの背に乗ってまた太陽が昇る方角に飛び立つの。

 コンブリットを倒したところを通過して更に東に。

 空はもう真っ青で朝が来たのはいいけれど、徹夜はちょっと疲れちゃうね。

 ふわぁって欠伸あくびをしていたら地面を進む無数の兵隊が見えて来る。


 うーん、どのぐらいだろう?

 あまりにも多くて数えきれないけれど、一万二万じゃきかないんじゃないかな?

 長い長い行列が出来ているの。


「ティアマトン殿ならばここから奇襲できるのでは?」


 ブラムスが聞いてみると、ティアマトンは空を旋回して地面を見下ろしている。


(もちろんできる。やれと言うならば飛び込んでもいいのだぞ)


「やめておけ。あそこに居るのはただの兵隊だけじゃねぇ。俺達を討伐する為に相当な実力者や魔術師達も同行しているはずだ。ある程度の知識があるならあんたの弱点を突いてきてもおかしくねぇぜ。勝てるにしろ無傷とはいかねぇぞ。あんただって怪我はしたくないだろう?」


(むぅ、我の実力を見誤っておるようだが、モモのように万が一のこともあり得るからな。ここは下手なことをせずに通過するとしようか)


 やっぱりそのまま進むんだって。

 ビュビュ―ンと空を駆け遠く遠くにあった町。

 立派なお城と立派な町並み。

 朝日が何かに反射して色々な所がキラキラしている。


 でもね、それは外見だけかもしれないよ。

 今までと同じなら、きっとそこは地獄のような場所。

 私達は近くの地面に降り立って、忍び込むように町の中に入って行ったの。


 見張りも居なかったから簡単だったけれど、その理由は直ぐに分かったよ。

 ここは人の町なんかじゃない。

 我が物顔で徘徊するモンスター達の住処。

 緑色のゴブリン、犬みたいな獣人コボルト、顔が3つもあるキマイラ、豚の獣人オーク、角のある巨人オーガに一つ目の巨人サイクロプス、炎を吐くトカゲ、サラマンダーなんてものまで。

 何所にも人の姿は見当たらなくて、ただ地面に赤黒い染みが無数に散らばっているだけなの。


「……なんだこりゃ。何が起こってやがる! 生き残っている人間はいないのか!?」


「一体何が。どうしてこんなことに……」


 流石の二人も混乱中。

 自分の国がこんなことになっちゃったから仕方ないけど、


(モモ、来るよ!)


「うん、分かった! レヴィアン、ブラムス、戦わなきゃ!」


 今は悩んでいる暇はないの。

 次々とモンスター達が集まり始めているから。

 友好的な雰囲気なんて全然ないよ。

 行きなり飛んで来る矢と打ち付けられる棍棒の数々。

 対処しなきゃこっちが死んじゃいそう。


「云われなくても知っているぜ。城の奴等の事も気になるが、無事にここを切り抜けるぞ!」


「承知! ここは人の町、取り返してみせましょうぞ!」


「さあ、戦うよー!」


 私は三(メートル)近いトロールの棍棒を躱して剣を構えたよ。

 トロールは再生能力の高いモンスター。

 けどそれはそれ以上の攻撃でねじ伏せればいいだけなの。

 一撃でまっぷたつにして遠くから狙っているゴブリンに剣を伸ばし貫いた。

 大量のオークを薙ぎ払うと、ギラギラの目をしたデッドウルフ()が口を開けて飛んで来るの。

 噛まれるのは絶対嫌。

 私はそれより速く移動しながらザシュっとバサッと切り裂いた。


 十匹、ニ十匹、三十匹、四十匹。

 徹夜明けには辛すぎるよ。

 他の二人もかなりきつそうな感じ。

 まだまだ出てきそうな雰囲気だからここは一気に殲滅しちゃおう!


「にゃあああああああん!」


 キャットスレイヴを空に伸ばし、全てに届くように分岐させて落としていくの。

 ドドドドドってモンスターを貫いてほとんど倒し終えたんだよ。

 流石に全部は倒していないと思うけれど、近くの気配は無くなったみたい。


「テメェ、当たりそうだったぞ、危ねぇな!」


「えー、ちゃんと避けてあげたのにー」


(ねー)


「本当か、狙ってたんじゃねぇだろうな!?」


「狙ってないもーん」


 当てるつもりはなかったけれど、ちょっとだけ驚かせようとは思っていたよ。


「いやはや、少し驚きました。しかしそのお陰で窮地をきり抜けられたようですぞ。今の内に城に進んでしまいましょう」


「パースタ様の妹君、ペンネ様の事も気になるところだ。急ごうぜ」


「はーい!」


(うん、行こう!)

 

 そして私達はたまに出て来るモンスターを撃退しながら王宮へ向かうんだ。

 少しヒビなんかが入った年季を感じる王宮。

 大きな門は閉められていて見張りもいないの。

 そこら中から聞こえてくるモンスターの声を除けば中からは何も聞こえない。

 けれけど、中には多くの気配を感じるんだ。


 これはたぶんモンスターのものじゃない。

 もしかして皆がここに避難しているのかも?

 下手に壊すのは止めておいてピョ―ンと飛び越えて侵入したんだ。


 大きな門も開いてなさそうだし、モンスターが侵入してこなさそうな屋上に着地したの。

 入れそうな場所には鉄柵があるけれど、こんなの簡単に壊せるよ。

 シュパっと切って下に続く階段を下りて行くんだ。


「あまりにも静かすぎますな。やはり何かがあったのでしょうか?」


「何があったにしろ進んでみれば分かるだろうよ。まずは誰かしらを捕まえて話しを聞こうぜ」


「それならもうちょっと先に人の気配があるよ。こっちこっちー!」


「おい、勝手に進むんじゃねぇ!」


 私は気配のする方向に向かってみたよ。

 通路に出るとここにも血や武器が振るわれた傷痕があるの。

 それじゃあやっぱり王宮の中にもモンスターが入り込んでいるのかな。

 一応人やモンスター、どっちの死体も見当たらないけれど。


「そこの部屋に誰か居るよ。うーん、三人かな?」


「では声をかけてみるとしましょうか。ここはお任せを」


 と、ブラムスが扉の前に立ってコンコンコンってノックしている。


「失礼、部屋の方々、聞いておられますでしょうか。我々は外から来たのですが妙なことに巻き込まれたようで、少々事情を聞きたいのです。扉を開けてはもらえませんか?」


「その声……まさかブラムス!? ここまで進入してきたのね。今開けるからちょっと待っていて!」


 成功したというより知り合いだったみたいだね。

 開けたのは私と同じぐらいの女の子。

 サラサラの長い髪を後に束ねて兜はかぶっていないけれど、全身鎧を着て武装しているんだ。

 部屋の奥には小さな子供が二人。

 怖そうにして震えているの。


「おお、ペンネ様、いきなり合流できるとは幸いですな。それでこの状況は一体?」


「待って、話しをする前に部屋の中に入って。安全を確認してから全部話すわ。皆さんも、さあ中へ」


「ええ、そう致しましょう」


 ブラムスとレヴィアンが中に入って行くの。

 私は最後に通路を見回してガチャッと扉を閉めたんだ。

 鍵をかけるのも忘れていないよ。


「初めての方も居るので自己紹介を。私はパースタ・デ・アル・デンテ。スパゲティネル地方の領主の妹です」


 それから軽く自己紹介なんてしていたんだけれど、


「ペンネ様、お初にお目にかかります。ガルダ・イングの子、レヴィアンと申します。この国を救いにやってまいりました。どうぞお力をお貸しください」


 何だかレヴィアンが別人みたい。

 悪い物でも食べたのかな?

 ジーっと観察していると。


「あ、何見てんだ!? そんなに珍しかったか、あ!? テメェも自己紹介ぐらいしやがれ!」


 何時も通りに戻ったみたい。


「私モモだよー! こっちは御主人、ウィーディアから来たんだ!」


 私はピョーンと飛び跳ねた。

家猫のモモ

異世界に転生して人間となる。


御主人ごしゅじん(ヒロ)

人間だったけど異世界に転生して白い猫になる。


カミル・ストラデジィ(学校のお友達)

プラナ・イスリード(学校の先生)

レヴィアン・イング(真炎ハイグスト国、軍師ガルダの息子)

アギ(レヴィアンの付き人)

ヤー(レヴィアンの付き人)


エリオ・ジ・エイグストン(モモの従者)

レマ・トマトン(旅の同行者、料理人)

ナヴィア・ドライブズ(旅の同行者、馬車の運転手)

リシェーリア・パラノイア(プリスターの司祭今は味方?)


ゼノン・ハイム・ディラーム(ラヴィーナの従者)


王子シャーン

王女ルシフェリア

王女ラヴィーナ(格闘が得意)

王女イブレーテ(長女)

王子パーズ(恋焦がれる男の子)


シャーンのお母さんテルナ

ウィーディアの女王。


グリフ・リスマイヤー

シャーンやテルナの付き人。


フルール・フレーレ

ラヴィーナの師匠で格闘家。


青鎧のブルース・グライブス

教育係アリア・ファイリーズ

モモの教育係。


赤髪の槍使い、リーズ・ストライプ(エルフ)

桃髪の魔術師、カリン・ストライプ(エルフ)

冒険者、エルフの姉妹。


ベノム(ブレードバード隊、隊長)


ルーカ(孤児)

プラム・オデッセイ(里帰り中)

ジャック・スロー (天狼ジャックスロー隊長、白い狼男)


クロノ・アークス (シャーンとルシフェリアのお友達)

シャルネリア・シャルル・シャリアット(同上)


剣と魔法の世界 ミドレイス

翼の生えた子供 ウリエリア

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ